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前回の続きからです。
北実side
廉蘇は少し肩をすくめて、魔法陣の中央へと歩を進めた。
魔法陣が淡い金色に輝き、空間に小さな振動が広がった。
その瞬間、微かに「ピリッ」と小さな音が鳴る。
レイヴン「……音?」
魔法陣に名前が浮かび上がる。
エイラ「廉蘇さんの能力は音を操る力です! ただ……制御が少し難しいんです。」
北実「音を操る……って、具体的には?」
エイラ「廉蘇さんは爆音を出したり、超音波を飛ばしたりできます。 敵を攻撃するだけでなく、情報収集や仲間の支援にも使えるますね。」
南実「制御が難しいの?」
エイラ「そうなんです。部屋を出入りするだけでも音が鳴ってしまうことがあります。 慣れが必要ですね。」
廉蘇は自分の手のひらを見つめ、少し苦笑いする。
廉蘇「……つまり、自分の力をコントロールできるようになるまで、結構練習が必要ってことか。」
エイラ「はい! でも、制御さえできれば攻撃力も支援力にもなります。 」
米太「 爆音とか超音波とか、めっちゃ派手じゃん! 廉蘇ずりぃぞ!!」
嗣行「親父、意外と良いじゃねえか。」
エイラも嬉しそうに頷いた。
次に嗣行が静かに魔法陣の中央へ歩を進めた。
控えめながらも落ち着いた動きは、周囲の空気を自然と引き締める。
魔法陣が淡い銀色に輝き、周囲の光をほんのわずか歪めるような波紋が広がった。
その瞬間、誰の目にも気づきにくいほんの半歩のズレが生じる。
レイヴン「……?」
日向「動きが……違って見える?」
魔法陣に名前が浮かび上がる。
エイラは微笑みながら解説する。
エイラ「嗣行さんの能力は位置を誤認させる力です。 一瞬の錯覚を生み出し、相手には嗣行さんが半歩ズレて見えるようになります。」
北実「……つまり、回避とかカウンターが得意になるってことか?」
エイラ「その通りです。相手はほんのわずかなズレしか感じませんが、そのわずかな差が戦いでは大きな意味を持つんです。」
廉蘇「さすが俺の息子だ。」
嗣行は無言でうなずく。
国雲「敵からしたらめちゃくちゃやっかいアルな……」
日向「嗣行さん、頼もしいですね!」
嗣行はわずかに微笑む。
エイラ「嗣行さんの能力は回避と反撃を極める力。 パーティの戦術において重要な存在になります!」
次に宮雷がゆったりと魔法陣に歩み寄った。
穏やかで落ち着いた佇まいは、周囲に安心感を与える。
魔法陣が薄い水色に輝き、空間に小さな光の波が広がる。
魔法陣に名前が浮かび上がる。
エイラは微笑みながら説明する。
エイラ「宮雷さんの能力は未来予知です。 ただ、近い未来ほど曖昧になってしまうんです。」
北実「……なるほど。遠くの未来は見やすいけど、目の前のことは予想が難しいってことか?」
エイラ「その通りです! 遠く先の流れや大まかな出来事は把握できますが、数秒〜数分先のことは映像が揺れたり、断片的にしか見えません。」
嗣行が少し眉をひそめ、弟を見やる。
嗣行「……近くのこともきちんと見えたら、もっと便利なのにな。」
宮雷は淡々と答える。
宮雷「……別にいいでしょ。遠くでも見えるんだからさ。」
南実「うわ…嗣行嫌われてる…」
エイラ「能力自体は非常に有用で、戦術の指針として大きな役割を果たせます。 遠い未来を読むことで、仲間の動きを補助したり、先手を打つことも可能です。」
米太「未来を見て動けるとか、マジで頼もしいじゃん!」
清雨「戦況を先読みできるのは、かなり強いアルな。」
エイラ「宮雷さんの能力は未来を先読みし、仲間を補助する力。 パーティ全体の戦略を大きくサポートしてくれます!」
今度は紅葉が元気よく魔法陣に歩み寄った。
笑顔を浮かべつつ、自然と周囲を和ませる雰囲気がある。
紅葉「嗣行兄さん、見ててね!」
魔法陣が淡い赤橙色に輝き、空間に細い光の糸がふわりと広がった。
魔法陣に名前が浮かび上がる。
エイラはにっこり笑い、解説を始める。
エイラ「紅葉さんの能力は物を操る力です! 倒れた敵や動かない物体、人形などに糸を通して操ることができます。 生きている人間を完全に操ることはできませんが、戦術支援に特化した力です。」
北実「なるほど……生きてる人は操れないけど、戦術的にすごく便利そうだな。」
エイラ「はい! 倒れた敵を攻撃に使ったり、遠隔で物体を動かしたり、戦況を有利にできます。」
嗣行が少し引き気味に紅葉を見つめる。
嗣行「……また俺のこと見てるのか?」
紅葉はにっこり微笑んで少し照れる。
紅葉「うん、だって嗣行兄さん、カッコいいんだもん!」
国雲「おお、相変わらずブラコン全開アルね…」
紅葉が魔法陣を降りた直後、
米太は「うおおおおお! 次はオレ!!」と叫びながら一直線に走り込んだ。
日向「うわっ、耳が痛いです……」
南実「安定のうるささだね……」
レイヴンでさえ思わず眉をひそめるほどのテンションで、
米太は胸を張って魔法陣の中心に立った。
米太「測定いくぞ!!!能力Come on!」
水晶柱がビリッと震え、
周囲の温度がじわりと上昇する。
米太の身体から、赤みの混じった熱気と、風が一緒に立ち上った。
水晶柱が一瞬だけ強く光り、
魔法陣に文字が浮かぶ。
南実「なんかめっちゃ強そう!」
エイラが説明に入る。
エイラ「米太さんは、テンションややる気が上がるほど身体から熱圧が立ち上がります! 剣を振った瞬間だけ、風圧と熱圧が同時に爆発的に生まれます!」
南実「つまり……やる気が高いほど火力が上がるってこと?」
エイラ「はいっ! ただしテンションが低いと──」
廉蘇「全然弱い、ってことだろ? まあこいつらしいな。うるさければ強い、静かだと弱い。なかなかに面倒だな。」
米太は即座に噛みついた。
米太「はあ!? お前に言われたくねーし! お前の音の方がよっぽど迷惑なんだよ!!」
廉蘇「お前の大声の方がよっぽど迷惑だろ。」
レイヴン「……どっちも落ち着け。」
エイラは苦笑しつつ続ける。
エイラ「米太さんの能力は瞬間火力特化です! 攻撃の瞬間だけなので扱いは難しいですが、爆発的な威力があります!」
空斗「いいなぁ! めちゃくちゃ派手じゃん!」
清雨「情熱がそのまま火力になる……分かりやすいアルな。」
海斗「扱いさえ慣れれば強力だ。前衛向けの能力だな」
米太は満面の笑みで拳を突き上げる。
米太「よっしゃー!! オレ最強じゃん!! みんな任せとけぇぇ!!」
日向「テンション上がりすぎて部屋燃やさないでくださいね…」
エイラも微笑んで頷いた。
エイラ「米太さんの能力はやる気の爆発力。 パーティの切り込み役として、攻撃の要になりますよ!」
米太が魔法陣から降りると、
加奈登が穏やかな足取りで前に出た。
加奈登「あの、次は僕でいいですか?」
日向「米太さんと兄弟に見えないくらい落ち着いてますね。」
エイラが優しく頷く。
エイラ「はい、どうぞ。ゆっくりで大丈夫ですよ。」
加奈登はこくりと頷き、自分の胸の前で小さく手を握りしめながら魔法陣の中心へ。
その瞬間、魔法陣が淡い桃色の光に包まれた。
しかし……何も起きない。
レイヴン「……反応が薄いな?」
だが次の瞬間。
米太「 加奈登〜聞こえるか!? どうだ!? お前の能力、強かったか!?」
魔法陣の外で米太が全力で叫ぶと、
加奈登の身体から突如として強い光が弾けた。
エイラ「きゃっ!? い、今のは……!」
水晶柱が激しく鼓動し、魔法陣に文字が浮かび上がる。
エイラが解説する。
エイラ「えっと、加奈登さんは味方や自分が危ない状況になるほど、能力が強化されるタイプです。 自分の意志では発動できず、通常時は力が出ません。」
南実「さっきは……米太の叫び声で反応したってこと?」
加奈登はほわっと笑みを浮かべたまま、照れたように小声で言った。
加奈登「兄さんの声が、ちょっと危なっかしく聞こえて……。 僕が守らなくちゃって思ったら勝手に……」
米太「お、おお……? なんかすげぇ光出たけど……」
廉蘇「お前の叫び声が危機扱いされてたぞ?」
米太「はあ!? なんでだよ!!」
空斗「でも戦闘中はめっちゃ強いってことだよね!」
加奈登は胸に手を当て、優しい声で微笑む。
加奈登「……兄さんが危ないときは、僕が絶対に守るからね……」
南実「相変わらずブラコン度がすごい……」
加奈登が魔法陣を降りると、
叶英が胸元の服を軽く整えながら、静かに歩みを進めた。
叶英「さて……私の番のようですね。」
愛蘭がむすっと睨む。
愛蘭「叶英、また変な見栄張って……」
叶英「おやおや、貴方は相変わらず辛辣ですね?」
軽く皮肉を返しつつ、叶英は余裕の表情で魔法陣の中心へ。
ふっと空気が静まり、
水晶柱がごく微細な振動を始めた。
レイヴン「……妙だな。反応が、他と違う。」
次の瞬間──
水晶柱がシャッと光を放ち、魔法陣に文字が浮かぶ。
エイラが目を輝かせて説明を始める。
エイラ「叶英さんの能力は攻撃しようとする瞬間の気配を察知する力です! 予知ではなく、攻撃の直前に生まれるわずかな癖を正確に感じ取っているんです。 避ける・いなす・刺し返す、そういった迎撃が非常に得意になります!」
愛蘭は腕を組んで、ふんっと言う。
愛蘭「そりゃ、君みたいな腹黒にぴったりだね?」
米太は口をとがらせる。
米太「なんかムカつく能力だな~! 」
加奈登「父さん、戦いのときは頼りにしてるよ……」
清雨「相手が攻撃の気配を出した瞬間に動ける……反撃の鬼アルな。」
空斗「めっちゃカッコいいやつじゃん! ずるい!」
南実「でも性格が性格だからなぁ……」
叶英は肩に手を当て、いかにも紳士然とした微笑みを浮かべながら言った。
叶英「皆さんが無事に帰れるよう、私の能力を存分に役立てることを約束しましょう。 」
叶英は軽く頭を下げた。
紳士のように見えて、どこか企んでいるような笑みを浮かべながら。
叶英が魔法陣から降りると、
愛蘭はふうっと息を吐いて前に進んだ。
愛蘭「次、ぼくが行く。 …あの腹黒紳士の後なのは気に食わないけど。」
叶英「おや? もう嫉妬ですか? 可愛いですねえ、愛蘭。」
愛蘭「黙れ!!」
南実「またケンカしてる……」
エイラが苦笑しながら見守る中、
愛蘭は魔法陣の中央へ立った。
その瞬間、
空中にふわりと色の粒子が漂う。
愛蘭の指先が動くと、それに応じて絵の線が光のように空間に描かれていった。
その線が光り、魔法陣が安定した青い輝きを放つ。
水晶柱が反応し、文字が浮かび上がる。
エイラが目を輝かせて説明を始める。
エイラ「愛蘭さんの能力は描いた絵で物を強化する力です! 壁でも床でも空中でも、描いた場所によって効果が即座に出ます!」
北実「色で効果が違うのか?」
エイラ「はい! 例えば、青は防御・安定、赤は勢い・推進力、黄色は速度や補助、緑は癒しや回復、黒は封印・制止。線が太いと強いのですが制御が難しく、細いと繊細になり、小さな動きが得意になります。乱雑に描くと暴走しやすくて、丁寧に描くと安定して長く続くなど……色と描き方によって効果が変わります!」
空斗「めっちゃバリエーション多いね!!」
清雨「便利そうだが……複雑でもあるアルな」
南実「でも戦闘にも強いねこれ!」
叶英がにこりと紳士ぶって言う。
叶英「相変わらず絵だけは上手いのですね。中身は子どもみたいなのに。」
愛蘭「なんで最後に余計な一言つけるんだよ!!」
米太「おお〜! 絵で強化とか絶対ワクワクするやつだろ!」
レイヴン「使いこなせば戦術補助の幅が広い。非常に優秀な能力だ。」
愛蘭は頬を掻きながら、少し照れたように笑う。
愛蘭「まあ、みんなの役に立つならいっぱい描くよ。ただし、叶英のためには描かない!」
叶英「寂しいことを言わないでくださいよ。」
愛蘭「黙れ!!!」
今回はここまでです。
次回は残りの人達の能力です。