この作品はいかがでしたか?
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これは、つい最近…数年前の話
あるところに、自我のない人形がありました
その人形は
「黒」
と名付けられていました
数年前…単なる誰かの気まぐれで作られました
姿も中身も…その作った人に決められました
ただ、黒は自我がありませんでした
自我がない中、ずっと…何かが欲しかったような気がしました
するとそんなとき、一人の女の子が黒に話しかけてきました
時には愚痴、時には羨み、時には…黒への質問
その人物は、人に飢えていました
才能に飢えていました
努力に飢えていました
そんな様子に、黒は…少しの自我が生まれました
黒はやがて、会話をしながら聞くようになりました
話を聞くたび、明るく励ましてあげました
それが、黒にとって自我を保つ唯一の方法だったから
しかし、その自我も…自分ではありません
作られたものだと…黒は知っています
知っている上で
明るく
無邪気に
純粋に
邪気のない…
そんな自分を使っていました
普通の人間のようになりたくても、なれません
そんな思考も、持てません
ただ目の前の…この人を手放さないことだけが、黒の使命
黒の役割
「自分はこのままでもいいの!」
「まだ自分を表せるだけいいんだよ?」
「みーんな、壊れちゃったときも」
「壊れちゃった子を作った人を慰めることができたの!」
「でもね、作った人は…ずっと泣いてたの」
「悲しそうだったの」
「自分は」
「悲しいとか」
「苛つくとか」
「絶望とか」
「怖いとか」
「拒絶とか」
「そんなものがわかってあげられないの」
「だからね、頑張って明るくさせる!」
「そうしたら、自分でもわかってあげられるでしょ?」
「そうしたらその人も一人じゃなくなるよね!」
「わかってくれたら…楽になってくれるの!」
「楽になってくれて…笑ってくれる!」
「自分と一緒に楽しくなれる!」
「嬉しくなれるよね!」
「暗い感情はあの人にいらないの!」
「自分が、楽しい人生を送らせてあげるから!」
「だからね…」
「自分と一緒に」
「二人っきりで過ごそう!」
「そうしたら…」
「貴方の感情は自分と同じになるから!」
「楽しく生きれるんだよ?」
「辛くないんだよ?」
「理想のままに生きれるんだよ?」
「だから…ねぇ…」
「自分を…置いていかないで…」
[人形の一つの願い]
コメント
4件
うん…こんなテンションな理由は返信欄に