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「決めたわ。」「何をだ?」「私、やっぱり蓮二の言う通り文化祭乗っとるわ。」「は?」
青野君は目をかっぴらいた。
「桃野さ…………」「?」「桃野、急に大胆になったな。」「あぁ…」
意見がごもっともすぎて、返す言葉がない。
「蓮二もそんなこと言ってたのか?」「あー…うん。」「確かに、あいつそんなこと言いそう。てか、勝手にそんなことしちゃダメじゃねーの?」「えー、乗っとるってそういうものじゃないの?」「あぁ〜、そういうもんか?」「うん。っていうか、青野君も蓮二みたいにヤンチャそうだけど、そういう所は真面目なんだね。意外。」「まぁ?」
次の日のことだった。
私は蓮二と校長室を訪ねた。
「文化祭ねぇ……」「はい。校長先生だって、統合に不満なんですよね?」「まぁ……そうだけれど…」「でしたら!」「でも、乗っ取るなんて非現実的だと思うし……灰亜の怒りを買ってしまうことになりかねないわ。そうすれば、統合じゃなくて、廃校にさせられることもあり得るかも。」
校長先生は、肩をすくめてそう言った。私はちょっと疑問を持ったので、言ってみた。
「え、待ってください。その灰亜さんって、霧菜学園の校長ですよね?」「ええ。」「あっちの考え的には、ライバルの画良歩瑠学園が廃校になればいいってのが妥当じゃないのか?」「そうだよね。」「灰亜は根は性悪なのよ。私の学園さえも自分のものにしようとしてんのよ。だから統合なの。」「はあ。」「ってことで、この話はおしまい。私も忘れるから、早く教室に戻りなさい。」
校長先生は、私達の肩にぽんと手を置いて、校長室を出ようとする。だけど、その校長室のドアがバタンと乱暴な音を立てて蹴り開いた。
「乗っ取る!なんて響きがいい言葉なの!」
入って来たのは、暗い紫に染まった髪のオシャレな女の人だった。ピシッとしたスーツの胸についた名札には、力強い字で「画良歩瑠学園副理事長·藤貴紫恩」と書かれている。
えっ、副理事長!?
私が目を見開いていると、その副理事長さんが興奮気味に話す。
「いいじゃない!あの女の学園の文化祭なんて、派手に乗っ取っちゃいましょう!」「あぁ、いや、あの、その、乗っ取るというのは、俺と望雲のただの意見といいますかなんといいますか…」
苦笑いで答える蓮二。副理事長さんが校長先生に向き直る。
「色羽、文化祭の乗っ取り計画、やりましょう!ね!?」「ダメだよ。」
副理事長さんが目を輝かせる。その隣で校長先生はキッパリと副理事長の意見を切り捨てる。
「いいじゃないの〜。それに、計画がうまいこと通れば、画良歩瑠学園の統合を取りやめになるかもしれないわ!」「……そんな都合のいい方法、あるかしら?」「あるわ!」
「えっ!?」「は?」