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……朝、まだ早い時間に目が覚めた。
ホテルではなく家で女性を抱いてみようが、それは変えられないのかと、
虚しい思いを感じつつ、熱いシャワーを浴びた。
結局は、何も変わらない。
彼女も、他の女性と同じで、私の気持ちが変えられることもない。
ハァ……とため息が口をついた。
それでももし僅かでも変えられるものがあるのならと、まるで悪あがきでもするように、朝食を作ってみた。
誰かと一緒に家で食事をしたようなことはなく、向かい合って食べることで何か変化が起きるのかもしれないとも感じたが、
服を整えた頃にようやく起きてきた彼女は、食事に手を付けることもなかった……。
……彼女のことを考えると、言いようのない焦りにばかり捕らわれるようで、
しばらくは敢えて素知らぬ振りでいた。
自分が女性のことを気にかけているなどということは、考えたくもなかった。
彼女も他の女性と同じに過ぎないのだと必死に決め付けようとして、無関心を装うことでしかいられない自分が、ただ歯がゆかった。
そうして、ようやく一ヶ月余りをやり過ごして、
そろそろまた誘いかけてみてもいいだろうかと思った。
目の前でわざとらしくペンを落としモーションを仕掛けて、間合いを詰める口実を作り、どうにかして誘いかけようとするのに、
「もう、忘れたいんです……」
そんな風にもまた断られて、ならばこうでも言ってその気にさせるしかないと、つい躍起になった。
「……私は、あなたに忘れさせるためではなく、もっと気持ちをつのらせてもらうために、放置をしていただけですから……」
言葉を失い固まったままでいる彼女に口づける。
……逃がさない。
家へ来ることを強要しながら、そう思っていた──。