テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
__20XX年、男、女の他に“第二の性”が出来ていた。
オメガ、アルファ、そしてベータ。
いつの間にか、それが当たり前になっていた。
学校でも、一年に一回定期検診的なのがあって、変わっていないか調べられる。
俺は中一の頃にアルファになった。
番を作った訳でも無い。
ベータに比べて圧倒的に人数が少なく、俺も今なら言える、調子に乗っていた。
位の高い順からアルファ、ベータ。
そして最下層がオメガ。
1番人数が少ない、だが、到底良い扱いはされない。
俺もそれを分かっていた。
だから。
ばしゃん、と教室のドアの前で水が床に落ちる音が響く。
緑「……」
水を被って固まっている一人の男子生徒。
桃「ぁ、すちっ、?!」
後から入ってきたもう一人の生徒が心配そうに駆け寄る。
桃「あ”ぐッ、」
それに素早く蹴りを入れた。
「うわ、なつまたやってんの〜」
「飽きねぇなあ、w」
遠くから笑うクラスメイト達。
それを見て少し俺も気分が良くなる。
赤「だって此奴何か苛つくし、w」
まぁ、言ってしまえば虐めだ。
だけど誰も止めない。
それは此奴らが…
緑「オメガだからって、こんな事する必要無いじゃん、」
一人が呟く。
あー、名前何だっけ。
「緑丘もあんま口答えすんなよ、w」
クラスメイトの一人が煽る。
嗚呼、そうだ。
緑丘すち。
それと…
赤「桃乃、らんだっけ?」
疑問系で尋ねると、こちらを睨む。
赤(本当に)
桃「いだッ、?!」
赤「苛つく、」
紫「なつ、聞いた?」
赤「んぁ?」
隣で牛乳を吸いながら聞いてくるのは、紫音いるま。
昔からの幼馴染だ。
紫「んぁ、じゃねぇよ、」
ぺしっと後頭部をノートで叩かれる。
紫「今日診断日っしょ?お前のクラス。」
赤「そだっけ…」
いるまとはクラスが離れている。
紫「ま、どうせお前今年もアルファっしょ、ww」
ニカっと笑って見せる。
赤「だと良いけどなww」
検診といっても、採血されるだけの単純なものだ。
特に何かやって来てくれ、みたいな事はない。
「次、暇さん入って来て〜」
血を抜かれた後医師に一人ずつ呼ばれた。
赤(まぁやっぱ今年もアルファだろ、)
軽い気持ちでドアを潜る。
「はい、これ。」
毎年通り、診断書を渡される。
ruruha
#執着攻め
赤「…え。」
最初は、見間違いだと思った。
赤「こ、れって、」
「書いてある通りだよ、」
「暇 72さん、貴方……」
赤「え、」
性転移、初めて聞くという訳でも無いが、とても珍しい事だ。
文字通り、性が変わってしまう事。
俺の場合、
赤「アルファから、オメガに、ですか、?」
問い掛けると俯きがちで答える。
「まぁ、そういう事だね。」
赤「ッッッ、!」
身体から血が引いていく感覚がした。
あれだけ散々馬鹿にしてきたのに。
赤(最悪ッ)
紫「なつ〜おは、」
違うクラスの癖に、当たり前のように入っきているまが話しかける。
紫「珍しいな、彼奴ら虐めてねぇじゃん。」
いるまが指差す先には、何の変哲もなく椅子に座って話している2人の男子生徒。
赤(桃乃と緑丘、)
やばいな、彼奴らにバレたら一番ヤバイ。
赤「……どうしよう、」
昨日聞いた事を思い出し、机に突っ伏して唸った。
紫「うわ、どしたん?ガチで怖いんだけど。」
赤「むぅ、」
少し心配そうに覗き込んでくるいるまは新鮮で、横目で睨みつつ考える。
赤(……此奴には話しておくか、?)
それが妥当かもしれない。
1人は信用出来る奴が居ないと駄目か。
赤「ッ、あ”あ”あ”〜ッッッ!!!」
紫「うぉッ!何?!ガチでッ?!」
もう考えるのさえ面倒臭い。
赤(今度で良いや,)
そんなことを考えていた時だった。
赤「…ッ?!お”ぇッ」
急な吐き気が身体を襲う。
紫「は、なつ?!」
手を伸ばして背中をさすろうとしてくれる。
赤「ぅ、ごめっ、」
いるまを振り払い、トイレへ駆け出した。
赤「あ”〜、」
余りにも気分が悪かった為学校を早退し、家路に着く。
赤(なんか治ったな、)
思ったよりすんなり良くなり、やるせなさを背負う。
いるまには悪かった。
折角心配してくれたのに。
赤「今からでも戻るか。…」
赤(や、待てよ、?)
それって逆に怪しまれるのでは、と考える。
早退と言うか本当に早く帰ってしまっている。
スマホを取り出し時間を見るとなんと11時30分。
赤「今日彼奴学校だっけなぁ。」
彼奴、とは大学生、20才の兄の事だ。
大分前から二人だけで暮らしている。
仕事じゃ無かったらとりあえず病院に連れてってもらわねば。
原因不明の吐き気とか、怖すぎるし。
赤「ただいま〜」
家に着き、ドアを潜る。
微妙な異変に気がつくまで、それほど時間は掛からなかった。
赤「酒臭ッ!」
玄関からでも香る強烈な酒の匂い。
こりゃ一本どころでは無い。
それに、俺の兄は酒にそれほど、と言うか全く強く無い。
つまり。
赤「いふっ!!!」
靴を脱ぎながら叫ぶ。
暫くするとリビングに続くドアが開く。
碧「あり、やっぱり冴てんねぇ、もうおにーちゃん褒めちゃう。」
何時ものふざけた口調で言ってくる。
赤「てめぇは義兄ちゃんじゃねぇ!」
イラっとする馬鹿馬鹿しさだ。
此奴はいふ。
何か、まぁ。その、
俺の本当の兄ちゃんの彼氏だ。
赤「で、ないこは?」
問い掛けるまでも無かった。
褪「なつぅ〜〜」
どたどたと足音を立ててやって来て、抱きつかれる。
赤「ガチで酒臭ッ」
しかも昼から。
此奴らは何をしてるんだ。
赤「社会人謳歌してんな。」
皮肉気味でないこを渡していふに言う。
碧「良いでしょ、別に。」
ぷく、と頬を少し膨らませる姿はまだ子供の様だ。
もうそれに俺も諦める。
赤「はいはい、良いよ。」
そう言っていふを横切ろうとすると、顔を顰める。
赤「…何。」
どうせ愚痴だろう。そう思い少し止まってやる。
碧「もしかして、や、ぇ〜」
赤「はぁ?」
何だ此奴。
めんどくさ。
赤「はよ言えや、てか病院に…」
碧「お前オメガやったっけ?」
赤(…え)
ぞくっと首筋が冷える。
不思議そうに焦点の合っていない目でないこが俺を見る。
褪「あぇ〜?そうりゃっけぇ、?」
赤(、)
まずい、そうだった。
いふはアルファなんだった。
そう。此奴はないこの番だ。
俺の兄はオメガ。
だから必然的に遺伝子的なものがあるのかも知れない。
赤(嫌…でも何で分かった、?)
考えても分からなかった為、
赤「違ぇし、寝る。」
と吐き捨てて2階へ登った。
碧「……」
赤「ッ、はぁ、ッ」
やる事も無かった為、ベッドに横になった所学校の時より酷い吐き気がする。
赤「痛っ、」
おまけに激しい頭痛。
病院に行くべきか迷う。
だが彼奴らは酒飲んでるし、このまま歩いて行くのも無理だろう。
そう思って布団の上で丸まり、無理やり目を閉じた。
赤「おはよ」
あれから無事朝を迎え、欠席日数を増やしたくないという理由で学校に来た。
周りでは、クラスメイトが心配してくるが、いるまが居る気配は無い。
赤(後で謝っとくか、)
とりあえず席につくと、此方をじっと見てくる2人組が居た。
赤「あ”?」
気分がまだ少し悪いのを悟られぬよう、強気で声を出す。
すると案の定違う方を見て話し出した。
「どしたん?この頃彼奴らに突っかからんやん?」
取り巻きに居た1人が聞いてくる。
痛い所をつかれてしまった、まずい。
赤「あ〜、何となく飽きたから?、w」
適当に言い訳をすると、すんなり信じて貰えた。
なつは前から気分屋だしな、という謎の評価を貰って。
赤「…」
1限目は国語で、訳の分からない字をすらすらと並べていく教師。
皆必死に置いて行かれぬよう板書している。
俺もその1人だ。
ちらっと横を見ると、特にノートを取る様子が無い桃乃。
余裕さにイラッとしそうだったが、そんな事さえ考えて居ても頭痛が来そうだった為辞めた。
赤「…ッ」
まだ耐えられる位ではあるが、腹痛がする。
同時に昨日の頭痛と吐き気が来る。
赤(ヤバい)
最初は良かったが、どんどん昨日の状態より酷くなってくる。
赤「…ぁ、」
消え入りそうな声で呟く。
そうだ、思い出した。
こんな状態のないこを見た事がある。
“発情期前のオメガ”を。
赤(もうすぐヒートじゃんッ、)
これは本当にまずい。
抑制剤も持ってないし、何より周りに彼奴ら2人しかオメガが居ないため貰うことも出来ないだろう。
此処は、、
赤「先生、気分悪いので保健室に、」
すると早退の事もあってか心配そうに承諾してくれた。
少しずつ廊下を歩き出す。
身体が熱い。
涙が滲んでくる。
緑「____。」
桃「_______?」
教室の方から教師に話し掛ける生徒の声がする。
赤「…、!」
大事な事を思い出した。
赤(保健室の彼奴…アルファじゃ無かったか、?)
もし俺の記憶が正しければ、そうだった筈だ。
そしてそうだったら、俺のヒートが来たら襲われてしまう確率も低くは無い。
赤(終わった、)
まずは人気の無い所へ。
そう思い、向かったのは校舎から大分離れ、今は使われていない旧体育館倉庫だった。
__後ろから着いてくる影に気付かずに。
赤「ふ、ッ、」
倉庫に着き、運動マットに座る。
少し、というか凄く疲れた。
暫くは安心出来る、後は耐えるだけ。
そう思った。
その時だった。
桃「はっけ〜ん。」
緑「らんらん、大きな声出したらバレちゃうよ。」
赤「ぇ、」
入って来たのは緑丘と桃乃だった。
声も出なくなり、呆然と2人を見詰める。
桃「ぅわッ、凄い匂い、」
此方に近づいて来て言う。
匂い…もうヒートが来てしまった様だ。
緑「大分拗らせたんでしょ、」
ここで1つ疑問が上がった。
赤(此奴ら、こんな態度でかかったか、?)
嫌、今はそんな事考えてる場合じゃ無い。
赤「お前らッ、んでこんな所いんだよッ!」
声を振り絞り威嚇すると、
桃「は?」
赤「んぇ、ッ」
声と目から明るさが消え、思わずすごんでしまう。
緑「こ〜ら、怖がらせちゃったら駄目じゃん。御免ね?」
頬に手を伸ばされ、抵抗できない儘撫でられる。
桃「…俺達、知ってるんだよね。」
急に話を切り替えられ、まだ上手く作動していない頭で着いていけない。
桃「暇さん、や、なつがオメガだって事。」
赤「へ、」
間抜けな声が出る。
緑「御免ね、これ見ちゃって。」
ポケットから取り出した紙には、生徒全員の性別が書いて合った。
緑「これは校長だけが持ってる奴何だけど、落ちてたんだよ。」
一気に鳥肌が立つ。
しかも。
赤「さっき、匂いがするって、」
すると桃乃が意地悪くにやっと笑う。
桃「なつ、性転移しちゃったんでしょ?」
桃「実は俺達も、何だよね。」
血の気が引く。
赤「ちょ、ちょっと待って!」
焦って転んでしまう。
緑「わ、危ないよ。」
緑丘は穏やかににこにこと笑っている。
いつもムカついて居たこの顔が、異常に怖く思えて来る。
桃「あ、すち。」
緑「分かってるよー」
緑丘が茶色の小さな瓶を取り出し、桃乃に渡す。
それを口に含んだ。
赤「ん”ぐッ」
顎を掴まれ、唇を重ねられる。
口の中に入って来たのは、甘ったるい液体だった。
赤「はッ、何すんだよ!」
精一杯の威嚇。
だがそれも相手にされない。
緑「ちょっと黙って。」
そう言って近付いてくる手にはロープの様な物が握られている。
赤「は、離せ、」
ぐるぐる手足を縛られ、身動きが取れなくなる。
桃「大丈夫大丈夫、殺しはしないって、w」
緑「ただちょっと、我慢比べしよっか。」
赤「どういう、事、?」
話の意図が読めなくて戸惑う。
緑「ヒート中のオメガと、それを目の前にしてるアルファ。」
緑「どっちが先に手出しちゃうかな〜?ww」
赤(ッ)
つまり、そういう事だ。
これまで俺がやってきた分。
コメント
1件
好きすぎますっっ、! 続き楽しみにしてます!