【第三話 友達】
「本当ですか!?」
俊介は叫んだ。小説会社からオファーが来て、自分の小説が漫画化される事になったのだ。俊介は、担当に頭を下げて感謝した。
俊介は朝美のオススメした小説を読みながら、朝美と出会ったカフェではないカフェでコーヒーを飲んでいる。そして、あまり話した事もない、昔の同級生と一緒に。
「話って何だよ」
高校時代の同級生の、「佐藤優」だ。イケメン高身長で、彼女もいる。バスケも上手いし、俊介が苦手な、陽キャだ。話すのは久しぶりである。LINEグループの会話履歴から漁ってきたのだ。
「恋に落ちたんだよ。カフェの店員さんに。」
まずは要件を話す。彼女の魅力、出会い、書店の事も。優は爆笑を挟みながらも、真剣に話を聞いた。
「へぇ〜!!そんなこと初めてじゃない?シュンちゃんって、コミュ障だしぃ、よく話せたね〜www」
少しピキっときた。俊介は煽りに弱い。少し耐えながらも、アドバイスを待つ。
「そんな素敵な子さぁ、シュンちゃんには勿体無いって言いたいわ〜。でも、書店で話したんでしょ?意外と脈アリかもよ〜。ワンチャンイケるんじゃね?シュンちゃん、意外と顔可愛いし。まずは、もっと話してみなよ〜。また会えるはずだし〜!!」
意外と良い事も言う。実はいい奴なのだ。俊介はメモをとりながら、話を聞いていく。
30分後、解散となった。会計を済ませ、路地裏を通って帰る。帰り道、優がタバコを吸いながら俊介に問う。
「…ってかさぁ、その好きな子の名前ってなんていうの?」
「雨宮朝美さんっていうよ〜。名前も可愛いよね。」
「へぇ…」と言ったっきり、優は黙って冷や汗を流した。「帰り道こっちだから」と言って、逃げるように早歩きで優は帰宅していった。俊介は不思議に思いながらも、メモを見て決意した。また、朝美と話そうと。
優はタバコを一気に吸った。案の定咳き込む。ハァハァと過呼吸になりながらも、呟く。
「ッハハ…俺の、元カノじゃねぇかよ…」
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