第44話 隠しきれない真心
今までにない、甘いような、熱いような、不思議な雰囲気になってしまった理世とジェイド。
その結果、慌てて置かれたトレイのカップの一つ――アルが初めて使う、姉からの贈り物のカップを、落として割ってしまった。
(あ、アルがお姉さんからもらったカップ――!)
カップが割れる乾いた音が響いた後、部屋は気まずい静けさに包まれた。
「……」
「……」
一瞬前の――互いしか見えていないかのような空気は消滅し、理世もジェイドも、無残に砕け散ったカップを見つめるばかり。
「――ど、どうしよう、これ。ジェイド……」
「……」
「も、もうちょっとしたら……アル、戻ってきちゃうよね」
「……だろうね」
ようやく口を開いても、すぐに会話が途切れる。
また少し沈黙が続き、今度はジェイドから口を開いた。
「……割ってしまったものはしょうがない。正直に謝ろう」
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