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『蓮へ
解ってくれますか。
もう時間は前へと動き始めている。いつか君が言ったね、俺の存在は【現実世界へのリハビリ】だって。そのリハビリももう終わったようです。
俺は、今日で俺の役目を終えようと思います。
自己破壊プログラム
実は俺の開発者である俺の父は、死ぬ前にこれを俺に贈ってくれました。
ロボットが自殺なんておかしいと思いますか？
でもこれって普通のことなんだよ。
俺の存在が君を悲しませる時、俺は俺が知らずに君を傷つけてしまうことを望まない時、このプログラムがあって初めて良かったと思えたんだ。
蓮のことが好きでした。
魂も命も持たない俺が生まれ変わりを望むだなんて滑稽な話だけど、俺は俺を生んでくれた父と全く逆のことを望みます。
次に生まれて来るときには、どうか、血の通った人間でありますように。
蓮の笑顔をいっぱい見て、時には蓮に逆らって喧嘩をして、命令を無視して、それでも仲直りしてずっとずっと愛し合えますように。
さよなら。
名無しの翔太』
決して読まれることのないメッセージをデータに遺して、俺は静かに目を閉じた。
やがて五感が閉じていくように静かにひとつひとつの回路が切断されていく。
世界が終わる。わずかばかりの時間をかけて。光の届かない場所へ俺の意識は沈んでいった。
コメント
5件
やばいガチ泣きです😭 （初コメがこれだけで申し訳ないです、
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