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クエストを受けた俺は早速目的地に向かった。
街から門まで馬車が無料で手配されるようだ。
そこから、初めて街の外の景色を見た。
例えるなら、スイスが近いかな。広大な自然と
いくらでも吸えるくらい気持ちいい空気。
今から行く場所は徒歩30分くらいの近場だ。
よし、頑張ろう。
初めてのクエストで緊張もしたが、薬草採りということもあり安心していた。
しかし、あんなことになるとは……
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「ふぅ、ここら辺か」
長らく運動してなかったせいか、少しの移動でも息が上がるようになっていた。
体力もステータスに関係するのだろうか。
それをおいといて、周りを見渡す。
探すこと10分…
クエスト紙に書いてある薬草が全く見当たらない。あの女のなんちゃらハンターも稼げるとは言っていたが、そんな貴重なのか?
そんなことを思いながら、探していると茂みが別れて道になっているのが見えた。
これって言わゆる獣道ってやつか?
ここは危険そうだ、離れておこう。
「ガサガサガサ」
離れようとした瞬間、さっきの獣道の方向の茂みから音がするのが聞こえた。
その方向を向きながら後ずさりをする。
気配に気づいたのか、音の正体が姿を表す。
全体の体長は1m60cmくらいか?
いや、それ以上の大物だ。
白銀に輝く毛皮、凛とした立たずまい、獲物しか目に入らぬような力強い眼。
狼によく似たモンスターだ。物凄い圧でこちらを見てくる。
人生で初めての死を実感した。
最恐のジェットコースターがあったとする。
それをはるかに凌駕する本物の恐れ。
身体中の血管が流れるのを感じる。
あぁ、人生逆転してやるとか、ほざいてた癖に、結局はこれかよ。
最初はスライムとかだろ。ゴブリンでもいい、
結局あの女も他の薄汚い奴らと何ら変わらんかった。ほんと、俺って運ないな。
いや、まだだ。逆転してやるって誓っただろ!
あっちの世界での屈辱を忘れていないだろ!
やってやる、いや、やって殺る!
距離にして8m。
あちらもこっちの様子を伺っているようだ。
今持っているものは、最初に貰った剣と、役に立つだろうと受付のお姉さんがくれたポーション1個。
この世界のポーションというのは、飲むタイプのものではなく、傷口にかけるというものらしい。まあ、そんなことはどうでもいい。
身体を低くし、戦う体勢をとる。
相手が少しずつ近づいてくる。
唾を飲む。
「ゴクリ」
その瞬間、相手がこちらに一直線に向かってきた。
大きく剣を振りかぶる。しかし、避けられてしまった。次の攻撃をしなけれ、b…
足が奴の爪で引き裂かれる。
熱い、痛い。だが、アドレナリンで痛みは和らいでる。
我慢しながら、剣を振る。
全身全霊を込めた一撃。
胴に当たった。致命傷ではないが、奴に傷を負わせた。いける。
その勢いのまま、次の攻撃の準備をする。
「オリャアアアァ!!」
剣の鋭利な部分が奴の首に突き刺さる。
だが、一筋縄では行かなかった。
奴が最後の力を振り絞って、肩に噛み付いてくる。焦った俺は、たまたまそのまま近くにあった木に突進した。
瞑っていたままの目を開けると、血まみれの奴が目に映る。
奴はもうピクリとも動かなかった。
やった!!勝ったんだ!
嬉しさと疲れが込み上げてくる。
これほどの喜びを味わったのは何年ぶりだろう。
こんな俺でも勝てたんだ。もうあの頃の俺なんて言わせない。
座り込んだまま、感情に浸っていた。
浸って、少し時が過ぎた後ポーションで身体の傷を治す。回復はするが、粗悪なポーションなので気休め程度にしかならないらしい。
そうだ、そういえば薬草!
獣道の先に、たんまりとある薬草が目に入る。
奴のねぐらだったらしい。
しっかりと薬草を回収用の袋に入れた。
帰る前に、ゲームだったらモンスターって売れるよなと思った俺は倒したモンスターを担ぎ、
街に帰った。
今日は大変な一日だったな。
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Exスキル
逆転の勇者
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 解放…