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もう一度、世界に音楽を

32 - スタンリーの追跡

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2025年05月05日

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玲央はじっと身を潜めながら、暗闇の中の気配を探った。

冷たい夜の空気が肌を刺し、焚き火を消したことで一層寒さが身に染みる。


パキッ……


再び、枝を踏みしめる音が響く。

人の気配が近づいてくるのは間違いない。


(……ゼノの部下か、それともスタンリーか?)


玲央は息を殺し、慎重に様子を伺う。

足音の主は警戒しているのか、慎重な動きでゆっくりと近づいてきていた。


「……いるのは分かっているぞ。」


低く落ち着いた声が響く。


玲央の目が鋭く光る。


(……やっぱりスタンリー。)


敵に見つかるわけにはいかない。

玲央は音を立てずに後退しながら、逃げ道を探った。


だが、スタンリーもまた経験豊富な軍人。

足跡やわずかな空気の流れで、玲央の動きを察知している可能性が高い。


「逃げるか? いい判断だが、無駄な足掻きだ。」


——次の瞬間、銃声が森に響いた。


バンッ!


玲央のすぐ横の木の幹が弾け飛ぶ。


(……狙いが正確すぎるねぇ。)


玲央は苦笑しながら、木陰に身を隠した。

スタンリーの射撃は威嚇ではない。

本気で仕留めにきている。


(でも、撃つってことは捕まえる気はないってことか。)


玲央は冷静に状況を整理する。

スタンリーは「千空の仲間」という可能性がある玲央を、生かして確保するよりも、排除する方を選んだ。


——つまり、千空たちが危ない。


(……急がないとねぇ。)


玲央はすぐに次の行動に移った。


「ちょっと、悪いねぇ……!」


木の陰から飛び出し、一気に反対方向へ駆け出す。


スタンリーの視線が玲央に向いた。


バンッ! バンッ!


続けざまに銃弾が玲央を狙う。

だが、玲央はそれを察知し、木々の間を縫うように走る。


(このままじゃ持たないな……!)


玲央は逃げながらも考えを巡らせる。

スタンリーを完全に撒くのは難しい。

ならば、どうするか——


選択肢は一つ。


「——こっちまで、来れるもんなら来てみな!」


玲央は大声で挑発し、あえて開けた岩場へ飛び出した。

暗闇の中、スタンリーの視界にもはっきりと姿が映る場所。


当然、狙われるリスクは高まる。


だが、玲央の狙いはそこではない。


「……フッ、いい度胸だな。」


スタンリーが銃を構える——その瞬間。


ゴゴゴゴゴ……ッ!


突然、大きな地響きが森に響き渡った。


スタンリーが一瞬だけ動きを止める。


「……これは?」


その隙を突き、玲央は一気に崖際へと駆け上がった。


(このタイミングで自然現象……? いや、そんな都合のいい話はない。)


だが、玲央はすぐに気づいた。


(違う、これは……千空たちの仕掛けだ!)


遠く、森の奥に閃光が走る。

まるで、科学の狼煙のように。


(……これは、チャンスだねぇ!)


玲央は崖の上から、すぐに別のルートへと逃げ込んだ。


スタンリーの注意は一瞬だけ森の異変へと向けられた。


——その隙をついて、玲央は影の中へと消えた。


(……千空、まさかそっちも動いてるのか?)


玲央は胸の高鳴りを押さえながら、確信した。


これは、戦いの始まりだ——!

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