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〜第一話〜
「君は、強くて優しい子になるんだよ」
私は、自分のお腹の中に宿る命にそう呟いた。
約一年前
「蔵馬!」
『ん?なに?』
「ここ、すごく綺麗な場所じゃない?」
『そうだね。とても綺麗な場所だ。』
「ーーー!ーーーーーー?」
『ーーーー?ーーーー。』
私たちは、結婚式をあげようとしていた。
そのため、いろんなことを一から調べて、準備を進めていた。
そんな、日常の小さなことが、私と蔵馬にとっては、とても幸せだった。
でも、幸せの日々は、そう長くは続かなかった。
結婚式をあげて、同棲もし始めてやっと、6ヶ月を経とうとしていた時、私は妊娠していることが分かった。最初は、とても嬉しかった。蔵馬にすぐに報告したくて、急いで家に帰った。そこに一本の電話が入った。
??「もしもし?」
女の人の声だった。
「はい、もしもし」
知らない女「〇〇さんの電話で間違いないかしら?」
「はい。…あの、どちら様でしょうか?」
知らない女「あぁ、ごめんね。名前も言わないで。私は、羊華(ヨウカ)。あなたの夫、蔵馬の知人よ。」
「そうなんですか」
羊華「単刀直入に言うと、蔵馬と別れてほしいの。まあ、簡単に言えば蔵馬と、これ以上関わらないでほしいわ。」
ズキッ
「なんでですか?」
羊華「なんでですかって?笑えるんですけど。理由なんて、聞くまででもないでしょ。あんたは、”蔵馬の重荷になっているからよ。”」
ズキッ
「…蔵馬の…重荷…?」
羊華「ええ、そうよ。」
羊華さんのあの言葉が胸にすごく刺さって忘れられなかった。そこから、何を話したのかも全部忘れてしまった。
でも、一つだけ覚えていることがある。
それは、蔵馬と別れることを羊華さんと約束を したことだ。それも、条件付きで。
羊華さんと約束をしてしまった以上、破るわけにはいかない。みんなを守るため…