テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ある日の午後休憩。独はいつものように莫大な量の仕事に追われていた。
(今日も残業か。)
時計を確認し、小さく息を吐いた。キーボードの上で独の細い指が跳ねる。カタカタと間抜けな音を出しながら、大量の仕事に手をつけていた。
「…さん、……ドイツさんっ!」
独を呼ぶ声で目が覚める。急いで周りを見渡すと、見慣れた会社の風景だった。横を見ると、ドイツの同僚である日本が困ったような表情を浮かべていた。
「大丈夫ですか?最近浮かない顔をしていますし、今日だって居眠りされてましたし…お疲れなんですか?」
心配そうに日本は言った。独の些細な変化に気づいてくれるので、日本と は仲が良かった。日本も独と一緒で、酒が好きだ。だから、仕事終わりにたまに飲みに行く仲だった。
『あぁ、大丈夫だ。最近少し、悩みがあってな。それで悩んでいただけだからな。心配することじゃない。』
独の悩んでいること、それはもちろん露のことだ。前に、身体を重ねてから会っていなかった。連絡もとってないため、少しだけ心配だった。
日本が手首につけているスマートウォッチを見て、独に言った。
「…そうだっ!今日は金曜日ですし、定時に上がれれば飲みに行きませんか?ドイツさん最近疲れてそうですし、私の奢りで。」
日本は、独のことを気遣ってくれたらしい。予定もなかったため、日本の誘いに乗ることにした。
『いいのか?日本が言うなら飲みに行こうか。』
こうして、仕事終わりに飲みに行くことになった。
午後休憩からどのくらい時間が経っただろうか。今、独は日本が買ってきたエナジードリンクを片手にパソコンを打っていた。時刻は、9時45分。終電はまだあるので、安心していた。このままだと、飲みに行く約束は無しだと思うと、少し残念だった。
「これ、いつ終わるんですかね…。」
気の遠くなるほどの量のタスクを見て、日本が言った。そう思う気持ちは痛いほど理解できた。だが、独はあと少しで終わりそうだった。
……。パソコンを無言で打ち続け、ようやく仕事が終わった。日本のデスクに歩いていった。
『日本、終わりそうか?』
すると、日本は力無く答えた。
「…こんなの無理です、終わるわけないじゃないですかぁ……! 」
日本は真面目だから、時間がかかるのだろう。
『飲みに行かないのか?なら、私は帰るぞ。』
そう言うと、日本は独を見つめて言った。
「もういいですっ!来週来た時にやります。そんなに急ぎの資料じゃないので」
独は、それを聞いて少し微笑んだ。そんなに飲みに行きたいのか。そう思うと、面白かった。
日本は使っていたパソコンの電源を落とし、脱いでいたスーツのジャケットを手に持った。残業していたのは2人だけなので、鍵を閉めて職場を後にした。
会社を出た後、日本が言った。
「ふぅ、私たちいつも残業ばっかりですね。上司に呪われているんでしょうか?」
そんな冗談を言えるのが日本らしいなと独は思った。
『そうだな。いつも私たちだけが残業だな。日本の言うことは一理あるかもしれない。』
独もつられて、冗談混じりに言った。そして、仕事の愚痴を言いながら、居酒屋に向かった。
コメント
2件
初コメ失礼します! 語彙力が神ってて…💘🫶 続き楽しみにししてます😊