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仔白が死んだ5月。運動会が終わり、プールの授業が終わり、合唱コンクールと文化発表会が終わり、そろそろ雪が振り続けそうな12月26日。
彼女が亡くなって7ヶ月がたった。今日は彼女の誕生日。そして兄の就職件、御加護が人化したお祝い日だ。
御加護は基本動物の姿などの姿をしている。人間界に馴染めたら喋り出す者と、主にしか分からない言葉を放つ者と居て、信頼関係が主と深ければ深いほど人化する。短い人で4年以上は信頼関係を深く築いていると人化し、やがて結婚する者も現れる。だが、多くの場合は人化しない。人間には人間の。神には神の生き方がある。そして人間と結婚した場合、天界にはもう行けないらしい。家に自分の小さな祠を置いているがいつの間にか消えて無くなっているのだと言う。まぁ結婚しないこともあるが大体は結婚する。人化は主の好みに変化するからだそうだ。ただ業務等で人化した方が便利だと思い人化する者も居るため今後どうなるか分からない。まぁそんなこといつまでも考えていても無駄か…。
『… 様…しますよ』
なんだ?この声。
『起きてください。。主様。』
バッ!
俺は勢いよく布団から顔を上げた。そこには見慣れた部屋と虎のような、でも白い毛並みの大きさは犬とか狐とかそんぐらいの大きさ。まじで誰というか何者?
『主様遅刻しますよ?今日は朝練が有りますでしょう?』
「な、なんで知って…。と言うか、え?なんで動物が喋って…。」
『私はあなたの使い神ですが?』
「ご、御加護!?」
『人間はそのように言うのですね。』
いや待て。御加護は出会い頭は基本喋らない。きゅうきゅう鳴く動物のような声しか発しない。こんなに悠長に話すのは出会って信頼関係を少しでも築くか、人化した御加護だけだ。
「と、とりあえずお前名前は?所属は?性別は?」
着替えながら質問する。目の前の御加護は俺に服を持ってきながら答える。
『私は中華人民共和国の四神。西の神獣。白虎(ビャッコ)です。白い虎と書きます。性別はありません。好きなように変えられます。』
「中国って…俺中国人じゃないし、四神なんてそんな知らないぞ?」
『たまに有るそうです。ですが稀なケースで、日本人でもドラゴンを従える者はおりますし、主様のご家族の中に中国人の血が入っていないのなら珍しい事です。』
「そ、そうなのか…。なぜ喋れる。と言うかそんな位が高いってことは…最上位級の神か!?」
(と言うかドラゴンって神なんだ…?あれか、中層級には妖怪も含まれてるとか何とか…。)
『はい。先代がお亡くなりになりましたので私が引き継ぎ、主様の使い神になりました。』
まじか……。いや正直兄より上の神を授かったことは嬉しい。嬉しいが、なんて言うかここまで運が良くて良いのか?
『あの…。この祠何処へ置けば宜しいですか?』
忘れてた!御加護が天界で作業できるようにと色々意味がある祠のことを!今日は兄の日だ。迷惑なんてかけられない。母は勝手に人の部屋に入る癖がある。どこに隠せばバレないだろうか…。
「とにかく今日はいいと言うまで出てくるな。祠はそこのベットの一番端のところに隠しててくれ。 」
『わかりましたがどうしてですか?差し支えなければお伺いしても?』
「今日は兄が褒められる日。兄の記念日だ。だからお前が来たら兄の日では無くなる。」
『はぁ…?』
「そういえばお前のことをなんと呼んだらいい?白虎か?」
『お好きなように呼んでください主様。』
「主様はやめてくれ篤志で良い。白虎だとあれだしなぁ…。白い虎…。ホワイトタイガー…虎珀(コハク)…虎珀でいいか?」
『勿論でございます。篤志様。』
名前が仔白と似てしまったが未練なんて有りまくりですし良いか。そう思いながら虎珀を天界か影のどちらかに居てもらう。虎珀はやはり最上位級ともあって部下の神がおり、仕事をしなければならないらしい。まるで課長だな。そう思いながら学校に行った。
「あ、篤志。おはよぉ〜」
『キュイー!』
「おはよう〜!」
『キュー』
「おはよう凪李雪。夏羽。雪羽。凪夏。どうしたんだ?雪羽はこっちのクラスじゃないだろ?」
「仔白の誕生日だから何か買って墓にやろうかなって。」
「こっちゃんひまわり好きだったからひまわりの造花あるかなぁってね。」
「あるんじゃね?無かったらひまわりの種とかさ。」
「だよねぇ。まぁひまわりの種周りに植えとけばひまわりなるよね。」
「仔白の友達がそんな発言していいの?」
「篤志はどう思う?」
「別に良いんじゃね?」
そんな話をしているうちに嫌な奴がやってきた。
「おい篤志!今日は神の力を見せてやるよ。せいぜい悔しがるんだな笑。やれ!ゴードラス!サンドキックだ!」
ダッサ…。しかし御加護をしかも神を使って虐めてくるとか馬鹿じゃないのか?そんなに使い神を落としたいのか?
この世界では争い以外に御加護を使って人を攻撃することを禁じられている。それはご加護の位を下げる行為だからだ。過去には悪いことをしすぎてご加護の位が下がりすぎ、御加護が亡くなる事件や、御加護が暴走してしまうなどの事件が多発したからだ。
『グラッシュー!』
やばい。と思い目を閉じたが何も痛くない。その代わりに周りがどよめき始める。その瞬間
ドン!
と言う大きな音が響く。恐る恐る目を開けると、虎珀が居た。虎珀が能力を曲げたのだろうか壁に大きな穴が空いてあった。
『篤志様を侮辱するなゴミクズが。お前は今誰の主に手を出そうとした。』
虎珀は座ったままいや、お座り?したままものすごい圧を解き放っていた。虐めっ子たちは状況が把握出来ていないらしい。だが神たちだけはどよめいたり顔面蒼白になっていた。
「何やってる!早くやれよ!」
『グ、グラ…。』
『篤志様をやりたいのならやればいいさ。ただお前を天界から突き放す。神から落としてやるがよろしいか?』
「お、お前なにもんだよ!動物が喋るなんて気持ち悪いんだよ!」
『ほぅ。ガキは一生底辺のようじゃな。お主可哀想なこった。見込みがあると思っていたが主がこれほど馬鹿なヤツだとはなぁ。これじゃぁ成長出来ぬまい。ほれ。これならどうじゃ?怖くないかガキンチョ。』
そう言うと虎珀は人への姿へと形を変えた。
「え?虎珀人化出来たのか…?」
身長は小さめだ。140あるかないか。きっと姿を小さくしているのだろう。白髪は太もも辺りまであり下ろしている毛先は黒だが黒になってる部分は腰あたりからだ。まるで仔白のような真っ黒い綺麗な髪。人の耳の部分には胸あたりまである三つ編みがあり、頭の上に丸い耳がある。そこら辺は変わらないのだろう。服装は中国実を感じさせず、和風のような服装だ。だが羽織は着てるし、帯には玉のようなものの飾りがある。後ろからではよく分からない。尻尾はそのまま虎の模様が入っている。足は…若干浮いている。最上位級の神だからだろうか?
「な、なんでここに人型の神がいんだよ!」
『お主理解ができない赤子のようじゃのう。先程から言っておるじゃろ篤志様の神だと。』
『グラブル!ググララァ!』
『何?もうやらないから見逃してくれと…。こんな主を持っておるのにお主は優しいのじゃなぁ。2度はねぇからな。』
『グララ!』
すると御加護たちは主を引っ張りながら立ち去って行った。
「あ、篤志。その神様って本当に篤志の御加護なの?」
「い、一応?」
状況が掴めない。ただでさえ今日、喋る御加護が着いたばかりだと言うのに…。