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#あべさく
めかぶぷりん
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夜。
静まり返った部屋に、電子音が響く。
ブー、ブー……
「……?」
テーブルの上で震えるスマホ。
ゆっくりと視線を落とした。
表示された名前に、一瞬息が止まる。
「……佐久間さん?」
迷わず、通話ボタンを押す。
「もしもし?」
すぐに出た。
でも、返ってきたのは俺が聞きたかった声ではなかった。
「お前、阿部?」
佐久間さんの声じゃ、ない。
知らない男の声。
佐久間さんの声より低くて、温度が無くて。
「…は?」
低く、声を抑える。
「誰だお前……っ、佐久間さんは、?」
焦りと怒りが、混ざる。
なぜ佐久間さんじゃない人が佐久間さんの携帯電話で俺に電話をかけてくるのか。
明らかにおかしい。
「ふっ」
電話の向こうの男は鼻で笑った。
焦っている俺を面白がるように。
「佐久間って?あー、目が見えないチビのこと?」
その言葉に、指先がぴくりと動く。
「そいつなら、ここにいるけど?笑」
嘲るような声。
この状況を楽しんでやがる。
その奥で、
微かに、音が混じる。
「……あ…べさ…ん……たす…け、て……」
掠れて、震えた声。
聞き間違えるはずがない。
「っ、佐久間さん!」
思わず声を張る。
心臓が強く打つ。
「おぉっと、」
男が、楽しそうに言う。
「声、聞こえちゃった?」
わざとらしい言い方。
神経を逆撫でする。
「…てめぇ……」
声が、低く沈む。
男は俺に構わず言葉を続ける。
「お前が来ないとさぁ」
「こいつがどうなることやら……なぁ?」
笑い声。
その奥で聞こえる微かな物音。
何かがぶつかる音。
「っ、やめろ!」
抑えきれずに、声が強くなる。
「その人は何も関係ない!」
「関係あるだろ?」
「っ、は…?」
「お前にとっては、な?」
「……っ」
歯を食いしばる。
何も言い返せない。
彼奴らはわかってるのだ。
俺が、彼を大切に思っているということを。
「じゃあ――」
男の声が、少し低くなる。
「今すぐここに来るんだな、阿部」
そう言って場所を告げられる。
一言一句、聞き逃さないように頭に刻む。
「逃げたらどうなるか……わかるよな?」
静かに脅す声。
その奥には確かな殺意があった。
「……ああ」
短く、返す。
迷いはなかった。
「行くよ」
焦りと怒りを押し殺してその一言だけ放つ。
通話が切れる。
プツッ、と無機質な音。
部屋に静寂が戻る。
「…ふぅ……」
ゆっくりと息を吐く。
落ち着け、と自分に言い聞かせるように。
「……やられた」
低く、呟く。
嫌な予感はしていた。
この世界にいる以上、
いつかこうなる可能性は。
彼を巻き込んでしまった。
彼とは程遠い、闇の世界に。
「クッソ……」
拳を強く握る。
爪が食い込み手が白くなる。
頭に浮かぶのは、
海で笑っていた顔。
不安そうに名前を呼んだ声。
『たった一つの光』だと言って手を握ってきた温もり。
「……佐久間さん…」
ぽつりと、零れる。
「絶対、助けるから……」
ジャケットを掴む。
もう、迷わない。
ドアを開ける。
夜の空気が、肌を刺す。
その時俺に優しさなんてものは居合わせてなかった。
煮えたぎるような怒りだけを抱えて暗闇に走り出した。
コメント
1件
おお、第13話、めっちゃ緊迫感やばかった…! 最初のスマホの呼び出し音から始まって、まさか佐久間さんが連れ去られてる展開になるとは思わんかった。あの「たすけて」って掠れた声、想像しただけで胸が苦しくなったわ。主人公の怒りと焦りがビシビシ伝わってきて、もう夜の闇に飛び出すラストの走り出し、熱すぎるだろ。次どうなるのか気になりすぎて落ち着かねえ…! ふみさん、続き待ってる🔥