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ガルムが地面に出現させた、1辺あたり1m程の正方形の扉を開ける。
「ほれ、その中に早く入れ。」
「どうせ入ったら碌なことにならないやつだよね〜。」
無理矢理ガルムが私と葉造を押して、扉の中に落とさせた。
「外見に反して、さっきから力が強いですよね。」
「妾はお前さんらと違って獄使じゃからな。」
10mぐらい上から、鉄筋コンクリートの足場に落ちる。
鉄筋コンクリートの周囲は、地面が数m下がっていて溶岩が見えた。
壁を見ると、1人がギリギリ立てるぐらいの足場がここから届く位置にある。
「周りを囲んでる溶岩は、お前さんらが今いるところにも段々迫ってくる。じゃが、あの足場にまではやってこないぞい。でも足場には1人しか乗れん。2人のどちらかが助かり、どちらかが溶岩に沈むんじゃ。」
「あの足場に乗って溶岩から助かるために、足場をめぐって争えってこと?」
「そういうことじゃ。さあ、溶岩を迫らせるぞい。さあ、思う存分に醜く争え!」
溶岩がゆっくりと高くなってゆく。
私と葉造は足場に乗るために鋭い爪で相手を攻撃する……ということはしなかった。
「あの足場にも溶岩が届かない保証はないですよね。ガルムは嘘ついてそうですし。」
「お、お前さんら……戦わんのか?」
「溶岩は温泉の代わりにできるかな〜。」
葉造は自ら溶岩の中に入ってみる。
「どのくらいの温かさでしたか?」
「熱めの温泉が好きな人は割といけるけど、ぬるめのが好きな人は微妙って感じだね。」
「は!?何故自分から溶岩に入るような愚行をするのじゃ!」
私も溶岩の中に入り、溶岩を飲んでみる。
「あつっ……私は猫舌なので全然飲めませんね。」
「猫舌じゃなくても溶岩は飲めないぞい!」
私と葉造は上がってくる溶岩にしばらく浸かる。
「はぁ……期待してたもんを見れんかった。2人が溶岩に浸からんために争って結局両方とも溶岩に落ちるとか、どちらかが勝って足場に乗れたがその足場にも溶岩が来て絶望するとかの光景を見たかったんじゃが。」
「あの足場には溶岩が来ないことは、やっぱり嘘だったんだね〜。」
ガルムが指を鳴らすと、扉に入る前の地面に戻っていた。
「もう飽きたんじゃ。爪を貸せい。」
鋭い鉄になってた爪も、元々の爪に戻る。
「妾は他の奴らに罰を与えにいく。お前さんらにこれから罰を与えるのは、別の獄使に担当させるぞい。」
そう言い残してガルムはどこかに去っていった。