テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
咲久へ
咲久、今日学校休んでごめんね。昨日猫を拾ったでしょ?まだ乳離れが済んでいないみたいで、二時間ごとにミルクをあげないとなの。だから今日学校休んだんだ。ごめんね。しばらく学校には行けそうにないな。
暁桜より
そう書いてあった。「桜…」
今手紙を読んでいるのは桜井咲久。幼稚園の頃からずっとモテる子で、幼馴染の暁桜が親友だ。昨日、帰り道で桜と共に二匹の子猫を拾った。実は桜は保護犬、保護猫の預かりボランティア、通称、預さんをやっている。だからきっとあの子猫は幸せになるだろう。そう思っていた。だから子猫のことは案じてない。案じているのは桜のことだ。桜は今まで学校を休んだことがなかったから少し心配だった。「はあ。」咲久はため息をついて、宿題に取り掛かった。
一方その頃、桜は拾った子猫にミルクをあげ、背中を叩いてげっぷをさせていた。そして少したって、子猫のおしりを、ガーゼで優しくつつき、排便、排尿をさせる。「桜、大丈夫?無理しないでね」桜のお母さんが桜に言う。「大丈夫」桜は一言、それだけ言った。そして何気なく見るとすると、あることに気づいた。「あれ?」二匹の子猫の一匹で、一番大きい兄猫、はまぐり、と名付けた子の足がおかしいと感じた。そしてついでに妹のしじみも健康診断ということで、かかりつけ医、獅子島病院(しじまどうぶつびょういん)へ行った。「暁はまぐりさん、暁しじみさん、二番診療室へ来てください」アナウンスがなり、桜とお母さん、そしてはまぐりとしじみは二番診療室と書いてある診療室へ入った。「こんにちは」診療室にはさつきの花のような雰囲気の女性がいた。彼女は獅子島燁子(しじまようこ)。獅子島病院院長の動物病院だ。桜は再度、はまぐりの様態を話し、レントゲン撮影と、血液検査だけでなく、色々な検査をした。そして、生まれつき、右前足が動かせないということがわかった。しじみはピチピチ元気だった。「そっか、はまぐり、右前足が動かせないんだね。でもね、はまぐり。君はきっと、いや、絶対幸せにさせてあげるからね。」なんどもそう、呼びかけた。
咲久は小さなリュックサックに、愛猫が乳離れが済む前に買ってきて、余った猫陽粉ミルク、ペットシーツ、キャットフードと、爽健美茶のペットボトルを一本入れ、弾けるように外へ飛び出していった。
コメント
7件
咲久どこいくの?