テラーノベル
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「…なぁ、照にぃ」「ん……?」
ホテルのベッドの上。
うつ伏せに寝転がる岩本照の背中に、向井康二が馬乗りになってマッサージをしていた。
最初はただの身体のケアだったはずが、いつの間にか康二の手つきは、凝りをほぐすものから、肌を愛でるような優しいものに変わっていた。
「照にぃ、ここ凝ってるなぁ。……また一人で頑張りすぎたんちゃう?」
「……別に、普通だよ」
「嘘つき。身体は正直やで? ガチガチやん」
康二はそう言うと、岩本の広い背中にゆっくりと自分の上半身を重ねた。
重みがかかる。でも、それは不快な重さではなく、じんわりと体温が伝わる心地よい重さだ。
「……おい、康二。重い」
「動かんといて。……逃がさへんから」
耳元で囁かれた声は、いつもの高いトーンのおちゃらけた声ではなく、低く、少し掠れた「男」の声だった。
岩本がビクッと肩を震わせる。
「……お前、」
「いつもは俺が甘えん坊やけどさ。……たまには俺にも甘えさせてや、照にぃ」
康二の手が、岩本の脇腹を滑り、Tシャツの裾から素肌へと侵入する。
冷房で冷えた指先が熱い肌に触れ、岩本が小さく息を呑んだ。
「……っ、やめろ……くすぐったい……」
「嫌がってる割には、力入ってへんで?」
「うるせぇ……」
岩本は枕に顔を埋めて表情を隠す。
抵抗しようと思えば、筋肉量の勝る岩本が康二を振りほどくことなど造作もないはずだ。
だが、岩本はそれをしない。
康二の放つ、意外なほどの独占欲と、関西弁特有の柔らかな包容力に、身体が言うことを聞かなくなっているのだ。
「……ほんま、可愛いなぁ」
康二は岩本の首筋に顔を埋め、チュッと音を立てて吸い付いた。
「っ……! 康二……!」
「ふふ、真っ赤やん。……照にぃ、俺のこと男として意識してるん?」
「……調子乗んな……」
「乗るよ。好きな人がこんな無防備なんやもん」
康二は岩本の身体を強引に反転させ、仰向けにさせた。
視線が絡む。
上から見下ろす康二の瞳は、真っ直ぐで、熱くて、逃げ場がない。
「……なぁ、照くん」
不意に「兄」呼びを捨てて、名前を呼ばれた。
「俺の前では、リーダーとか筋肉とか、全部忘れてええよ。……ただの可愛い恋人でいて」
「……っ、」
その言葉が、岩本の心のガードを完全に粉砕した。
潤んだ瞳が揺れ、岩本は観念したように両手で顔を覆った。
「……お前……ズルイんだよ……」
「ズルくてええよ。……愛してるで、照」
康二が覆った手を優しく退け、甘いキスを落とす。
いつもは守る立場の岩本が、今は完全に康二の腕の中で溶かされている。
「克服」どころか、その底なしの甘さに溺れていく感覚。
最強のリーダーが唯一、年下の恋人に「負け」を認める、甘くて熱い夜だった。
コメント
1件
このこーじの雰囲気好きかも こーじは心を溶かすタイプなのかー めめとかと違ってこれもいいね 続き待ってます