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【第二話 恥】

俊介はダッシュで店から出た。恥ずかしい。恥ずかしすぎる。イキって小説を書いていたが、続けることも出来ない。そのカフェからも出禁になったような気がしてきた。絶対もう行かない。そう決意した。

ある日、書店で好きな小説の続編を買いに行った。その時、見てしまった。漫画コーナーでニヤニヤしている、雨宮朝美を。俊介は逃げ出しそうになった。覚えていたら恥ずかしすぎる。ほぼ不審者だ。今のご時世、通報されてもおかしくない。でも、このまま青春をせず終わってしまうと、青春をしない人生を歩んでしまう。それは嫌だ。そして、話しかけた。

「朝美さん!!」

朝美はドキリとした。本を隠す。

「な、何でしょうか…」

俊介も、朝美も顔が赤い。俊介は話のネタが無いことに気づいた。終わりを感じた。頭をフル回転し、話題を見つけた。

「あの…僕、小説家を夢見ていて…朝美さんは、今何の本を読んでいたのですか?」

コミュ障にしては良い質問である。朝美はあたふたしている。まぁ、ほぼ初対面の名前も知らない人から名指しで呼ばれると、恐怖でしかない。

「えっと…この…その…【桜が散るその時に】という本を読んでました!!お、面白いですよ!!」

朝美は本を手に取り、俊介に見せつけた。朝美は俊介の事がわからない。知らない人でも、ちゃんと対応をする。俊介はビックリする。反応をしてくれたからだ。

「あっ!!そうなんですね…!!」

この後は勿論考えていない。

「面白いんですね!!買ってきます!!」

朝美の持っている本を奪うように取り、レジへ直行した。恥ずかしい。もっと恥ずかしいことをしてしまった。

最終的に、購入した。知りもしない作者の、興味もない本を買ってしまった。ため息を吐き、自宅のアパートへ帰宅した。


朝美は書店でため息を吐いた。

「なんなの、あの人…焦っちゃった…カフェにいた人…だよね。読んでた本、見られなくて良かった…咄嗟に適当な本を取って、良かった!」

朝美が読んでいた本が、ちょっと作者の歳では見れない、恋愛小説だった事は、俊介は最後まで知らなかったらしい。

人生最後の記憶は君がいい

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