車通りの激しい都市は、夜なのにも関わらず昼間のように明るく人通りが激しい
寒さに凍えながら腕をポケットに入れて走る人も居れば,ただひたすらに凍える中誰かを待つ人の姿も伺える。
ダレイの仕事場は都市の中でも中心部に寄った大きめのビルの中にある。
上の方の階では,まだ明かりが付いており,ダレイは今,書類の最終確認を行ってる最中だ
__未解決事件__🥀𓈒 𓏸
(…まさか…本当に兄の妹が殺したとは…)
あのBARの後、俺は単独で事件の後について、捜査を行った
疲れすぎていたせいで夢でも見ていたのかと思っていたが……何となくだ
結果は全てが間違っていた。
自殺なんかじゃない、本当に殺されたのだ
女のアリバイは、よく出来ていた。逮捕へ繋がることが出来たのは兄の証言と周りの反応が大きな鍵となったからだ
女はついに白状し,今は刑務所に収監されている
事件が片付くと、捜査困難の厄介な事件が解決した,と上からは喜びの言葉を受けた
難事件を解決したのはいつぶりだろう……だがなんだが、俺中では解決したように、ならなかったのだ
解決をさせたあのBAR…そしてあの男がなんなのか未だに不明のままであるからだ
そして、今は仕事の終わりに差し掛かっているところだ
「……ふぅ」
それにしても、目が霞む……そろそろ眼鏡が買い時の時期か…?
なにか温めるものでも買って帰ろう……
「よぉ、ダレイ.まだ仕事か?」
目元を押えていた手元を離し、声のする方へ振り返る.そこには、背の高い ブラウン色の髪に染めた男とその後ろに、男よりほんの僅かに背の低い眼鏡をかけた真面目そうな男が近寄って来ている
どちらもダレイの仕事仲間だ
「こんな遅くまで仕事か?」
「この前の未解決事件の資料をまとめてたんだ,もう終わる」
「すげぇよなぁ〜……いくら優等生の俺が頑張っても,厄介な事件だったのによ」
口先を尖らせながらまるで自分を自慢するかのような口振りで、話す。
すると、横にいた眼鏡の男が呆れた顔をしながら眼鏡を抑え,言い返すように言葉を発した
「ノア先輩.一言余計です。」
眼鏡越しに呆れた目で呟かれる。
すると、やり返しのつもりか、眼鏡の男の髪を手でクシャクシャにし始める
突然の行動に困惑しながら男は抵抗をし始めた
「うわッ…!!急に何するんですかッ!」
「レオンくんが先輩の事悪く言うからだぞ〜?」
「仕事サボってる癖によく言えたものですよ…ッ!やめてください…!!わざわざ手洗い場に行くの面倒ですよ!」
「いいじゃんいいじゃん!行かなくても、もう仕事は終わりだしよっ!」
「ノア、その辺にしておけ俺の部下が嫌がってるだろ?」
ダレイがそう言うとノアは,ハイハイとヘラヘラ笑いながらレオンから手を離した
解放されたレオンは、抵抗した時に乱れたスーツをしっかり伸ばすとからかってくるノアを無視しキリッとした態度でダレイに話しかける
「ダレイ先輩お話お聞きしました。賞をもらったそうですね。おめでとうございます。」
若干の興奮と、嬉し交じりに話すレオンは頭を下げた
この態度の変わりようにノアは若干引きながら同じく彼に同情した
「……だが、今回の事件は俺の力じゃない」
出来上がった書類を机に丁重に置いた彼は話を続ける
「……元々,出世の話も出ていたがこの件でどうするか聞かれた。…これは俺が解決したわけじゃない……丁重に断ったさ…」
机のコーヒーの入ったコップを手に持つと、ゆっくりコーヒーを口に入れた
「……?どういうことだ?…目撃情報か何かがあったってことか?」
「…………、まぁそんなところだ」
あの話を信じてもらえるはずがない…俺も未だに信じられてないんだ、この事は2人には黙っている事にした
「それもそうだけどよ……あのBARの話、結局のところどうだったんだ?」
「…」
「わざわざ生きてる俺を不明にさせてまでして、気になった問題なんだろう?」
「僕もちょうど思っていたところです。何か分かりましたか?ダレイ先輩」
あの事はこの二人には言ってない。
理由は単純に混乱させてしまうから
俺自身ですら、あのBARとあの男について何も知らない、調査は1人でまた続行し、変な行動を取っているようなら即連行でもするつもりだが……
(なぜあの男は…俺が刑事なのが分かったのか…それでもって、計画までも見抜かされていたのは…?)
「…特に何も無かった、単なる噂だろう」
「はぁ〜?つまんねぇなそりゃ!」
「別にいいでしょう,変な厄介事じゃなければ.噂は、時に、架空な出来事も混ざってしまうものですから」
「お〜…真面目くん出たな,確かにそうだな」
荷物をまとめ、3人は同じタイミングに事務所を出た。
建物の最後の灯りを消したのは、俺だった。
「この後どうするか?酒でもやるか?」
ニヤッと笑いながら居酒屋の立ち並ぶ店の方角を指で刺しながらノアはダレイの方に飛びついた
「ダレイ先輩はお疲れなんです、離れてください」
ギリギリと手首をグイグイ引っ張り,ダレイからノアを引き離そうとレオンは力を込める。
素直に、離せば良いものを……ノアは無駄に抵抗し、掴んだダレイのワイシャツが伸ばされる
「ちょ!ノア先輩をもっといたわったらどうだ???レオンくんよ!」
「労るも何も、ダレイ先輩が嫌がってるじゃないですか」
「はぁ〜??嫌がってねぇよ、ダレイは俺のバディだからな!」
「はっ?そんなの今初めて聞きましたよ!!真面目なダレイ先輩とバディなんて……馴れ馴れしくしないでください」
「はぁ……悪いが、今日は酒はいい」
伸ばされたワイシャツをビシッと伸ばしながら
二人の間に入り争いを止めようとする
しかし、ダレイの一言に2人の動きは既に止まっていた
「折角のお祝いなのに呑まねぇのかよ…ダレイ〜」
「家に帰って残りの仕事を片付けたい。悪いがまた今度に呑もう」
「お疲れ様です。ダレイ先輩!」
ダレイは手で軽く挨拶をするとそのまま方向を変え、1人で自宅へと歩き始めた
その後ろ姿を2人はじっと見つめている
「……仕事熱心ねぇ」
「……誰かさんと違って……ですかね?」
メガネをクイッと上げるとレオンはそのままダレイとは反対方向へと歩き出した
「ちょ!レオンくんお酒は?」
「ダレイ先輩が行かないなら行かないです」
ダレイが歩き続けた足を止めると、目の前には、大きめなマンションが建っていた
(鍵……何処だったか、)
コートから鍵を取ると、ダレイはそのまま来たばかりのエレベーターへと入っていく。
玄関の前に立ち、鍵を回しながら開けると
綺麗に掃除された廊下が続いている
奥へ入ると、リビングの机の上には別の事件の資料と、閉じられたパソコンが置いてあり、今朝でた時と何ら変わらない状態だった
(簡単に飯でも作るか……)
その頃,開店前のBARでは、バーテンダーの男がグラスを戸棚から出し綺麗に並べているところであった
冷凍から出した氷をグラスに移すと,氷の透明度が光に反射し、キラキラ輝いていた
男はカクテルを注ぎ、それを口に注ぐ
カラカラと氷が音を立て,グラスを机に静かに置く
「さて、今日はどんなお客さんが来るか……」
コメント
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説明が上手ですね!状況が分かりやすくて読みやすいです! 見てて楽しかったのでこれからも頑張ってください!