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玲央がスタンリーを引きつけ、別の方向へと走ったころ——千空たちもまた、動き始めていた。
「おい、千空! さっきの地響き、なんか仕掛けたのか?」
クロムが険しい顔で千空に詰め寄る。
「んなわけあるか。ただの偶然だ。」
「でもよ、ちょうど玲央が狙われたタイミングで……偶然ってわりには出来すぎじゃねぇか?」
千空は腕を組み、険しい表情で考え込む。
(玲央が敵に追われる状況で、自然現象が偶然起こる……? いや、違う。考えられる可能性は……)
「千空!」
慌てた様子でゲンが駆け寄ってきた。
「ちょっとヤバいかも。今、遠くに光が見えたんだけどさ……ありゃ多分、向こうも何か企んでるよ。」
「……敵が動いてるってわけか。」
「それも、かなり大規模な作戦って感じだねぇ。」
千空はわずかに目を細める。
(スタンリーが玲央を狙うってことは、あいつらがこっちの動きを把握している可能性が高い。なら、次に狙われるのは——)
「千空、これ……まずいんじゃねぇか?」
クロムが真剣な表情で言った。
「敵の狙いが玲央だけとは限らねぇ。むしろ、俺たちが狙われるのも時間の問題だろ?」
「そういうこった。」
千空は冷静にうなずいた。
「こっちも早めに動かねぇと、あいつらにいいようにやられるだけだからな。」
「どうする?」
「まずは情報収集だ。玲央の動きも気になるが……」
千空はしばし沈黙した後、決断した。
「俺たちも、敵の拠点を探る。」
その言葉に、クロムもゲンも驚いたような表情を浮かべた。
「はぁ?! そりゃあ無茶だろ、千空!」
「やれやれ、また大胆なことを言い出したねぇ……。」
千空は口元に不敵な笑みを浮かべた。
「科学王国は、受け身じゃ終わらねぇんだよ。」
——化学から科学への反撃が、今始まる。