私は元々、孤児だった。
15年以上続くこの戦争で、私は3歳にして両親を亡くしていた。
両親のことはほとんど覚えていない。
西区を制圧するために犠牲になった兵士たちもそうだ。
みんな私と同じ18歳で、みんな親を失っている。
親のいない子供の方が軍への忠誠が厚いからだ。
“可哀想”なんて言葉はこの場に存在しない。
「ギシッ」
両親が死んだと同時に私は左手を失くし、今の温もりを持たないツクリモノの手になってしまった。
しかし、兵士として、歩兵として、自分を守るために、この国を守るために…
私は3歳で親を亡くした後、5歳から軍に所属し、10歳から戦地に赴いた。
ハンデを持ちながら戦ってきた。
温もりのない手なんて気にする間もない。
むしろ、この弾丸の効かない左手の方が都合が良かった。
「………ドール!?」
見えるのは…天井? それと…中佐?
私は…寝ていた…?
「ドール!大丈夫か!?」
「はイ、大丈夫でス。何か問題で…モ……?」
体が言うことを聞かない。
さっき撃たれたんだったっけ。
「良かった…無事で…」
中佐は泣いていた。
殺して、殺されて、何人も、何十人も、何百人も私は殺してきたのに、どうして中佐は、私が生きていて良かったと思えたのだろう。
平和な世の中であったら、私はただの大量殺人者なのに、どうしてですカ? 教えてくださイ、中佐。
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