【君流コンテスト】
 
 
 参加作品「泡沫」
 
 ・得点
 
 物語性 40/50
 文章構成 38/50
 ??? 35/100
 
 合計 113/200点
 
 
 ・講評
 一話完結で詩のように、切り取ったワンシーンの作品でしたので、各観点の捉え方を一部変え。 文章構成の観点を単純な『文章』の観点とし、描写含め『構成』部分は物語性の方で採点させていただきました。
そのため、採点方法は多少違えど、合計に影響は出ないようになっております。ご安心ください。
まず、物語性について。
意識してかは分かりませんが、この少ない字数の中でも三幕構成ができており、綺麗にまとまっています。そのため、読んでいて違和感を覚えてしまうのは、私の悪い癖によるところが大きいとは思うのですが、語り手が人でなく観測のように思えてしまう感覚がありました。
というのも、描写が肌と視覚にかなり傾いているのです。これが悪いというわけではありません。ですが、海という場所の空気を表現するにあたって、波と冷えた風の二つしか用いないところには、単にもったいなさを覚えました。
例えば音。波の音は孤独を強めてくれます。
例えば香り。海水の香りは涙を隠してくれるでしょう。
こういった表現が多くある中、語り手の動きは少ないというのに視覚からの情報が多く、もう一段階内情を際出せられればなと、つい感じてしまいました。
 次に文章構成……改め、文章です。 この観点からは三つ。
文章自体は非常に安定しており、完成度は高かったです。ただ、『貴方』という言葉が連呼されており、気になりました。
そこに注目し、読み返してもらえれば分かるかと思うのですが、全体のおおよそ四分の一の文には、この言葉が入っています。愛する相手ですし、そうなるのは必然です。しかし、愛に深みを持たせるという点では、ここは改善できる箇所になるのかなと。
また、そうなった原因になっているのかもしれない。それが始まった一文も気になりました。
三行目二文目の「貴方への想いを〜」から続く一文です。かなり長めで、私は説明的すぎるかなと思いました。同じ内容にするとしても、二文に分けるべきかと思います。
この作品を担っているのは、意外にもこの一文で。ここがリズムを生んでいます。『貴方』への想いが溢れる様子、というのを示す描写が作品の大半を占めているからです。
作品としての完成度自体は既に高いですが、その完成の段階を更に伸ばすのならば、この一文の改善が課題となるでしょう。
 文章で気になった最後の点は、形容詞や副詞に依存しすぎているところです。
夏の失恋という、どこか美しい雰囲気は作品から出ていますが、そういった言葉を選んでいるからなっているというのが現状で、文章という流れで表現はできていないと思いました。
これは私も、かなり難しい事を言っているとは思います。ただ、詩のような作品となると、単純な文章力が他より求められると思いますので……。
「手を伸ばした。でも、届かなかった。」はそのあたりを意識できていました。ただ、その後に続いたのが「風が吹いたら飛んでしまいそうな曖昧な距離にもどかしさを覚えた。」という文でして。長いのは良いのですが、終わりが「た。」で続いてしまったがために、流れを一度切って「届かなかった。」を強調しきれなかったのが残念でした。 こういった部分の実力的な不足はあったかな、という感じです。
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