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警察が動物園に到着したのは、警報発生から40分後の午前0時半。
千葉県警・市川署の刑事、**山科(やましな)とその新人相棒の日下部(くさかべ)**が現場に入った。
「で、パンダが消えた?」
山科が訝しげに眉をひそめる。
「檻の鍵が内側から開いていて……足跡が、外に向かって続いてるんです」
野島警備員は懐中電灯で地面を照らす。
土の上には、確かに巨大な足跡が続いていた。だがよく見ると、普通のパンダよりも一回り大きい。
そして、その横には――人間の足跡も。
「つまり……誰かがこのパンダと一緒に出て行ったってわけか」
「それも、パンダを“連れて”ではなく……“並んで”歩いているように見えます」
パンダが人間と並んで歩く?
それは自然のあり方ではない。
「これ、檻の中に落ちてたんです」
飼育員が差し出したのは、白い毛に混じった細い注射器の針だった。
山科は目を細めた。
「……誘拐じゃないな、これは。もっと根が深い」
その瞬間、警察無線がノイズ交じりに鳴った。
「こちら警備班。パンダ舎から2キロ先のコンビニ防犯カメラにて、**二足歩行する影のような“動物”**を確認。人間のように直立しています――」
日下部が呟いた。
「……パンダって、そんなふうに歩けましたっけ?」
次回:「第3章:白く歩く影」
――パンダの正体とは何か?それとも、あれは“本当に”パンダなのか?