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向井side
家に帰ってくると玄関にサンダル
慌てて部屋を覗くと、待ちくたびれたのか、ソファの上でしょっぴーが寝息を立てていた
眠れていないのか隈がひどい
頬には涙に濡れた跡があった
「しょっぴー?」
「んん」
頬を撫でると瞼が半分上がる
「来てくれたん?」
「っ!こーじ!」
俺がいるとわかった瞬間に飛びついてくる
「こーじ……こーじ」
「うん」
「…………すき…だいすき……こーじが好き。こーじがいないと俺生きていけない」
瞬く間にしょっぴーの顔が涙でぐっちゃぐちゃになる
「やっと言うてくれたなぁ」
濡れる頬を両手で包んで、親指で涙を拭う
「……ごめんなさい〜〜!うわぁーん」
「分かったから、もう泣かへんの」
「…だぁって〜〜」
わんわん泣いてる。こんなしょっぴー見たことない
「寂しかった?」
「さ、さみしかった!すごく、さみしかった!こーじは、ひっく、おれの、となりにいなきゃ、ダメなん、だから、うぅ〜」
「俺も寂しかったで」
「ひっ、く、こーじ、もっと、ぎゅってして」
「はいはい」
しゃくりあげながら泣いているしょっぴーを抱きしめて背中をさする
肩口はしょっぴーの涙でべしょべしょだ
背中をさすり続けていれば、少しずつ落ち着いてきたみたいだ
「ほんとに、ちゃんと、好きだから」
「わかっとる」
「ちゃんと、言うから」
切羽詰まったような声から必死さを感じて、それだけしょっぴーが俺のことを好きでいてくれてると感じられて嬉しい
こんなに可哀想な思いをさせるのなら、言葉なんてそんなに求めなくったってよかったのかもしれないけど
でも長く一緒にいたいからこそ、不満が溜まってしょっぴーを決定的に傷つけてしまうようなことは避けたかった
だからもうちょっとだけ、俺のために、俺たちのために頑張って欲しかった
「そんなに、ずっと頑張らんでもええよ。いつもじゃなくてええねん」
「?」
「しょっぴーが苦手なんは知ってるし、好きって気持ちを言葉以外で表現してくれてることも嬉しいし。普段はそれで充分。俺も自分が言う方が好きやし」
別に決して無理をさせたい訳ではない
「ん」
「でも、前も言ったように俺も自信がなくなることはどうしてもある。せやから、俺がお願いした時とか、ちょっと弱ってる時は、頑張って言ってくれる?」
「ん、わかった」
「ありがとう」
頭を撫でて笑いかければ、ほっと安心したように息を吐いている
「………こーじ」
「ん?」
「あ、あの………」
「どした?」
ぎゅっと俺の服を掴み、頬を紅潮させて視線を彷徨わせる
「あの、その、…すぅ、はぁ」
瞼を閉じて、分かりやすく肩を上げ下げして深呼吸をする
きっと何か頑張って伝えようとしてくれてるのを、気長に待つ
目を開けて、涙目で俺を見つめて、震える小さな小さな声で呟く
「……き、きす…して?」
健気で可愛いらしい
しょっぴーから、言葉でキスのおねだりをされたのは初めてだ
大概は俺が察してキスをするし、しょっぴーからねだられる時も、服を掴んでじっと見つめられて、ん、と言われるだけ
今回のことを反省して、懸命に言葉で伝えようとしているのだろう
離れていかないで、という切実な気持ちが詰まっているようだ
「もちろんええよ」
両頬を包んでそっと唇を重ねてキスをする
背中に回ったしょっぴーの手に力が入る
顔を離すと、ふにゃと下がった眉が見える
そしてまた小さな小さなお願いが聞こえる
「……もっと」
「うん」
会えなかった間の寂しさを埋めるように
しょっぴーからの小さなお願いは続いた
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