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 ペジオは出身地である日本から、絶滅が危惧されていたメダカをこの池の下方に集めて飼育していた。

 同じく日本から持ち込んだモロコ、各種カエルは上の池に集め、唯一の接合点である水路を、接近禁止の『禁忌』の地と定めて色々な実験を繰り返していたのだという。


 ヘロンも一切の疑問を抱く事無く、ペジオから繰り返し指示されていた、『誰も近づけてはいけないよヘロン、それにこの池に生きる者は誰にも捕食させたりしたら駄目なんだからね』、そんな言葉を愚直に守り手下たちにも周知徹底させ続けていた。


 ヘロンの手下、鳥達は当然の事だが鳥目、日が落ちれば何も見えない者が大半である。

 一部、ヨタカや数少ない昼夜両用の例外は居たもののその数は決して多くは無かったのだ。

 反して、ヘロンの種族、ゴイサギは別名、夜烏(よがらす)、夜中の闇の中でも昼間と同様に活動できる数少ない種族だったのである。


 日々繰り返され続ける不寝番(ふしんばん)の役目は、自然ヘロン自身が加わる事が多くなっていったある日の事だったそうだ。


 いつも通り、ペジオの池への侵入者の有無や、池で飼っている魚や蛙の生活に異常が無い事を確認して自分たち監視役の詰め所に戻ろうとしていたヘロンは、池に流れ込む水が滾々(こんこん)と湧き出る上流に、不思議な物の存在を感じてそちらに向かい、地面に降り立ったという。


 彼の目の前には、見た事も無いほど神々しく輝き捲る、昨日まではそこに無かった、不思議な植物が元気一杯に双葉を広げていたのであった。


『えっと、こ、これは…… えっとぉ…… 『鑑定(アナラシス)』! う、うーん? ええっ! えっ、ええっ! こ、これってぇ!』


 うっかり自身のスキル、植物が与える影響力、それを看過してしまう鑑定(アナラシス)を使用してしまったヘロンの心は一つの事柄に染められてしまったのである。


『鑑定結果、『魔力草』、魔力過多に依り石化した生き物を通常の状態へと戻します、又、生命力を減らし死に瀕した生物に生きる活力を与える事も可能です、特記事項として、野生動物、魔獣の魔力量を爆発的に増やし、例外的な生物として、かつて悪魔の依り代だった者達限定で、更なる高み、神々へと導く稀有(けう)なアイテムとも成り得る超絶レアアイテム、言ってみればSSSSSレアですね』


 ワナワナしながらヘロンは叫んだそうだ。


『ま、ま、ま、ままままままぁ、マジかっあぁっ!!!!????』


 生まれてから初めての歓喜の声を上げたヘロンは目の前で鑑定したての若芽を口に含んで唸りを上げる。


『うううんんんんぅぅぅ~! 満たされるぅっ!』


 そう、ヘロンの全身は有得ない程の魔力、生命力の充実を感じてしまっていたのであった。

 喜びに打ち震えたヘロンは誰にとも無く叫んだようだ。


『こ、これは凄いぞぉ! こうしちゃいられんっ! あいつらにも食わせてやら無けりゃならんっ!』


 興奮し捲ったヘロンは間を置く事無くその場から飛び立ち、程無くして数十羽の鳥の群れを引き連れて戻って来たのであった。

 クアークアーと手下達に大声で鳴き、その声を聞いた水鳥達は一心不乱に件(くだん)の『魔力草』の若芽を啄(つい)ばみ始めたのである。


 食べ続けている内に、鳥達の体から眩い魔力がオーラとなって迸(ほとばし)り始める。

 驚いた事に、ほぼ悪魔と化していたヘロンだけでなく、普通の野生動物である鳥の全てが同じ様に光り輝き始めたのだ。


 ヘロンは内心で小躍りしていた。

 『鑑定(アナラシス)』でこの植物を調べた時に想像した事が現実になったのである。

 ヘロン配下の水鳥達は『魔力草』を食べる事で、通常なら濃い魔力に数年以上曝される事で変質する、魔獣化のプロセスを経る事無く、あっと言う間に進化を遂げてしまったのだ。


 ヘロンの喜びは当然の事である。

 魔獣化した野生動物は、強く大きく賢く、その身を変貌させるだけでなく、それぞれランダムなスキルを手に入れることも珍しくない。


 しかし、ヘロンが配下達の魔獣化を喜んだ一番の理由はそれらの事ではなかった。

 彼が最重要視したのは、仲間達の長命、これである。

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

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