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ふと、マネーは商談の為の書類に目を通していた。目元をギュッと強くつぶり、また、開く。すると、すっと隣から手が伸びてきた。
指先が書類に書かれている内容の一部分に触れる。その時、隣から声が聞こえた。
「ここ、間違ってるぞ」
「は!?」
マネーは思わず指刺された場所に目を向けると、確かに小さいがミスがあった。言われてなければ気が付かなかった。
「本当だ・・・感謝する!!フラーウゥス!!」
そうマネーは別世界のマネーこと、フラーウゥスに感謝した。するの、フラーウゥスは目元を和らげ、マネーの頭を撫でた。
「あまり無理はするな」
そうまるで兄のように優しく接してくれるフラーウゥスに、マネーは少し嬉しかった。
「・・・そういえば、フラーウゥスのメガネもあれなのか?外したら最強になるのか?お前が俺ならば」
すると、ラーウゥスはおもむろにメガネに触れ、それを“外した”
「!?」
マネーは思わず立ち上がり、警戒する。だが、いくら経っても、ラーウゥスは暴れる気配もない。マネーは首を傾げると、ラーウゥスは顔を上げた。それに警戒する、だが、次の光景に目を疑った。
「・・・は???」
──ラーウゥスの瞳が、薄い乳白色になっていた。
それは、マネーが覚醒の時に目が白くなるとおなじ状態、だが、目の前の彼は暴走さえしていない。マネーは困惑していると、
「・・・俺はある程度能力を使いこなせるようになっているんだ・・・多少荒業でだけどな」
「・・・お、教えてくれ!!どうやって能力を使いこなせているのだ!?方法は!?どうすれば!!」
マネーは思わず前のめりになり、ラーウゥスに詰め寄る。それに、ラーウゥスは首を横に振る。
「・・・この方法はおすすめしない。下手すれば、死ぬ方法だ。」
「・・・死ぬ方法・・・だと?・・・なら、何故お前は・・・それを?」
ラーウゥスはメガネに触れ、答えた。
「・・・これは、俺にとって家族からの“最初で最後の贈り物”だ。」
「・・・“最初で最後の贈り物”?」
ラーウゥスはマネーの疑問に嫌な顔一つせず、答えてくれた。
「俺と妹は、モンスターと人間のDNAを組み合わせる実験の実験台となった」
「!?」
「・・・妹はウサギのDNAを入れられ、そこまで人と違うことはない。少し跳躍力と耳が良くなっただけだ。だが、俺は・・・」
ラーウゥスは目を1度伏せ、顔を上げた。
「・・・“ピグリン”と“ウィザー”のDNAを埋め込まれた」
「なっ・・・!?ピグリンと、ウィザー・・・だと!?」
マネーは驚いたように目を丸くした。ラーウゥスは続けた。
「俺の場合は、感情が高ぶると、能力を発揮するんだ。だから、メガネを外しても何ともならない。」
「・・・そうなのか・・・ところで、さっき言っていた贈り物とは・・・?」
「・・・俺と妹の両親は・・・」
そこで、一区切り入れ、ラーウゥスは答えた。
「・・・“俺が殺した”」
「・・・・は?」
そうラーウゥスは真っ直ぐ答えた。その帰ってきた答えに、マネーは驚きのあまり、声が出なかった。
「・・・いや、正確には、“まだ能力が不安定な俺が殺した”が正解だな」
「・・・何故、殺したんだ・・・?」
やっと絞り出したか細い声で、マネーは問いかけた。そんなマネーの問いにラーウゥスは答える。
「・・・すまない、あまり、あの時の記憶がないんだ。だが・・・俺が、自分で、この手で両親を殺した・・・命令され、勝手に動いて、能力を発動して・・・そして、気がついたら、俺は血塗れだった。」
マネーは言葉を失う。それでも、ラーウゥスは話し続ける。
「・・・こんな親不孝な俺に、両親は何と言ったとおもう?『会いたかった』ただその一言だけ呟き。両親はこと切れた。・・・こんな俺に恨み一つ吐かず、両親は死んだのだ・・・最初は罪悪感に推し潰れそうだった。やがて、その感覚も麻痺し始めた・・・だが、そんな時、すまない先生に出会ったのだ」
「・・・アクアのことか?」
「あぁ、すまない先生は、俺や妹を見捨てず、救ってくれた。とても嬉しかった。こんな人殺しを見捨てず、妹まで救ってくれて・・・本当に、嬉しかった・・・」
ラーウゥスは嬉しそうに笑う。本当に嬉しかったんだ。と心からわかる。
「・・・あの人は、俺にとって恩人でもあり、神様でもあるんだ」
「・・・神か」
そうマネーはボソッと呟いた。神なんてもの、マネーはあまり信じていない。神なんてものがいるならば、この世に貧困など無くせる。そうマネーは心にもないことを思う。
だが、目の前の彼を見ると、本当にすまない先生、アクアに感謝している事が分かる。
「そうか・・・お前も、いい恩師に会えたのだな」
そうマネーはこぼす。そんなマネーの言葉に、ラーウゥスはただ微笑んだ。