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アメリカ×日帝の純愛を意識して書いたもの。
ハッピーエンド。
キスはあるけどそこまでセンシティブではない。原爆表現
クソ長い。
読もうとしてくれた方ありがとうございます。
地雷の人は今すぐに戻ってください。
それでもいい人だけ
またあの花が見たかった
肺が焼かれ、皮膚と眼球が溶ける激痛に喘ぎながら赤い空を見ていた。「死ぬ」ということがあまりにあっけなくて涙がこぼれるかと思ったら、自分の体内にあった水分はすべて蒸発してしまったことを悟った。
普通の人間だったら即死、あるいは熔解するこの場所で心臓の音がするのは自分が国の化身であるからに違いなかった。
人々の悲鳴など聞こえない。喉を焼かれ、内臓がただの肉塊と化した。鉄が焼けるようなひどい匂いから逃げ出そうにも、もう足も腕も使いものにならないことなど知っている。指すらも動かせない神経は、鉄板のように熱された土の感触を伝える。
目を開ける必要などない。しかし熱された鉄板が乗っているかと思えるような瞼を持ち上げた。この地獄とやらの景色を覚えておきたかった。
「もう限界か…」
ここで意識を失ったとて死ぬことはない。国だからだ。どうせ米帝に運び出されてきっとすぐ国際軍事裁判にかけられ、そこでやっと死刑、終わりだ。今死んでも後に死んでも変わらないが。
…なぜ弱気になっているのだろうか。帝国は永遠だというのに(笑)神に守られたこの国は不死身だと思っていたが…嘘だったらしい(笑)
死ぬか、植民地支配されるか、もう視界が白く…。死ぬ前にもう一度またあの花が見たかった。
「おっ起きた?体だいじょぶか、日帝ちゃん」
冷たい床に寝かされているようだ。背中から体温が奪われていく。つんとした埃のにおいに顔をしかめつつ、焦点を目の前の男に合わせる。今すぐにでも飛びかかり首を絞めたいが、四肢の神経がイカれてしまったようで身体が動かない。仕方なく見たくもない顔を眺める。あいかわらずのマヌケ面だ。敵国の体の心配をするやつがイカれている訳がない。あの鬼畜米帝に生かされている自分も大概だが。やはりあの時死んでおいたほうがましだったかもしれない。
「お前にやさしくされる義理などない」
「まあ確かにな。あっ水飲むか?もう体回復してんだろ?」
国がどれほど傷ついたとして、国の化身は眠ったり食事をとればほぼ無制限に回復できる。だが自分の領土を攻撃したものに対し、回復を促すのは頭のねじが外れている。
「敵国からの飲み物に毒が入っていないわけがない!」
「んなわけねえだろ?日帝ちゃん。あっ!もし俺が飲んだら信用する?」
いい案を思いついたというように少年のような笑顔で見つめられた。
「少量だと毒として機能しないものかもしれぬ。お前ならそんなもの開発できるだろう?」
「あるにはあるけど別にこれは毒じゃない、俺がこのコップの水半分飲むから残りの半分飲めよ。」
飲まないと言っているのに。というかそんな毒あるのか?さらりと恐ろしいことを言うなこいつは。信用しているわけがないことくらい、分かるだろう普通、イライラする。こいつも少し眉間にしわが寄っている。強情な俺にムカついているのか、ざまあみろだ。
「油のように上のほうには水が溜まり、下のほうには毒が溜まるものかもしれない。」
「よくそんな屁理屈思い浮かぶなぁ?」
「うるさい!」
「せっかく人がやさしくしてやってるのに日帝ちゃんは相変わらずだな。ほら飲めよ、水が嫌なのか?
?こんなところにお茶なんかねえんだが」
水が悪いと言いたい訳では無い!お前が用意したものを飲みたくないと言っているのだ。
「お前は敵からものをもらうなと教えてもらわなかったのか!?俺は水も茶も飲まぬ!」
「別に今の俺にお前殺す必要なくね?」
「拷問でもして楽しむのかもしれない。お前に加虐趣味が無いとは言い切れん!むしろなかったらあんな恐ろしい兵器など作らんだろう。」
加虐趣味でも無かったら戦場であんなへらへら笑っているはずがない!思い出したら寒気がしてきた。
「拷問なんてしねえって。日帝ちゃん何日も眠ってたんだから体調のためにも飲んだほうがいいよ。」
「お前なぜ死ぬものが体調を気にしなければならないのだ!」
「えっ日帝ちゃん死ぬの??」
「敗戦国が生きていていい訳ないだろう。しかもだなもし死んだら先輩たちに会えるかもしれないのだぞ。」
敗戦国といった時不覚にも声が震えてしまった。心の奥底ではまだその事実を受け入れられていなかった。
「日帝ちゃんって転生信じる系?あいつらキリスト教だからむしろ転生とか言ったら嘲笑されると思うけどな。どちらにしろ、俺はもう日帝ちゃんにあんな奴らと関わって欲しく無いんだよな。」
「先輩方のことをあんな奴らなどと呼ぶで無い!」
「死なせねえよ?お前のこと。」
字面だけ見たら感動的だが、こいつに言われても気持ち悪いとしか思わない。
「お前は何を言っているのだ?もうじき裁判にかけられてどうせ俺は死刑だ。」
「いつもより弱気だねぇ、あの大日本帝国様も死への恐怖からは逃れられないのかな~?」
「ここは拘留場か?裁判といっても用意に時間はかかるものなのだな。」
「だから死なせねえって言ってんだろ?俺は日帝ちゃんに勝った、つまり俺の好きにしていい。」
「裁判は普通受けるだろう。お前の言うことを聞くのはそこで結果を聞いてだ。まあきっと死刑だからな、お前の世話になる気はない。」
閉鎖的な壁と硬い床、淀んだ空気から逃げられるのなら、現世もクソもない。
「お前のその希死念慮どうやったら消えるん?腹減ったのか?ああ自国に帰りたいのか。もうちょっとしたら・・・」
「黙れ!もう俺は国に見放されたのだ!俺に生きる価値などないのだ!」
「なるほど分かった、お腹空いてるからか日帝ちゃん!分かった、用意する」
こいつ人の話聞いてんのか!?何も口に入れぬと言っているのに!!
「おい、何処へいく!俺は何も食わない!」
「叫べる気力があって安心したよ。」
米帝の遠ざかる足音と自分の声が木霊して虚しく消えていった。
とりあえずこの部屋を観察する。ここで逃げだしたところで、ここがどこか分からぬまま迷子になって捕まるのがオチだ。今はここでじっとしているのが最善策だろう。
畳十二畳ほどのコンクリートでできた小さめな部屋。その部屋の角にあるドアの、対角線上の位置にあるベッドに寝かされているようだ。
顔だけ動かして横を見ると、高くて届くはずもない場所に小さくて鉄格子のはまった窓が見えた。光源はつり下がっている白熱電球から来ているはずだから、きっとあの窓は換気のために開けられた窓だろう。
寝かされているベッドは安い量産品だと思われる。前に先輩方の家にお邪魔したときに、とても高級そうなベッドで寝かしてもらったから分かった。手触りや息苦しさ、硬いマットと重い毛布からも感じる埃臭さがとても不快で、長らく使っていなかったものを急に引っ張り出したかのような感じがした。
防空壕の床や木の幹の影で寝ていた戦争時代に比べれば天国のようだが、あいつにそんなことをされても嬉しい訳がない。むしろ恐怖しか感じられないその待遇に吐き気を催すものの、胃の中は空で喉の奥には固形物の混じらない胃酸の味しか感じられなかった。
何か物音がすると音源を辿ろうと目をつむるのはいつもの癖だが、味方が助けに来た時のような慌ただしさの無い、たっかたっか!というようなふざけた足音だった。
「ごめんな日帝ちゃん!遅くなった。いつでも日帝ちゃんに会えるって事実が嬉しすぎてスキップしちまった!」
「もう二度と帰ってこなければよかったものを。」
あのふざけた音はスキップだったらしい。敵国の言葉を使うなと躾けられてきたものの、もう戦争が終わり気が緩んでいる。どうせ死ぬのだ。最後まで気を張る必要もない気がしてきた。帝国に見捨てられた自分に残ったものは何もないのだ。
「そんな冷たいこと言うなよ!日帝ちゃんがどうしようと、俺は絶対お前を生かす!」
まさかこいつ俺の心の中見えているのか!?だから俺は死ぬ以外に選択肢がないのだよ!分かれよいい加減!その漫画みたいなセリフが鬱陶しくてしかだがない!
「うるさい。くたばれ仲間と先輩方を返せ。」
「いや~いくら日帝ちゃんの頼みでも叶えられないかな…まぁあんな屑共からはなれられてよかったんじゃね?」
「だから先輩を…」
「侮辱するな!、だろ?もう聞き飽きた。さっきも同じ下りしたじゃないか。」
聞き飽きただと!?なら俺は、お前のその同情と優越が入り交じったような表情がもう見飽きてたまらないのだ!しかし目をそらす訳にもいかない、仕方なくお前の顔を眺めてやっているのだ!感謝しろよ!
「お前が先輩を馬鹿にしなければそんなこと言わぬ!」
「クソナチとか裏切りパスタのことよりまずは自分を心配しろ。」
こいつに何を言っても俺の声は聞こえないらしい。確かに同じやり取りをするのはイライラする。今回だけは先輩を侮辱したことを見過ごしてやろう
「俺のこの身がどうなろうとどうでもいい!自分の身を案ずる暇などない!」
「そっか、でも自分がダメになったら助けられなくなるだろ?たまには自分の体も大事にしろ!」
「もう終わったんだよ…助けられる力もない。」
お前が奪ったんだろうが、力を!その正義面が嫌いで、大嫌いでたまらない!
「とりあえず飯だ、お粥持ってきたんだ。」
「米か…」
食べ物に釣られかけるとは何とも不覚だが、米帝に対する憎悪が少し薄まったのは事実だ。
「そ、お前の好きな米。手に入れるの難しかったんだが?」
「たかが一人の捕虜のためにわざわざそんなことする必要ないだろう。馬鹿なのかお前は」
「疑問系なんだな。お前なら断定してくると思ってた」
そんなところ、いちいち突っ込まないでほしい
「お前は馬鹿だ。これで満足か?」
「ははっ満足だよ、さっ飯食え」
「食べ無い」
その回答を聞くや否や、米帝は持ってきたお粥をスプーンで一杯すくい取ると自分自身の口に流し込んだ。斜め上を見ながら柔らかいはずのお粥をゆっくりと咀嚼していた。
その不可解な行為に疑問を浮かべつつ、顔を眺めると虚無を捉えていた瞳がおもむろにこちらを向いた。
「粥って噛む必要無いよな」
「当たり前だ!あと食べ物を口に入れた状態でしゃべるで無い!」
意味不明な質問に唖然としていると、いきなり右手で顎をつかまれた。驚いて軽く頭を上げるとすごい速さで米帝の左手が頭の後ろに回され、痛む首関節を労わるようにゆっくりと持ち上げられた。
「は!?お前何してるのだ!」
無駄に整った顔が近づいてくる。無言のまま、もうお互いの鼻の先が触れ合うほどの至近距離まで引き寄せられると、一拍おいて唇と唇が触れ合った。脊髄反射で目を閉じると、唇の感触というものがダイレクトに伝わってくる。ふわふわとした米帝の唇は、なぜだか知らないが潤っていた。何で戦場で唇なんか手入れしてるんだよ!そんな心の中での叫びは届かなかった。
接吻とかいう初めての感触に目を白黒させながら、少し動くようになった手でそいつの腹を思い切り押したもののピクリともしない。ムカつきながら目を開けると、ただの青だと思っていた米帝の瞳の色が、水色や灰色、白色や藍色など様々な色が混ざり合い、深い深い色合いを作っていることが分かった。
そんな引き込まれそうな瞳から視線を外せないでいると、米帝の舌が自分の唇に当たり、そのまま口内にねじ込まれた。
「んん!?」
無理やりこじ開けられた口の中に、ほぼ液体と化したお粥が流し込まれた。頭の中がはてなで埋め尽くされ、抵抗を忘れてしまった。敵の唾液と自分の唾液がドロドロに混ざり、絶対に飲みたくない物質が完成している。口の中にあるだけで不愉快で、今すぎに吐き出したい衝動に襲われるが、口を塞がれている。つまり戻すことのできない一方通行になっているため、ただただ絶望が募るだけだった。
ずっとこの状態なのもつらいが、いつか離すだろう。離したらすぐに吐き出させてもらう!
…離さないんだが?なんなんだこいつ、逆に嫌じゃないのか?敵と接吻なんて。体感三十分の長い我慢対決は俺の負けで勘弁してやる。
「ん、ゴク」
「ぷはッ」
「はあ」
情けない声が漏れて、悔しさが体中に広がった。けれど米の甘さは少しだけ自分の冷静な判断力を回復させた気がする。やはり飢餓というのはかなり危険なのだな。目の前には母親のようにやさしく微笑んだ米帝の姿。不意に自分の中に沸いていた殺意が静まった。たかが米でと自分でも思うが、そのおいしさが指先まで伝わってピクリと震えた。
「よく食べました。」
「子ども扱いするな。」
「もう安全だって分かっただろ?残りも食べろよ」
皿を見るとまだ半分以上も残っている。ここで拒否したらまた口移しをされると思うと身震いがした。しかし米帝の口移しはあまり嫌な感じがしない。むしろ巣の中にいる雛に親が食べ物を与えるような、そんな優しさが感じられた。
「そうだな、分かった。感情的になって悪かった。」
「ちゃんと謝れるなんて偉いな日帝ちゃんは。」
「だから子ども扱いをするな!」
ブツブツ言いながら皿を受け取り、スプーンで自分の口に粥を運ぶ。この口の中に米帝の舌が入っていたのだと考えると少し恥ずかしい気持ちもあるが、気にしない振りをして黙々と食す。
「ん、食べ終わったか?あと水も飲んどけ。拒否したら…分るよな?」
お粥を食べるだけでも水分は取れると思うが、一応貰っておく。この男に殺意はないと分からせられてしまったから。
「いただく。ゴクゴク」
「誰かさんがわがまま言うせいで遅くなっちまったな、じゃ、これからの話をしようか。」
これからの話か…植民地にでもされるのだろう。もう自分には関係ないことだ。それにしても天皇陛下はどうなるのだろうか。忠誠を誓った身としてそれが一番心配だ。
「ま、とりあえず民主化だな。それが一番伝えたい。」
「は?先輩方のように分割されると思っていたのだが…」
「もともとそのつもりだったんだがな、他の奴ら忙しそうだし、俺が面倒みるべきだと思って。別に植民地にするつもりとかはあんま無い。」
拍子抜けする回答に思わず眉をひそめる。
「社会構造とか憲法とか諸々も変えたいとか思ってるけど、とりあえずね。もう少ししたらお家に返してあげるから。」
「どうせ変な条約結んでくるんだろ、黒船来た時のように…」
「ははっ、あんときはペリーが世話になったな。変な条約か。あっそうだ軍隊の禁止出そうと思っているんだが。」
「おまっ、俺はどうやって自国守ればいいんだよ!他国から攻められたら終わりではないか!」
「だから俺が守んの!」
正義のヒーローぶったその表情に、いつもだったら嫌悪を抱くが今は違った。
「お前は何で傷つけたやつに優しくしようとするのだ?なぜそんな余裕があるのだ?なぜこんな国のことを思うのだ…」
理解不能な心の広さに嫉妬して、まくし立てる。だっておかしいだろ、普通は捕虜にこんないい寝床を与えないし、おいしいご飯だって食わせない。きつい労働だってさせないし、実験の道具にするわけでもない。こいつの頭の中がお花畑なだけなのか?
「はい一回その希死念慮ストップ。確かに攻撃されて悲しかったのはあるけどな?でもな?俺お前のこと好きなんだよ。」
「は!?」
思考が止まった。自分の周りの時間も止まった気がする。
「likeのほうじゃねえぞ?loveのほう。にわかには信じられないよな。でもほんと。」
聞き間違えたらしい。そうに決まってる!
「戦争してたんだぞ?なあ戦争してたんだぞ?」
「もっかいキスしていいか?」
「俺はお前のこと好きじゃない。だから断る」
「そうだよな。悪かった。もう少しで手続き終わるから、休めないとは思うがゆっくりしていてくれ。」
そう言うといつもの笑顔じゃない、哀愁にまみれた表情を作りながら後ろを向き、ゆっくりとドアのほうへ歩いて行った。そんな背中を眺めながら、自分の頬に手を当てる。熱い、なぜか熱い。なぜこんな気持ちになっているのだろうか…。
「好き」という言葉が鼓膜にへばり付いて離れようとはしなかった。