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学年で御加護を貰っていないものは俺と神が親にいる者だけだった。そのため神の子と神なし子の間では格差が生まれる。
「篤志だけだぜ!御加護ねぇのさぁ笑。もういい加減諦めて転校したら?兄は優秀なのになぁ笑。なんか言ったらどうなんだよ!」
『ボコッ』
腹に激痛が走る。なんでこんな目に…。俺だって好きで神なし子になってる訳じゃねぇのに。虐めは昔からあった。だが殴られたのは初めてだった。
(お前だってつい最近まで御加護着いてなかったじゃねぇか。)
そう思いながら、相手の気が済むまで殴られていた。
帰りの支度をして家に帰る。ずっと夢を見ていた。もしも…。そう思っていたのはもう昔のこと。
「ただいま…」
「お!篤志おかえり!久しぶりだな。」
「に、兄さん?今日って帰ってくる日だっけ?」
椅子に座りながらこちらを見たのは兄だった。久しぶりにあったが以前と変わりがなかった。机には小さくなった兄の御加護が顔を見せていた。
「何言ってるの篤志。ここは光星の家でしょ?帰ってくるのは当たり前じゃない。」
「まぁまぁ俺は寮生活だしずっと篤志に会ってないから無理もないよ母さん。」
「そう?まぁいいわ。篤志手を洗ってらっしゃい。ご飯にするわよ。」
こうなるから、兄とは会いたくなかった。母の無意識の差別が俺を痛める。
「あ、うん。でも今日はご飯部屋で食べる。勉強したいし、」
「勉強なら光星に手伝ってもらえばいいじゃない!ねぇ光星。」
ウザイ。俺の事なんかどうでもいいくせに。なんでいつも光星光星。兄さんなんか
「兄さんなんか生まれて来なければよかったのに…」
「は?」
やばい。身体中から血の気が引くような感じがした。なんで口に出してしまったのだろう。早く謝らないと。「カヒュッ…!」でも…喉が…声が出ない…。
「篤志!お兄ちゃんに向かって何!?私はそういう子に育てたわけじゃないわよ!そんなこといつまでも言ってるから神様からの御加護だって貰えないのよ!」
「ヒッ」
「母さん!」
『バチンッ』
頬にまたしても激痛が走る。神の御加護なんかに囚われた人間はやっぱり嫌いだ。
「いつもいつも!口を開ければ光星光星!少しでも俺の気持ちを考えたことあんのかよ!いつも比べられて!その都度勝てなくて!そんな俺の事少しでも考えたことあるのかよ!」
気づけば怒りで罵声を母に浴びせていた。そこに。
「ただいまぁ〜。ってどうしたんだ?空気がピリついてるぞ。」
「貴方!篤志を叱って頂戴!光星なんかってまた言ってるのよ!」
「母さん落ち着いて!篤志だって本当はそんなこと言いたくなかったもんな。な?」
いつまでもいつまでもいい子ぶりやがって。どうせ心の中では俺の事嘲笑ってるくせに…。
「あ!篤志!」
俺はすぐさま部屋へ駆け出した。
「母さん。忘れたの?篤志の目の前で神の御加護について話さないって。 」
「そうよね。ごめんなさい。でも光星のこと言われたらいても立っても居られなくて…」
「気持ちはわかるが篤志の気持ちにも気づいてやってくれ。俺たちは家族なんだから、光星は不運で生まれたから神の御加護が強いだけであって、篤志は強運で生まれたから御加護が付きにくい体質なんだからな。」
「父さんの言う通りだよ。それに謝るのは俺たちにじゃなくて篤志にだろ?今日言っても篤志は聞く耳持たないかもだから明日謝ろな?」
「そうね…、」
俺に御加護が着くはずない。もし着くとしたら死神だろう。最低級の片割れ。あぁなんで俺は…。
翌朝学校に着くと騒がしかった。それと同時に頬と腹が痛かった。昨日、そのまま放置していたから腫れたのだろう。
「あ、篤志!やっと来た!」
「騒がしいけどどうしたんだよ。」
「それがさ、さっき信号無視で突っ込んできた車に仔白が引かれたって。先生たちが大慌てで病院向かってる。」
「嘘だろ…」
こんなことがあっていいはずがない…。ないんだ。だって彼女は勘が鋭いんだぞ?死ぬかもしれないって気づいたはずだ。なのになんで…。
午後になっても騒がしかった。授業は全て自習になるくらいみんな同級生の安全を確認したかったのだろう。
「も、百々(モモ)が登校してきたって!」
空気が変わった。百々は仔白の幼なじみで家も近くよく一緒に登校していた。肩より少し長めの髪を仔白と同じくらいのところでハーフアップで結んでいた。彼女たちは自転車登校だった。なのに百々は無事ってことは多少引かれた程度で済んだのか?百々の足と右手には包帯が巻かれており、かすったともだと思う。
話を聞くと背筋が凍った。百々は突っ込んでくる車には気づかなかったようだ。もう5月だが朝は寒い。俺たちの地域はたまに霧が出てくることもある。今日はたまたま濃い霧に覆われていた。国道線ということもあって事故が多発している場所に2人は住んでいた。車は信号無視をして渡っていた百々に近づいて行った。それに気づいたのが仔白だったらしい。彼女は自分の自転車を投げ飛ばし、百々を後ろから突き飛ばした。その後、鈍い音がしたらしい。まるで鉄の物体と生き物がぶつかったような聞きたくない、耳に残り続ける鈍い音。
音を聞き振り向いた先には、仔白が車と電柱に挟まれていて、地面には引きずられた血痕。そして、引かれたのだろうか。形が変わった百々の自転車。
百々がかすり傷で済んだのは信号だったため自転車を降りて渡っていたこと。仔白がいち早く気づき思いっきり押して遠くへやったこと。それにびっくりし自転車を離したこと。この事だったらしい。百々の御加護は仔白も助けようとしたのか腕に血痕が残り、足には切り傷でも負ったように包帯が巻かれていた。可愛い毛並みで有名だったのにボサボサいや、ボロボロになっていた。そして、俺は聞きたくなかったことを聞いた。
「仔白は挟まれ形が変化して亡くなっていた」
聞きたく無かった。押しつぶされ内臓などが潰れ、目も飛び出かけていたらしい。手や足は逆方向に曲がり、血の涙を流して生涯を終えた。
『「今朝、信号無視と殺害容疑で逮捕されたのは無職のーー」』
「嫌だわぁ怖い。」
「…」
家に帰ると母が泣きつき謝ってきた。朝はすぐ家を飛び出したから謝る機会がなかったからなのだと言う。今はテレビを見ながら叩いてしまった頬を手当ている。
『「被告は「誰でもよかった。殺したかったのだ。御加護がないからと馬鹿にされて腹が立っていた。」と容疑を認めています。」』
「は?」
「死んじゃった子篤志の同級生なんでしょ?」
「ッ…好きな子…だった。殺したかったために無害の仔白を…ぅ、うぅ…、」
「悲しいわね…葬式に参加するのでしょ?その時に言いたいこと言ってきなさい。」
涙が出た。学校では泣けなかったのに…。無差別に殺そうとしたやつが許せなかった。だが、その原因は神の子達が起こしたことなのだ。それだけでも腸が煮えくり返る。
葬式が終わった。俺は原型が少しでも残っていた亡骸の頬に手を当て撫でながら、泣きながら告白した。好きだった。これからも変わらず好きだと。そして、あの時はありがとう、そしてごめんなさいと。
葬式が終わったあと、仔白の父と母は俺宛の手紙を渡した。仔白は明日死ぬかもしれないと思い書いたのだという。もしあの時休んでいたら百々が、もしくは他の誰かが死ぬかもしれないと察したらしい。仔白の手紙には好きだったと言うことと、なぜ好きになったのか、どんなとこが好きなのかやりたかったことが5枚の手紙によって記されていた。そして最後には『君に絶対御加護がつくよ』と記されていた。
「仔白残念だなぁ。」
「何がだよ…」
「お前ら両片思いだったんだぜ?俺達も応援してたのに。」
「そうだよ!お兄と一緒に近ずけてたのにさぁ。篤志くん全然告白しないんだもん!」
「そうなのか…」
ここに仔白がいれば付き合っていたのにな。と笑いあった。それは、苦しみながらの笑顔で涙を流す雪羽と、涙を堪えるのに必死な俺と凪李雪。
「未来予知の神がこの学校に居たらなぁ…。」
「この学校、未来予知者居ないもんね…。はぁ。」
「仔白がそんな感じだろ。」
3人で葬式後仔白との夢、仔白との思い出を公園で語って周りが彼女の髪のように真っ暗になった頃に家に帰宅した。その日の月は今までに見たことがないくらい美しく輝く満月だった。