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_____なんでだ?何故バレた?
香水も口紅も、今夜の俺の行動がわかっていたかのように、杏奈は待ち伏せていた気がする。
朝からの杏奈を思い出してみるけど、特に俺を疑ってるようなそぶりはなかったし、今までにも遅くなったことはあったけど、あんなふうに服を脱がせてチェックするなんて、したことなかった。
熱めのシャワーで、わしゃわしゃと頭から流していく。
_____わからない、何故だ?
すりガラスのドア越しに杏奈の姿が見えた。
「ねぇ!」
「……」
シャワーで聞こえないフリをする。
今度は何を言おうとしてるのか、心臓がバクバクする。
「今週末、佐々木さんご夫婦がうちに来るから、予定を空けておいてね」
_____え?なんで?
と思ったけれど。
「……」
これも聞こえないフリをした。
返事がないから諦めたのか、戻って行った。
_____頼む、先に寝ててくれ
明日の朝になれば、酒のせいにして記憶がこんがらがったことにできる。
今はもう、杏奈と顔を合わせたくない。
よけいなことを言ってしまって、自爆しそうだ。
しばらくして杏奈が寝た気配がしたので、そっと風呂から出た。
バスタオルで髪を拭きながら、テーブルを見たら俺のスマホが置かれていてLINEの受信通知があった。
ロックはしてあるから中を見られることはないけれど、杏奈がここに置いたということか。
《今週末、佐々木さんご夫婦がうちに来ます。確かめたいことがあるって。予定を空けておいてね》
LINEは杏奈からだった。
確かめたいことって、なんのことだろう?
佐々木とのアリバイがズレていたことだろうか。
先に口裏を合わせておけばよかったと後悔した。
「あれ?」
よく考えたら、決定的な浮気の証拠はないはずだ。
香水とか口紅とか、どこかで偶然付くこともあるだろうし、ましてや相手が誰かなんてわかるはずはないのだから。
そう気づいたら、うまく乗り切れそうな気がしてきた。
けれど、同じ寝室に入るのに恐々だった。
並んだシングルベッドの真ん中に圭太のベッドがあって、ドアに近い方のシングルベッドで杏奈は毛布をかぶって寝ていた。
二人を起こさないように、忍び足で奥のベッドに潜り込む。
_____まだ浮気がバレたと確定したわけじゃない
週末に佐々木夫婦が来ても、酔っ払っていたからよくわからないと押し通そう。
◇◇◇◇◇
寝たのか寝てないのかわからないまま、朝になった。
できるだけ杏奈と顔を合わせないように、早出をすることにした。
「おはよう、コーヒー飲む?」
「あ、いや、今日は会議だからもう出るわ」
「そう。あ、今週末は……」
「わかってる、じゃ!」
最低限の会話だけで家を出たけれど、こんなに早く出社してもやることがないので、会社に近い喫茶店で時間を潰すことにした。
コーヒーとサンドイッチを頼んでから、スマホを取り出した。
LINEを開いたら、京香からコメントが届いていた。
《岡崎さん、素敵でした》
ハートのスタンプと一緒に、一言だけ。
_____酔ってはいたけど、まぁ、ヨカッタらしい
昨夜の京香の若いスベスベの肌を思い出すと、何やら下半身に血流が集まる気がして、思わず前屈みになる。
_____何をやってるんだ、俺は
京香とのことが、というかその前の紗枝とのことも杏奈にはバレているかもしれないのに。
いっそのこと、そういう風俗の店に行ったことにしようか?とも思う。
理由は、杏奈がちゃんとシテくれないからと言える。
「あ、そうだ!」
京香から送られてきた、杏奈が知らない男と飯を食ってる写真があることを思い出した。
もしも、週末に佐々木夫婦がきた時に何か問い詰められたら、“杏奈だって浮気してるじゃないか!”と言ってやろう。
_____それにしても誰なんだ?コイツは
写真の男をマジマジと見たが、さっぱりわからなかった。