ー注意事項ー
・この作品はwrwrd様、ntjo様の二次創作です。
・本人様とは関係ありません。
・検索避けに協力してください。
・軍パロ、キャラ崩壊注意等を含みます。
◇◇◇
焦げた風が吹いていた。
黒煙が空を裂き、赤く焼けた大地に影を落とす。
兵士たちの怒号も、爆撃の音も、もう遠くに霞んでいた。
血に濡れたciの軍服は、ほとんど原型を留めていない。
左肩に深い裂傷。
右脚には弾がめり込み、皮膚の奥で鈍く疼いている。
それでも彼は、ただひたすらに這っていた。
壊れた通信機を握りしめ、泥の中を進む。
「…ッ、は、ぁ"ッ、……、」
声は風に消えた。
W国の部隊は壊滅した。
元々、勘違いで捕らえられた隊員を助けに、説明しに行くはずだった。
だが、r国はいつもと違って警戒心が高く、敵意が見えた。
隊員を連れて帰るだけだったのに。
外交官として、口は武器であるはずなのに。
説明も、聞いてもらえなかった。
最後まで一緒にいた仲間も、ciの目の前で爆風に飲まれた。
あの瞬間に、心が砕けたような気がした。
それでも、止まらなかった。
生きて帰らなきゃいけない。
たとえ、自分の居場所がもうどこにもなくても。
嗚呼、この状況を知ったgrがなんて言うか。
自分は自分の任務もできない、どうしようもない軍人だって知られたらどうしよう。
けれど、約束は守らなければならない。
帰るって言ったからには帰らねばならない。
出迎えて貰えないとしても。
砂を掴みながら、彼は国境を目指す。
意識はもう薄く、目の前の景色が霞む。
ズキリと左肩が強く傷んだのを最後に、意識は途絶えた。
◇◇◇
「…なに。r国なにしてるの」
『分かんない。けど、爆撃音が聞こえるってことは襲撃されたんでしょ』
「はあ…r国はいつも、なんの知らせも無しに戦い出すね」
『そうだね、ほんと困る』
電話越しに聞こえる苦笑は、笑い事では無い。
krは優しいから、すぐ許してしまう。
いい加減ガツンとやった方がいいと思う。
「……ッ!!だ、誰か倒れてる!!」
『…気をつけて、pn。』
r国の爆撃音から国境監視をしていたpnは陽炎の向こうに、砂の上で動かない影を見つけた。
その軍服の色は、見覚えのあるものだった。
「…待って。この服って」
『なに?r国の兵士じゃないの?』
「違う…ちがうよ、これ、」
pnは銃を構えたまま駆け寄る。
近づいた瞬間、喉の奥が詰まった。
血にまみれた顔、赤黒い肩、乱雑に破られた服から見える無数の傷跡。
でも、その奥にある目鼻立ちを、彼は一瞬で認識した。
「……ci、」
その声に、泥の中で動かなかった唇がわずかに震えた。
「……p"、n…?」
pnは即座に背中を支えた。
「ciッ…なんでお前がここに、!!すぐ運ぶから!!!」
pnはciの額に手を当てた。
熱い。異常だ。
脈は速く、呼吸も荒い。
傷口を押さえた手に、どくどくと血が滲む。
インカム越しに、krが慌てているのが聞こえる。
pnは唇を噛み締めながら、ciを背中に乗せた。
「大丈夫、もう大丈夫だぞ。俺がいる」
その言葉を最後に、ciの頭が肩に落ちた。
「…ッ、ふ、は、krさんっ、医務室の準備ッ、」
『snにはもう連絡した!!気をつけて帰ってきて!』
「うんッ、ci…がんばれ!がんばれ!!」
『…なんで、w国のciさんがr国に、』
「…w国が関係してるなら、うちに連絡いれるでしょ、tnさん。」
酷い震えが、背中に響くのが苦しくて仕方なかった。
pnは息を飲んで、見えてきた基地まで足を走らせた。
◇◇◇
気づけば、白い天井が視界に広がった。
あの世かと思ったが、痛む身体からして、この世であろう。
消毒液の匂いが鼻を刺す。
痛みでクリアになっていく感覚からして、誰かが、手を握っている。
ゆっくりと首を動かそうとしたら、管がいくつも繋がっていて、動けなかった。
酸素吸入器か何かが付けられているらしい、鼻からも管が伸びていた。
「…!!!ciッ、起きた!?ci、ci、」
その声を聞いて、ciの胸が一瞬だけ痛んだ。
優しくて、懐かしい。
久しぶりに聞いたその声と、その色に涙が溢れそうになる。
大きくなり、正式に外交官になってから会うことの減ったpnだった。
pnは、ぽんぽんと優しく痛みの小さい方の肩を叩いた。
「…pッ…p"」
「そう、そうだよ。よく帰ってきた、偉いぞ」
ciは声を出そうとしたが、喉が焼けつくように痛んだ。
pnの手を借りて、なんとか起き上がる。
pnが差し出してくれた水は手が震えて、うまく掴めなかった。
悔しくて恥ずかしくて、俯いていると、pnは何も言わず、コップを持って口元に当ててくれた。
「ゆっくり飲みな」
「…、ありがと、う"」
静かな時間が流れた。
風がカーテンを揺らす音だけが、遠くで聞こえる。
「……ごめん、おれ、めいわく、かけて」
「迷惑じゃないよ。でも、何があったのかは知りたい。」
「…失敗した」
小さな声でciが呟いた。
pnは目を細めた。
「何をだ?」
「任務。全部、おれのせいで…、みんな、」
声が震える。
指先がシーツを掴み、爪が白くなる。
pnはそっとその手に触れた。
「ciのせいじゃない」
「違う、おれが、もっとうまく…せつめい、できてたら」
「…説明?任務って、どういう」
「おれは外交官なのにッ!!いちばんッ…できたはずなのにッ!!!まちがえた、まちがえ 「ciさん 」
ciは息を詰まらせ、顔を歪めた。
涙がボロボロと零れる。
カニューラが揺れるのを見たのか、trがciを抱き寄せた。
どこにいたのか、いつからいたのか。
pnは突然現れたtrに驚きつつも、微笑んだ。
ciにとって、自分が兄のような存在だとすれば、trは先生であった。
色々なことを教えてきたtrだからこそ、ciが今まで頑張ってきた自分を否定するのが苦しいのだろう。
「ciさんは間違えてないですよ」
「…ッ、っ、ぁ"」
「うん、うん。ゆっくり呼吸しましょう」
trは優しくゆっくり背中を撫でた。
trの声に首が取れそうなくらいぶんぶんと頷く。
「…そう、上手。合ってますよ」
「…、っ……」
「snさん…はいないのか。じゃあ、aくんここ任せていい?」
「…!はい!!」
trは医務室で医療品の補充をしていた隊員を呼び止め、ciを横に寝転がした。
「ciさん、いい子でそこにいてくださいね」
「……ぁい」
「うん。じゃー…pn、話がある。」
trはパイプ椅子を片付けて、カーテンを閉めた。
pnはciの頭をひとつ撫でて、急いでtrの後を追う。
医務室を出て、会議室へ入る。
pnが入ったのを見て、trは鍵を閉めた。
大事な話なのかと、pnは息を飲む。
「…ciさんのこと。tnさんから話を聞いてきた」
「!なんだって!!」
椅子にも座らないまま、trは壁にもたれかかって話を始めた。
「どうやら手違いで、w国のciさんの部隊の子が捕らえられてしまったらしい。その誤解を解くために、ciさんと他の隊員の子達はr国に向かった。」
「…うん。」
「…そしたら、敵襲だってr国はさらに誤解して、ciさんの話も聞かずに襲いかかったんだと。隊員の子が無線でそう言ってたらしい。ciさん本人は、必死に誤解を解こうとしてたって」
「…そんな。」
「…ここからが酷かった、聞くに聞けないよ」
「なに、いや…まって。言わなくていい…」
pnは頭を抱えた。
あの時、ciはたった一人で倒れていた。
普通、幹部の人間の周りには護衛がいるはずである。
その護衛が誰一人としていなかった。
それからciが言っていた、「全部、おれのせいで…、みんな、」というセリフ。
捕らえられた子も、r国に向かった他の子も、全員。
「…ッ、」
髪の毛をぐしゃりと掴む。
r国が完全悪いという訳では無いのがまた辛い。
「…tnさん、しばらくciさんをそっちに頼みたいって言ってた」
「それは…なんで?tnさんの方がciを安心させてあげられるんじゃないの?」
「w国から離れた方がいいって。ここにはpnもいるし」
「お、俺!?俺そんなに信用されてるの!?」
「知らなかったの!?」
「え!?いや、知ってるけど!!少なくとも、rdよりはciに信用されてるね!!」
「r、rd??えっ、え?」
「…あああとにかく!!!話は分かった!!」
pnは照れ隠しなのか、trの背中をぐいぐい押して会議室を出た。
「…すぐ張り合 「戻るよってばッ!!!!」
明るくなったpnを見て、trは息をついた。
彼まで落ち込んだら、ciはさらに気を追うだろう。
そう思ったのだ。
そう、思った時だった。
「ッあ"あああああああ!!!!!」
ciの悲痛な叫びが廊下に響き渡った。
trが反応するよりも先に、pnが走り出す。
乱暴に医務室の扉を開けて、カーテンを無理矢理開いた。
trも慌てて走ると、pnの足元にはaが倒れ込んでいた。
「aくんッ…大丈夫か。なにが」
「ci!!!ci、戻ってこい、俺の声聞こえるか!?」
「…ッ、ciさん!!」
trはaに近寄ったが、ciの様子が平常ではないと判断し、ciの元へ駆け寄った。
ciは管をぐちゃぐちゃに絡めた腕で、首を絞めていた。
爪が皮膚にくい込んで、ヒュウウと苦しげな息が漏れている。
2人がかりでその手を解き、pnは震えた身体を抱き寄せた。
それから、trはaの手を取った。
「…来なさい」
カーテンをゆっくりと閉めて、医務室の外へ出る。
「何があった」
「…ずっと静かでしたから、少しッ、話した方がいいかと思ったんです。」
「それで、何を話した?」
「…先日、ci様の隊員様がいらっしゃいましたよね、その当時の話をしたんです…ci様、隊員様のこと大切にしておられましたから、空気が和むかと、」
嗚呼、とtrは頭を抱えた。
このタイミングでその話をしてしまったのか。
悪い。タイミングが悪すぎる。
「…必要のない話はしないように。仕事に戻りなさい」
「はい。…大変申し訳ございません」
trは部屋の中から聞こえる音が気になり、それ以上は言わずに戻った。
部屋の中は大混乱であった。
「い"やァッ!!!おれは、おれ"はァ!!!」
「ciッ!!!!落ち着いて!!!大丈夫だから!!!!!」
暴れ回るciを抑えていたpnは、trにヘルプの目線を送る。
「ci!!!!!!!」
「ciさんここはn国ですよ!!!!!」
「ううウ"ッ!!!!ぁぁぁ"…!!」
また2人がかりでciを落ち着かせる戦いが始まった。
しばらく、ciは抵抗し続けた。
けれど数分してようやくpnの腕の中で、その抵抗を止めた。
「そう、そう。ゆっくり呼吸しよう、ci」
「ぁ、ぁッ…は、か。ぁ、みんな。みんなは」
「ci、ci。お願い、ゆっくり呼吸して」
「みんな、みんな"ぁ…どこ、どこにおんの、」
ciは手をぱたぱたと動かして、仲間を探しているようだった。
それから、pnの胸にぽん、と手が触れる。
「…ぁ、ぁう、ああ、ごめッ…ご、」
「ci、俺はpnだよ。pn。」
「…p、pn。pn。ぁ、おれ」
相当混乱している様子であった。
trは無言でciの背中を摩った。
pn1人でも理解するのに時間がかかるのなら、自分も加わると余計混乱させる可能性があった。
「そう、pn。呼吸落ち着いたね、いい子」
「……ッ、なんで…ッおれだけ……生きて!!」
「ciは偉いよ。偉い。」
「嘘やッ!!!!」
「本当。生きて帰ってくれて、俺はすっごい嬉しい」
「…ッ、ぁ…。ぅ、ぅ"わあああぁぁぁ…ッ!」
その言葉が、堤防を崩したらしい。
ciは子どものように泣きじゃくった。
喉が枯れても、声が出なくても、泣き続けた。
pnは何も言わず、ただ背中をさすっていた。
pnに任せて正解だった。
2人の肩を撫でながら、trはそう思うのだった。
◇◇◇
夜、ciは魘されていた。
銃声や仲間の断末魔、血の海。
そして、自分だけが立ち尽くしている光景が脳内に浮かび上がる。
暗闇の中に立つgrが、ひとつの書類をciの足元に落とした。
これにサインをするんだ、と冷たく放つ。
除隊届。
嗚呼、俺はもう無理なんだなと。
「ッ、はっ…か"、ぁ"ァ!!」
pnはすぐに駆けつけ、ベッドの端に座った。
ciの額には冷や汗が浮かび上がっていて、全身が震えている。
「ci、起きて!!ここは安全だから、大丈夫だから」
「…ぁ"??pn…」
「ここにいるよ。俺のことわかる?」
「p、pn…pn。おれ、おれもう、おれ」
「ci、大丈夫、大丈夫。よく起きれたね、頑張った」
「…、pn」
pnがciの手を握れば、ciは怯えた子供のように縋りついた。
「…は、はなれないで」
「離れないよ」
しばらくして、ようやく震えが収まった。
pnは毛布を整え、ciの額を撫でる。
「いつでも起きていいから。俺も一緒に起きるからね。」
「でも…それじゃあ、」
「ciが起きるの難しかったら俺が起こすから」
「ちがう、そうじゃなくて…pnが、」
「なぁに」
「…pnが、つらいやん…それは、やだ」
「嫌なの」
ciは微かに頷いた。
そしてまた、静かに涙を流した。
「俺も、ciが苦しいのは嫌だ。だから、分けて欲しいの。俺も力になりたい」
「…うん、」
「そうすればさ、苦しいの半分こできるでしょ?少し楽になれないかな」
「…なれる、」
「うん。じゃあ、わけっこしよ」
pnはciの手を握って、パイプ椅子に座った。
その様子を眺めたciは、毛布の外に足を少し出す。
ひんやりとした空気に、足はすぐさま冷えた。
「ci、足ちゃんと仕舞って。冷えちゃう」
pnは素早く気が付き、毛布をかけ直した。
ジッ、とpnの薄い衣服を眺めて毛布を捲る。
そんな薄いカーディガンで1晩耐えるつもりだろうか。
「…となりがええ」
「え?」
「pnも冷えるやろ、?」
「…ッ、ああもう。お前ってやつは!!」
pnは嬉しそうに口角を上げて、毛布の中へと入り込んできた。
それから、ぎゅっと手を繋ぐ。
「あったかいなあ」
「うん」
◇◇◇
数日後。
ciはベッドの上でじっと天井を見ていた。
左肩の傷はまだ塞がらず、足も痛む。
だが、心のほうがもっと重かった。
ciの心は全然休まっていなかった。
何度も何度も考えた。
そうして、辿り着いたのはこれである。
ここにいるのはダメだ。
自分のせいで、n国のみんなに迷惑をかかる。
夜の、灯りが落ちた頃。
pnも会議で今はいなかった。
医務室にいる隊員の子たちも、今さっき書類やってない!と慌てた声を立てながら出ていったばかりである。
ciはベッドの上で何度も身を起こそうとしていた。
腕が震え痛みが走り、倒れ込む。
それでも立ち上がる。
「…ぐゥ"ッ…く、ぅ、」
完全に無理をして、包帯の巻かれた体でふらつきながら立ち上がる。
呼吸が荒れるのを感じた。
壁に手をつき、誰にも見つからないように、部屋を歩く。
荷物の中から、壊れかけのバッジを取り出す。
w国に帰るには、これが必要なのだ。
「…ッ、ふ、ふ"、」
廊下の扉を開けると、ひんやりした風が頬を撫でた。
出口の光が見え
「どこ行く気?」
背後に声が落ちる。
振り向くと、pnが腕組みして立っていた。
少し眉をひそめている。
ciはビクッと震え、言葉を詰まらせる。
「…べ、別に。ちょっと、空気を」
「嘘下手すぎ」
pnはため息をつく。
そして、ciの前に回り込み、逃がさないように両肩に手を置いた。
「まだ歩ける状態じゃない。わかるよね??」
「…わかってる…でもッ、」
「帰りたいって?」
ciは悔しそうに小さく頷いた。
pnの眉が1層寄る。
「ci、俺の目をちゃんと見て」
ゆっくり顔を上げると、pnの表情は怒っているというより、心底心配している顔だった。
「なにをそんなに急ぐの?何も悪いことしてないでしょ?」
ciは唇を噛む。
「…俺は、こんなところでのんびりしてられへん、落とし前をつけないと、」
「でも今帰ったら、もっと心配かけるんじゃないの」
「心配なんてされへん…皆は、こんな程度じゃなかった、命を落としてる。」
「でもciは生きた。精一杯生きた仲間を、心配しない人間なんていないよ」
その言葉は痛いほど刺さる。
それでもciは頑なに言い続けた。
「…ここにいちゃ、迷惑なんやって…pnたちが、1番わかってるやろ…」
pnは一瞬沈黙した。
そして。
「捕獲するか」
「えっ」
次の瞬間、ciの体はふわっと持ち上がり、腕の中に収まった。
「な、なんで抱えて!?お、おろせpnッ!!」
「うるさいぞ。暴れると傷開く」
pnは優しい力でciを抱え、ベッドまで連れ戻す。
ciが必死に抵抗しても、pnは微動だにしない。
ベッドに座らせると、pnはciの頬に触れた。
「ci、聞いて」
「…、」
「俺は知ってるの。ciが今までひとりで耐えてきたって」
「…」
「頼れないんじゃないよな。」
ciの目が大きく揺れる。
「頼り方が分からないなら、俺に教えさせて」
pnの表情が柔らかく崩れる。
「…おれ、おれ」
「うん。」
「こわいんや…おれのせいで、仲間がいなくなるの」
「うん」
「だって、だってな…おれが、わがまま言うから、みんな、大変になって」
「ci、頼ることはわがままじゃない」
「でもッ、だってわがままやってん…」
震えるciを優しく撫でて、糸を解くようにpnは頷き続けた。
ciの目に張った涙の膜が崩壊を始める。
「わがままはッ、いっちゃだめって…」
「うん」
「でも、でも…じゃあ、他に何を言えばいいのか分からへんねん、ぜんぶ。わがままやから」
「今も、隠してる言いたいことあるよね」
「うっ、うん…うん」
教えて、とpnは頬を両手で挟む。
ボロボロと崩壊した涙がpnの手で受け止められる。
ciは途切れ途切れに言った。
「かッ、かえりたくない…ここにいたい。ほんまは、こわい…ね。ん、かえるの」
「うん。ci、俺を頼って。ここに居ていいから」
「ひッ、ぐ…う。うん、いる。い"る」
ぶんぶんと頷くciを抱き寄せる。
pnの胸に頭がぶつかり、首が取れそうなほど頷いてた頭はそこで止まった。
どんな励ましよりも強く響いただろう。
◇◇◇
泣き疲れて、ciがpnの腕の中で眠った。
pnはずっと一定のリズムで頭を撫でていた。
目が真っ赤に腫れてしまった。
もう、泣かせるようなことはさせない。
そう決心した。
その時、snが通信機を片手に医務室へと入ってきた。
「あ!いたいたpnさん」
「しーッ!!!今寝たところなの」
「ぁぁぁ…すみませんん。えっと、tnさんから連絡があって」
「ciを頼むね」
「はあい」
snにciをお願いして、通信機を受け取る。
通信室へ向かってから、通信機をオンにした。
それから、モニターと繋げて、ビデオ通話に切り替える。
映ったtnは厳しい顔だが、目の奥には明らかな心配がある。
『pnさん、夜遅くにすみません。ciは…』
「大丈夫ですよ!!ciは、怪我も精神面もまだ不安定って感じで…」
TNは短く息を飲んだ。
『…そう、か。何があったかは、trさんから聞きました?』
「はい。…w国はなにも悪くないです」
『はは、ありがとうございます。何もできなくて悔しいわ。ciはまだ新人だってのに』
「ciは責任もって見ます。必ず、そちらに帰れるようになるまで」
『嗚呼、頼みますわ。なんも、見れへんかった俺らには務まらへんやろうし』
「ciはtnさん達を大切に思ってましたよ。だからこそ、今は帰りたくないって。除隊を恐れてるんです。貴方達のような、大切な場所から追い出されるのを恐れてる。」
『…ciに、伝えて欲しいことがあんねんけど』
tnの声が微かに震える。
ごく、と息を飲む音まで聞こえた。
『utが、蟹を買いに遠出しとるって』
「分かりました」
ciは蟹が好きだったか。
tnの声も柔らかくなり、くすりと笑った。
『あいつ張り切っとんねん。ciが帰ってきたら本格的な蟹を食べさせるって』
「流石ut先生ですね」
『ははは、knも金を奮発させる言うてた』
「大丈夫なんですかそれ」
『金銭感覚ぶっ壊れとるからな』
大きなため息が聞こえる。
pnは同情して苦笑した。
w国は、n国とは違う賑やかさがある。
それが逆にciにプレッシャーを与えたりもするのだろうか。
『…とにかく。n国が預かってくれるなら、こちらとしても安心やわ』
tnが真っ直ぐに言う。
「ciが自分で歩けるようになるまでは、絶対に俺が支えます。」
画面の中のtnは目を細め、微笑んだ。
『…ありがとう。頼みます』
通信が切れたあと、pnはふうと深く息を吐いた。
「…これで堂々と預かれるな」
そう、ひとりで呟いたつもりが後ろから扉が開く音がして振り向く。
そこには、krが立っていた。
「最初から堂々としてたけどね」
krが笑う。
「いいじゃん。だって俺ciのこと大切にしたいんだもん」
pnは小さく肩をすくめる。
「俺良くないとは言ってないけど」
そして、眠っているciの元へ静かに戻った。
着地点がわからなくなっちった
コメント
16件
pnさんらしい励まし方でとっても解釈一致だった! 人によっての立ち位置の違いがめっちゃよかった‼️
d!だけの作品もいいですがほかのグループも絡んでくる作品もめっちゃいいですね!!pnさんのciさん愛があふれ出ててめっちゃよかったです!! 供給あざます!!😁✌️
pnさんの兄貴感が良い意味で丸出しでめっちゃ良かったです!!まじで好きです(告白)