テラーノベル
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⛄️💙〜 初夢〜
ふわふわとした浮遊感
あ、これ、夢の中だな、なんて自覚する
そういえば初夢の日だっけ、今日は
あべちゃんが色々と教えてくれた
《一富士💛》
そんなことを考えていれば、視界の先に富士山が見えてくる
「富士山ってめちゃくちゃ縁起がいいやつじゃなかったっけ?」
あべちゃんが何やら呪文のようなことを唱えていたうちに入ってた気がする
「富士山といえば照が登ってたな。一緒に行きたい人って聞かれて、ちょっと手は挙げられなかったけど」
懐かしいなと思いながら、縁起が良い夢で良かったとぼんやりと眺めていたら、いきなり山が変形し始める
「え?!え?!」
縦横に伸びたり縮んだりするうちに、それは人型に近づいていって、とうとう照になった
「え?ひかる?!富士山が照に?!」
驚くおれをよそに照がどんどん近づいてきて、なぜか抱きしめられる
「翔太」
「え?!ちょ、なに?!」
「一緒に富士山登ろうって言ったのに…」
「いやおれには無理だよ?!」
「じゃあせめて、富士山に負けないくらい高い高い愛を2人で積み上げような」
「何言ってんの?……引くんだけど」
「恥ずかしがらなくっていいって」
ニコニコしながら顔を近づけてくる
がっちりと抱きしめられていて、照のパワーに適うわけなく、いるか分からない誰かに助けを求める
「いや、遠慮しますって!ちょ、照!やめろ!離せ!………誰か助けて!」
《二鷹🩷》
バサっと音がしたと思ったら、気づけば何かの背中に乗って空を飛んでいる
「え?!今度は何?!怖いんだけど!」
恐る恐る下を見れば、立派な茶色の羽と鋭い目つきの鳥に乗っている
「えっと、これは鷹?」
これもなんかあべちゃんの呪文に入っていたような、なんて考えていれば、とんでもなくアクロバティックな飛行を始める
「うわああああああ!」
急降下に急上昇、ぐるっと回転なんかもする
夢だからか俺が鷹さんから落ちる気配はないが、ジェットコースターのようで怖すぎる
「もう無理〜〜〜〜!!!」
限界を叫べば、鷹さんはようやく地面に降りたった
「え、でか!………いや、でも照から逃げられたし、とにかく助かった。ありがとう!鷹さん!」
対面した自分ほどの大きさの鷹にビビりながらもお礼を言うと、その鷹がマントを翻すかのように、片羽を広げながらくるりと回転した
次の瞬間にはそこには佐久間が立っている
「よ!翔太」
「今度は佐久間?」
「俺っちだよー!!」
勢いよく抱きつかれる
「ちょ!離せって」
「やだよ!俺っち翔太大好きだもん!俺と一緒にジェットコースター並みにドキドキの恋をしようぜ!」
「無理無理!無理だから離して!」
《三茄子🧡》
佐久間と格闘していると、向こうからめちゃくちゃ大きな茄子が転がってきて、驚いたおれらはパッと離れる
「わぁ!え?!茄子?!」
いつ間にか佐久間の姿は見えなくて、でっかい茄子がどんどん増えていく
行手を塞がれて茄子に取り囲まれる
「え?!どういうこと?!」
1個の茄子が倒れ込んできて、潰される!と、咄嗟に頭を抱えてしゃがみ込む
茄子に潰されることはなく、聞き慣れた声がおれを呼ぶ
「しょっぴー」
「へ?……康二?!」
「どうしたん?」
「いや…茄子に潰されそうになって…」
「なんやそれ、あ、でも茄子といえば」
そう言って差し出してきたお皿には麻婆茄子
「うわ、美味しそう…」
気づけば机と椅子があって、康二と対面に座っている
ぎゅっと片手を握られる
「しょっぴー、好きやで。俺、毎日しょっぴーのためにご飯作ったるから、俺と付き合お?」
「ご飯は嬉しいけど、付き合うとか無理!なんなのこの夢!」
《四扇💚》
ぶわーっと強風が吹いて、顔を腕で覆う
風が止んで顔を上げれば、そこはテーブルと麻婆茄子はもうなくて、舞台があった
「なんか歌舞伎の時の舞台みたい……」
そう呟いた途端に、ずしりと頭に重みがくる
「うぇ?!うわ!なんで俺が女形に?!」
あべちゃんや佐久間が着ていたような綺麗な着物を着ていて、手には扇
「なんで?!俺こっち側じゃなかったし!」
音楽が鳴り始めると、なぜか体が勝手に動いて踊り始め、舞台袖から扇で顔を隠した男役が出てくる
あまり顔が見えないままに踊りきり、最後に後ろから抱きしめられ、低い声で耳元で囁かれる
「やっぱり翔太綺麗だからそっちも似合うね」
「え?その声はあべちゃん?!」
思わず振り返ると、今度は前からぎゅっと抱きしめられる
「な、なに?!」
するっと頬を撫でられながら熱い視線で見つめられる
「翔太、好きだよ。その綺麗さを毎日俺に独り占めさせて?」
なんか帯が解かれていっている
「は?!なにするの?!無理無理!ちょ、離して、あれ〜〜!」
帯を引っ張られて体がくるくると回る
なんだこれ、テレビで見たような定番の流れ
《五煙草🖤》
帯が完全に解かれて、回転の勢いが緩んでどさりと床にしゃがみ込む
パッと顔を上げるとそこは和室の一室だった
二階の部屋なのか、外には星空が広がっている
俺は今度は普通の女物の着物に身を包まれている
窓の欄干に腰掛けて片足を立てて、外を見つめる軍服の男が1人
その手には時代劇で見たような古風な煙草が煙を上げている
男は煙草に口をつけて大きく吸い込み、ふぅーっと煙を吐き出す
その仕草の艶美さに思わず見惚れる
惚けていると、ふいに男がこちらを振り向く
「あれ、大丈夫?しょっぴー」
「めめ?!」
「ずいぶんと可愛らしい姿だね」
灰皿に煙草を置いためめが近づいてきて、微笑まれる
思わず座ったまま後ろに手をついてのけぞる
頬に手を当てられると、煙草のにおいなのか妙に甘ったるい匂いがする
「ふふふ、見惚れちゃった?」
様になりすぎてて何も言えずにいると、至近距離で囁かれる
咄嗟に顔を背けると、頬に柔らかな感触が伝わる
「あれ、避けられちゃった」
「ななななんで?!キス?!」
「俺しょっぴー大好きだもん」
「はぁ?!」
また迫ってこようとするのを、体の後ろについた手を必死に動かして後ずさる
「あ、逃げないでよ」
《六座頭💜》
襖に背中が当たったと思ったらそのまま倒れ込む
「うわぁ!」
起き上がるとまた違う景色が視界に広がっている
湖のほとりだ
すぐそばで剃髪した男の人が袈裟のような衣服を着て琵琶を弾いている
目を瞑っているのか、俺が近づいてきたことには気づいていないらしく音を奏で続けている
驚くことの連続で疲れ果てて、その人の前に座り込み、ただ音楽に耳を傾ける
ゆったりとした奏でに心が落ち着いていく
「ふぅ〜」
「随分とお疲れのようだねぇ笑 翔太」
「ふぇ?!………ふっか?!」
顔を上げると、さっきまでいた座頭はもうおらず、似たような衣服に身を包むふっかが立っていて、ぽんぽんと俺の頭を優しく叩いて微笑んでいる
「ふっか〜!聞いてよぉ〜!みんな変なんだよ〜!」
なんだか妙な安心感があって、今までのことをつらつらと語る
その間、ふっかはずっと優しく頷きながら話を聞いてくれた
「大変だったなぁ笑 じゃあそんな野蛮な奴らはやめて俺にしとかない?」
「へ?」
気づけば抱きすくめられている
「俺も翔太好きなんだよね。優しくするよ?」
「いやいや!お前もかよ!無理だって〜!」
《午年🤍》
何かが駆けてくる音がして、ひひーんと鳴き声が響いたかと思ったら、今度は白い馬の背に乗っていた
そういえば今年は午年だっけ
湖の景色はあっという間に遠ざかって自然豊かな風景に囲まれる
遠くには大きな滝が見える
馬を降りて景色を見渡していれば、またもや聞き慣れた声が後ろから聞こえてくる
「大丈夫だった?しょっぴー」
「今度はラウールか…」
「あれ、もう驚かないの?」
「驚き疲れたんだもん……」
「なにそれ、初めて聞いた笑笑」
「で?お前は何を言ってくるの?」
「大丈夫だよ。しょっぴーは俺にとっては大事なお兄ちゃんだからね。迫ったりしません」
「ほんとに?」
「ほんとほんと。安心して」
「はぁ〜、ほんと今日の夢なんなの…」
「ははは笑 まぁまぁ。でもせっかくの初夢なんだし、お参りに行かない?」
差し出された手を取る
「こんなところから?行けるの?」
「なんたって夢ですから」
ラウールと手を繋いで歩き始めると、周りの景色の境界線がぼんやりとし始める
《神社へ❤️》
立派な鳥居の前に到着した
「お、やっと来たね」
片手をあげた人物が誰なのか、シルエットを見ただけでも分かる
「あ、涼太!」
幼馴染の姿に安堵感が体を満たす
「やぁ翔太、待ってたよ。ラウールありがとう」
「なかなか見つからなくて大変だったよ〜」
「ご苦労様。じゃ、行こうか」
ゆったりと歩き始める
どこなのかは分からないけど、大きくて立派な神社だ
3人で並んでお参りをする
手を合わせて今年の決意を述べる
今年もまだまだ頑張り続けたい
「今年も頑張りたいね」
決意したのと同じ言葉が隣から聞こえてくる
「うん、頑張りたい」
「僕も!頑張る!」
「お腹空いたでしょ?お雑煮でも食べようか?」
気づけばもうそこは神社ではなく、涼太の部屋の中
目の前には美味しそうに湯気が立ったお雑煮のお椀がある
「うわぁ、美味しそう!最高!いただきます」
「「いただきます」」
《初夢》
お餅を箸で掴み、口に入れようとした瞬間に、どしんっとした音が響いて体に痛みが広がる
「いってぇ〜!!」
ハッキリしない頭をむしって辺りを見渡せば、そこは見慣れた自分の寝室だ
「ん?あれ?夢か?」
ぼんやりと記憶を辿ろうとするが、夢のカケラはどんどんと崩れ落ちていく
「寒っ!」
床の冷たさに慌てて布団の中に戻る
携帯を開くとグループでのトークが動いていた
【みんな初夢は見れた?】
みんな盛り上がってたけど、おれの記憶はもうすっからかんで
なんだか縁起のいいものも、みんなも出てきた気がするんだけど、慌ただしく終わったような不思議な感じで
【おれは見たけど覚えてない】
と返せれば、口々におれらしいとかなんとか返ってきて失礼だなぁと思いながら、日課のインスタを開いた
コメント
2件
完全なるおふざけ話です笑 広い心で受け止めてください笑
