テラーノベル
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「か‥‥叶さん?」
「なぁに?」
さっきの声とは全く別人で、甘く優しく耳元に囁かれる
「俺と‥‥結婚するって言いましたか?」
「そう。ロウと結婚したい」
「それって‥‥」
「だって『運命』だよ?本当に出会いも運命的だったし、探し出せない人だっているんだよ?だから運命の番って惹かれ合うんだ」
惹かれ合う?
俺と叶さんが?
本当にそうだったか?
その時、背筋が凍るくらいに強い視線を感じた
セラさんと葛葉さんを見るも、2人とも困惑した表情で俺たちを見ていた
気のせいかな‥‥
「とりあえずそういう事だから、葛葉はセラフの事だけ考えてれば良いよ。僕はこやに話があるから2人とも部屋から出て行ってくれない?」
2人が出て行くと叶さんが俺の手を握り、ちゃんと向かい合う様に座り直した
「ごめんね?急にこんな事言い出して」
「‥‥俺」
「でも本心だから。こやと結婚したらもっと自由にしてあげるし、欲しいものも買ってあげるよ」
「欲しいものなんて‥‥」
「セラフ‥‥彼の音楽の仕事だってやらせてあげるし、たまにはセラフにも会わせてあげる」
「え‥‥‥‥」
セラさんの事‥‥
俺だって続けさせてあげたい
けど、それってまるで交換条件みたい
そこまでして俺と結婚したいのか?
「僕は明日から数日地方に行って家空けるから、その間に考えてみてくれる?」
「あ‥‥でも俺‥‥」
「出会った時みたいに賢い判断出来るって信じてるから」
「‥‥叶さん」
1人残された部屋
怠い体をベッドに投げ出す
葛葉さんは俺とセラさんがここに居ても居なくてもいいような感じだったのに
叶さんはなんで俺と結婚したがったんだ?
運命の番なのは身体で感じる
でも、俺の体と心が噛み合わない
どうしてこうなったのか
どこかのピースが欠けている
そもそも叶さんの事を何も知らないのに、その相手と結婚しても良いものか‥‥
でも俺が結婚出来ればセラさんが助かるのか?
いや、セラさんは葛葉さんと結婚すればこのまま音楽は続けられるんだっけ?
頭が混乱する
頭も体も限界かも‥‥
ゆっくりと目を閉じるとすぐに眠りに落ちて行った
気がつくとノック音が繰り返されている
目を覚ますとすっかり朝になっていた
俺は慌てて扉を開ける
「葛葉さん?」
「‥‥お前さ、家の事とか出来る奴?」
「え?家の事?」
「そう、家政婦が2、3日来れなくてさ。お前やってくんない?」
「そういう事ならオッケーです。任せて下さい」
「じゃあさ、ご飯は俺とセラフさんの分毎回俺の部屋に運んでくれる?あとは用があったら呼ぶから」
「わかりました」
叶さんの分はいらないから3人分作れば良いのか?
久々に作る料理
時計を見るともう昼になるところだ
とりあえずパスタでも作るか
色々考える事は後からにしよう
そして最悪の1日が始まった
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コメント
2件
かなかな マジっぽいな... こや 混乱してる(°ω。)💦 この後どうなるかが掴めない これだから師匠の作品は沼なんだよな~ まじで最高です✨️