『あのね、僕──』
兄さんのことが、好きなんだ。
だから、付き合って欲しい──
俺は今、実の弟に告白されている。
……といっても、俺にとっては二度目の光景だ。
今度こそ、失敗しない……
俺の気持ちに素直になれ……
「……はこたろー」
『っ………なに?』
「俺もはこたろーが好きだよ。」
自分でも分かる。
顔が真っ赤に染まっていくのを。
夕日に照らされる訳でもなく
自分が染め上げていくのを。
『っそれは……!兄弟として、でしょ…?』
「違うよ。LOVEの方で、お前が好き。」
『そんなわけない…兄さんのことだ』
『どうせ気を遣ってくれてるだけ……』
「気を遣って勘違いさせた方が辛いだろ?お互い。」
『っ…なんで…?断ってくれたら、吹っ切れたのに……』
「好きになっちゃったんだし、仕方無いじゃんw」
『っ……ぅ、にいさぁん……』
「もーw 泣かないの!綺麗な顔が台無しだよ?」
『兄さんの…そういうとこ、ほんとズルい……っ』
「んへへw さっ、帰ろ!日が暮れちゃうしね!」
『…ん。』
いつもの帰り道。
隣で歩くはこたろーが夕日に照らされて
いつもの美しい顔が、より輝いて見える。
思わず、じっと見つめてしまう。
見慣れてる筈なのにな
『…兄さん?僕の顔に何か付いてる?』
「んーん?可愛い目と鼻と口が付いてるよ」
『なっ…冗談よしなよ、w』
「だぁから冗談じゃないって!」
今のところ、とても順調だ。
他愛ない会話を交わしながら、慣れた道を進む。
『……で、さ。返事は…?』
「ん?あぁ、告白のこと?」
『オブラートに包んだのが台無しじゃんかよ…///』
「ごめんてw 俺としては…付き合いたい、かな」
『それ、ほんと……?』
「お兄ちゃんが嘘ついたことあるかい?」
『それはそれは数え切れないほど……』
「え待って泣くよ?」
『事実を述べただけです。』
「えっ……」
『…でも』
『こういう真剣な話で嘘吐かないのは』
『誰よりも間近で見てきた僕が一番知ってる。』
「もうちょい早く言って欲しかったな」
『雰囲気壊しやがって…じゃあ、改めて。こほん…』
『兄さん、僕と──』
キキーッ!
「…っ!?危ないッッ!!」
『……ぇ、?』
ドンッ
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′′兄さん′′は今、宙(そら)に跳ね飛ばされた。
なんでこうなったの?
あまりに一瞬の出来事で理解が追い付かない。
はっと我に返った時には、もう遅かった。
周りから色々な音が聞こえる。
近くにいる人の叫び声
横たわった人に呼び掛ける声
誰かに電話をする声
傍観者のざわめき
救急車のサイレン
僕はただ一人、立ち尽くしていた──
目からは止まった筈の涙が、また溢れだしていた。
気が付くと、僕は病院にいた。
どうやってここまで来たのかはよく覚えていない。
キイィ……
目の前の扉が開く。
中から医者らしき人物が、真剣な顔で出てきた。
[……しるこさんの、ご家族の方でしょうか。]
突然の質問に少し驚きつつも
はい、と答えた。
[大変、申し上げにくいのですが……]
[……ご臨終です。]
「──は……?」
[死因は事故死です。激しく体を打ち付けられていました。]
[目撃者によると、トラックに跳ねられたそうですが…]
「へ…トラック、って」
まさか、僕を庇って──
「ふざけんなよ……兄さん……」
神様
こんな結末にならないように
もし、あの瞬間に戻れるのだとしたら
やり直させてくれよ……
──1回目──
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どうも
作者の藍羅です。
中々に謎過ぎる展開☆
今回は珍しく
書いている時間が深夜じゃありません!
いやぁ
うん。
書くことがないので締めます←諦めんな
また次回お会いしましょう
おつあいら~
コメント
1件
こんなことが何回も繰り返される世界の話ということか… めっちゃ切ない…