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元優等生。

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元優等生。

1 - 第1話

♥

551

2024年03月09日

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__20XX年、男、女の他に“第二の性”が出来ていた。


オメガ、アルファ、そしてベータ。


いつの間にか、それが当たり前になっていた。


学校でも、一年に一回定期検診的なのがあって、変わっていないか調べられる。


俺は中一の頃にアルファになった。


番を作った訳でも無い。


ベータに比べて圧倒的に人数が少なく、俺も今なら言える、調子に乗っていた。


位の高い順からアルファ、ベータ。


そして最下層がオメガ。

1番人数が少ない、だが、到底良い扱いはされない。


俺もそれを分かっていた。


だから。









ばしゃん、と教室のドアの前で水が床に落ちる音が響く。


緑「……」

水を被って固まっている一人の男子生徒。


桃「ぁ、すちっ、?!」


後から入ってきたもう一人の生徒が心配そうに駆け寄る。


桃「あ”ぐッ、」


それに素早く蹴りを入れた。


「うわ、なつまたやってんの〜」

「飽きねぇなあ、w」


遠くから笑うクラスメイト達。


それを見て少し俺も気分が良くなる。


赤「だって此奴何か苛つくし、w」

まぁ、言ってしまえば虐めだ。


だけど誰も止めない。


それは此奴らが…


緑「オメガだからって、こんな事する必要無いじゃん、」


一人が呟く。


あー、名前何だっけ。


「緑丘もあんま口答えすんなよ、w」


クラスメイトの一人が煽る。

嗚呼、そうだ。


緑丘すち。

それと…


赤「桃乃、らんだっけ?」


疑問系で尋ねると、こちらを睨む。


赤(本当に)


桃「いだッ、?!」


赤「苛つく、」










紫「なつ、聞いた?」


赤「んぁ?」


隣で牛乳を吸いながら聞いてくるのは、紫音いるま。

昔からの幼馴染だ。


紫「んぁ、じゃねぇよ、」


ぺしっと後頭部をノートで叩かれる。


紫「今日診断日っしょ?お前のクラス。」


赤「そだっけ…」


いるまとはクラスが離れている。


紫「ま、どうせお前今年もアルファっしょ、ww」


ニカっと笑って見せる。

赤「だと良いけどなww」









検診といっても、採血されるだけの単純なものだ。

特に何かやって来てくれ、みたいな事はない。



「次、暇さん入って来て〜」


血を抜かれた後医師に一人ずつ呼ばれた。



赤(まぁやっぱ今年もアルファだろ、)


軽い気持ちでドアを潜る。



「はい、これ。」

毎年通り、診断書を渡される。


赤「…え。」


最初は、見間違いだと思った。


赤「こ、れって、」


「書いてある通りだよ、」

「暇 72さん、貴方……」












「性転移してるよ。」






赤「え、」


性転移、初めて聞くという訳でも無いが、とても珍しい事だ。


文字通り、性が変わってしまう事。

俺の場合、


赤「アルファから、オメガに、ですか、?」


問い掛けると俯きがちで答える。

「まぁ、そういう事だね。」


赤「ッッッ、!」


身体から血が引いていく感覚がした。


あれだけ散々馬鹿にしてきたのに。

赤(最悪ッ)









紫「なつ〜おは、」


違うクラスの癖に、当たり前のように入っきているまが話しかける。


紫「珍しいな、彼奴ら虐めてねぇじゃん。」


いるまが指差す先には、何の変哲もなく椅子に座って話している2人の男子生徒。


赤(桃乃と緑丘、)

やばいな、彼奴らにバレたら一番ヤバイ。



赤「……どうしよう、」


昨日聞いた事を思い出し、机に突っ伏して唸った。


紫「うわ、どしたん?ガチで怖いんだけど。」


赤「むぅ、」


少し心配そうに覗き込んでくるいるまは新鮮で、横目で睨みつつ考える。


赤(……此奴には話しておくか、?)


それが妥当かもしれない。

1人は信用出来る奴が居ないと駄目か。


赤「ッ、あ”あ”あ”〜ッッッ!!!」


紫「うぉッ!何?!ガチでッ?!」


もう考えるのさえ面倒臭い。

赤(今度で良いや,)


そんなことを考えていた時だった。


赤「…ッ?!お”ぇッ」


急な吐き気が身体を襲う。


紫「は、なつ?!」


手を伸ばして背中をさすろうとしてくれる。


赤「ぅ、ごめっ、」


いるまを振り払い、トイレへ駆け出した。










赤「あ”〜、」


余りにも気分が悪かった為学校を早退し、家路に着く。


赤(なんか治ったな、)


思ったよりすんなり良くなり、やるせなさを背負う。


いるまには悪かった。

折角心配してくれたのに。


赤「今からでも戻るか。…」

赤(や、待てよ、?)


それって逆に怪しまれるのでは、と考える。


早退と言うか本当に早く帰ってしまっている。


スマホを取り出し時間を見るとなんと11時30分。


赤「今日彼奴学校だっけなぁ。」


彼奴、とは大学生、20才の兄の事だ。

大分前から二人だけで暮らしている。


仕事じゃ無かったらとりあえず病院に連れてってもらわねば。

原因不明の吐き気とか、怖すぎるし。


赤「ただいま〜」


家に着き、ドアを潜る。

微妙な異変に気がつくまで、それほど時間は掛からなかった。


赤「酒臭ッ!」


玄関からでも香る強烈な酒の匂い。


こりゃ一本どころでは無い。

それに、俺の兄は酒にそれほど、と言うか全く強く無い。


つまり。


赤「いふっ!!!」


靴を脱ぎながら叫ぶ。

暫くするとリビングに続くドアが開く。


碧「あり、やっぱり冴てんねぇ、もうおにーちゃん褒めちゃう。」


何時ものふざけた口調で言ってくる。


赤「てめぇは義兄ちゃんじゃねぇ!」

イラっとする馬鹿馬鹿しさだ。


此奴はいふ。

何か、まぁ。その、


俺の本当の兄ちゃんの彼氏だ。


赤「で、ないこは?」


問い掛けるまでも無かった。


褪「なつぅ〜〜」


どたどたと足音を立ててやって来て、抱きつかれる。


赤「ガチで酒臭ッ」


しかも昼から。

此奴らは何をしてるんだ。


赤「社会人謳歌してんな。」


皮肉気味でないこを渡していふに言う。


碧「良いでしょ、別に。」


ぷく、と頬を少し膨らませる姿はまだ子供の様だ。


もうそれに俺も諦める。


赤「はいはい、良いよ。」


そう言っていふを横切ろうとすると、顔を顰める。


赤「…何。」


どうせ愚痴だろう。そう思い少し止まってやる。


碧「もしかして、や、ぇ〜」


赤「はぁ?」


何だ此奴。

めんどくさ。


赤「はよ言えや、てか病院に…」


碧「お前オメガやったっけ?」


赤(…え)


ぞくっと首筋が冷える。

不思議そうに焦点の合っていない目でないこが俺を見る。


褪「あぇ〜?そうりゃっけぇ、?」


赤(、)


まずい、そうだった。


いふはアルファなんだった。


そう。此奴はないこの番だ。

俺の兄はオメガ。


だから必然的に遺伝子的なものがあるのかも知れない。


赤(嫌…でも何で分かった、?)


考えても分からなかった為、

赤「違ぇし、寝る。」


と吐き捨てて2階へ登った。


碧「……」





赤「ッ、はぁ、ッ」


やる事も無かった為、ベッドに横になった所学校の時より酷い吐き気がする。


赤「痛っ、」


おまけに激しい頭痛。

病院に行くべきか迷う。


だが彼奴らは酒飲んでるし、このまま歩いて行くのも無理だろう。


そう思って布団の上で丸まり、無理やり目を閉じた。






赤「おはよ」


あれから無事朝を迎え、欠席日数を増やしたくないという理由で学校に来た。


周りでは、クラスメイトが心配してくるが、いるまが居る気配は無い。


赤(後で謝っとくか、)


とりあえず席につくと、此方をじっと見てくる2人組が居た。


赤「あ”?」


気分がまだ少し悪いのを悟られぬよう、強気で声を出す。

すると案の定違う方を見て話し出した。


「どしたん?この頃彼奴らに突っかからんやん?」


取り巻きに居た1人が聞いてくる。

痛い所をつかれてしまった、まずい。


赤「あ〜、何となく飽きたから?、w」


適当に言い訳をすると、すんなり信じて貰えた。

なつは前から気分屋だしな、という謎の評価を貰って。





赤「…」


1限目は国語で、訳の分からない字をすらすらと並べていく教師。


皆必死に置いて行かれぬよう板書している。

俺もその1人だ。


ちらっと横を見ると、特にノートを取る様子が無い桃乃。

余裕さにイラッとしそうだったが、そんな事さえ考えて居ても頭痛が来そうだった為辞めた。



赤「…ッ」


まだ耐えられる位ではあるが、腹痛がする。

同時に昨日の頭痛と吐き気が来る。


赤(ヤバい)


最初は良かったが、どんどん昨日の状態より酷くなってくる。


赤「…ぁ、」


消え入りそうな声で呟く。

そうだ、思い出した。


こんな状態のないこを見た事がある。

“発情期前のオメガ”を。


赤(もうすぐヒートじゃんッ、)


これは本当にまずい。


抑制剤も持ってないし、何より周りに彼奴ら2人しかオメガが居ないため貰うことも出来ないだろう。


此処は、、

赤「先生、気分悪いので保健室に、」


すると早退の事もあってか心配そうに承諾してくれた。



少しずつ廊下を歩き出す。


身体が熱い。

涙が滲んでくる。


緑「____。」

桃「_______?」


教室の方から教師に話し掛ける生徒の声がする。


赤「…、!」


大事な事を思い出した。

赤(保健室の彼奴…アルファじゃ無かったか、?)


もし俺の記憶が正しければ、そうだった筈だ。


そしてそうだったら、俺のヒートが来たら襲われてしまう確率も低くは無い。


赤(終わった、)


まずは人気の無い所へ。


そう思い、向かったのは校舎から大分離れ、今は使われていない旧体育館倉庫だった。



__後ろから着いてくる影に気付かずに。





赤「ふ、ッ、」


倉庫に着き、運動マットに座る。


少し、というか凄く疲れた。


暫くは安心出来る、後は耐えるだけ。

そう思った。


その時だった。




桃「はっけ〜ん。」


緑「らんらん、大きな声出したらバレちゃうよ。」



赤「ぇ、」


入って来たのは緑丘と桃乃だった。



声も出なくなり、呆然と2人を見詰める。


桃「ぅわッ、凄い匂い、」


此方に近づいて来て言う。

匂い…もうヒートが来てしまった様だ。


緑「大分拗らせたんでしょ、」


ここで1つ疑問が上がった。

赤(此奴ら、こんな態度でかかったか、?)


嫌、今はそんな事考えてる場合じゃ無い。


赤「お前らッ、んでこんな所いんだよッ!」


声を振り絞り威嚇すると、


桃「は?」


赤「んぇ、ッ」


声と目から明るさが消え、思わずすごんでしまう。


緑「こ〜ら、怖がらせちゃったら駄目じゃん。御免ね?」


頬に手を伸ばされ、抵抗できない儘撫でられる。


桃「…俺達、知ってるんだよね。」


急に話を切り替えられ、まだ上手く作動していない頭で着いていけない。


桃「暇さん、や、なつがオメガだって事。」


赤「へ、」


間抜けな声が出る。


緑「御免ね、これ見ちゃって。」


ポケットから取り出した紙には、生徒全員の性別が書いて合った。


緑「これは校長だけが持ってる奴何だけど、落ちてたんだよ。」


一気に鳥肌が立つ。


しかも。

赤「さっき、匂いがするって、」


すると桃乃が意地悪くにやっと笑う。


桃「なつ、性転移しちゃったんでしょ?」

桃「実は俺達も、何だよね。」


血の気が引く。


赤「ちょ、ちょっと待って!」


焦って転んでしまう。


緑「わ、危ないよ。」


緑丘は穏やかににこにこと笑っている。


いつもムカついて居たこの顔が、異常に怖く思えて来る。


桃「あ、すち。」


緑「分かってるよー」

緑丘が茶色の小さな瓶を取り出し、桃乃に渡す。


それを口に含んだ。


赤「ん”ぐッ」


顎を掴まれ、唇を重ねられる。

口の中に入って来たのは、甘ったるい液体だった。


赤「はッ、何すんだよ!」


精一杯の威嚇。

だがそれも相手にされない。


緑「ちょっと黙って。」


そう言って近付いてくる手にはロープの様な物が握られている。


赤「は、離せ、」


ぐるぐる手足を縛られ、身動きが取れなくなる。


桃「大丈夫大丈夫、殺しはしないって、w」


緑「ただちょっと、我慢比べしよっか。」


赤「どういう、事、?」

話の意図が読めなくて戸惑う。


緑「ヒート中のオメガと、それを目の前にしてるアルファ。」

緑「どっちが先に手出しちゃうかな〜?ww」


赤(ッ)


つまり、そういう事だ。

これまで俺がやってきた分。


「「仕返しさせてね♡♡」」


この作品はいかがでしたか?

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