テラーノベル
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「俺、こういうことに慣れてなくて……すみません……でも、好きなのは本気です! これは誰にも負けません!」
恋愛経験ゼロ。
不器用で、
まっすぐで、
一途で——。
「……他の男に、触らせたく、ないです」
そんなこと、
真剣な顔して言うから。
年下なんて、
恋愛対象じゃなかった——はずなのに。
気づけば私は、
彼なしじゃ駄目になっていた。
***
グラスの中で氷が小さく音を立てる。
賑やかな笑い声が飛び交う居酒屋の一角で、木葉 亜佑美は目の前の男たちを静かに値踏みしていた。
(この人、年収は悪く無さそうだけど何か理屈っぽい感じがなぁ。この人は顔が好みじゃないし……今話してる人は自分語りばっかりでウザい……)
「でさ、最近は投資とかも始めてて――」
「あ、そうなんですね」
適当に相槌を打ちながら、亜佑美の意識はすでに別の相手へ向いていた。
亜佑美は昔から男に困ったことがない。
学生時代から告白された数は両手では足りず、社会人になった今もそれは変わらなかった。
容姿は華やかで愛想も良い。
距離感の詰め方も上手く、自然と人を惹きつける空気を持っている。
だからこそ、周囲からはよく言われた。
『亜佑美ちゃんって絶対モテるよね』
『選び放題でしょ?』
実際、その通りだった。
食事に誘われることも、連絡先を聞かれることも日常茶飯事。
付き合った人数もそれなりにいるし、恋愛経験だって豊富だ。
けれど、その分だけ“見る目”も養われていた。
口だけの男。
最初だけ優しい男。
自信ばかりで中身の伴わない男。
そういうタイプは会話を数分交わせば大体分かる。
だから亜佑美は恋愛に妥協をしない。
付き合うなら顔も性格も良くて、ちゃんと頼れる男がいい。
そして出来れば年収も安定していて自分を安心させてくれるような、そんな相手。
その条件を効率よく満たすために、亜佑美は定期的に合コンへ参加していた。
友人や知人に声を掛け、“ちゃんとした男”を集めてもらう。
条件の良い男は待っているだけでは現れない。
自分から探しに行くべきだと亜佑美は考えていた。
そして今夜もまた、その“選別”の為にこの場へ来ている。
だからこそ、その条件を満たさない相手には一切興味を持たない。
ふと視線を横へ流した時、場の空気に少し馴染めていない男が目に入った。
「あ、あの……仕事はIT関係で……えっと……」
言葉を詰まらせながら話す姿に、亜佑美は思わず眉を顰める。
(何あれ……)
スーツは悪くない。
けれど着慣れていない感じが丸分かりで、会話もぎこちない。
(あれは無いな)
優しいのかもしれないし、真面目なのかもしれない。
でも、それだけだ。
恋愛対象には絶対ならない。
(あの子、確か年下だったから……せいぜい弟ポジションって感じよね)
そう思った瞬間、ふいに目が合った。
「あ……」
彼は驚いたように目を見開き、慌てて視線を逸らす。
その反応に亜佑美は少しだけ口元を緩めた。
(まあ、見方によっちゃ可愛いけど……彼氏にするとか有り得ない)
#溺愛
結局、この日の合コンは“ハズレ”だった。
「今日はありがとうございました」
店先で形式的な挨拶を交わし、流れで数人と連絡先を交換する。
例の年下の彼――藍島 朝陽とも交換したが、連絡を取ることはないだろうと亜佑美は思っていた。
それから二週間程が過ぎた休日の昼過ぎ。
「……最悪」
ベッドの中で荒い息を吐きながら亜佑美は額へ手を当てると、明らかに熱がある。
(風邪とか……何年ぶり……?)
体温計でも計ってみると、やはり数字はかなり高い。
ぼんやりする頭でスマートフォンを掴み、薬や飲み物を宅配で頼もうとするが、熱のせいで上手く操作できない。
何度かタップを間違えた挙句、気づけば発信音が鳴っていた。
(やば……誰かに電話……)
慌てて切ろうとした、その瞬間、通話が繋がってしまい、
『――もしもし?』
聞こえてきたのは聞き覚えのある男の声。
コメント
1件
うわあー!これ、めっちゃ気になる展開!!😭💕 亜佑美、最初は「年下無理」ってバッサリ切り捨ててたのに、よりにもよって熱で弱ってるときにあの真面目くんに繋がっちゃうとか…運命感じちゃう!✨ 不器用で一途な朝陽くんがこれからどう動くのか、超楽しみ!続きが気になりすぎる〜😤💖