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ある高校生冒険者のAdventurer's Report　転載版

第87話 - page.74　突撃！小野麗尾モンスターズ！　キラービー編　綿志野牧場物語・夏秋冬春夏秋冬そして春

2024年03月31日

#創作

#ファンタジー

#ローファンタジー

#コメディー(？)

適当男

「蟻だあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！」

「酸だあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！」

ここは長閑な綿志野牧場：小野麗尾地区。春の陽気に包まれた麗らかな農地に今日も悲鳴が木霊する。

「本部！？本部！？聞こえておるか！！？？こちらエリアＡ－３の畑じゃ！また蟻共の襲撃じゃ！！？？FDFの出撃を要請する！！！」

エリアの管理者から無線通信が入り、応答する。蟻共は畑の育成サイクルを学習したのか、作物が実る頃に団体で襲撃を仕掛けてくるようになった。

「……了解した。綿志野隊員！Ａ－３にて襲撃が発生！スクランブル発動！！ＦＤＦは直ちに出撃し、作物の防衛に当たれ！！！」

「了解しましたですぅ！！！ＦａｒｍＤｅｆｅｎｃｅＦｏｒｃｅ：αチーム！出撃しますぅ！！」

俺の指令に従い、冒険者装備に身を包んだ綿志野ちゃんが、緊急出撃用のデッキに駆けだす。

デッキに到着すると、待機していたキラービーが彼女の胴体を掴み、スクランブル発進する。

最初の頃は叫んだりはしゃいだりしていた彼女も行く度の出撃を経て慣れて行ったのか、今では歴戦の風格すら漂う感じで出撃していく。

何処の誰があんな物を作っていたのか、最初は退〇忍服そのまんまだった装備も今ではドワーフ女子謹製のボディーアーマーにグレードアップしたし。

「此方本部、FDFαチームを緊急派遣した。規定通り、作業員のシェルターへの退避は完了したか確認・報告を。返事が無いぞ！？聞こえているのか教授！！！」

「こちらA-3エリア作業員・畑野です。作業員の退避は完了しています。教授は全員の退避完了を確認したら、嬉々として蟻に向かっていきました。……あの人、生物学の人なので。今は蟻に下半身齧られて嬉しそうに振り回されています」

……何で生物学の教授が此処にいるかって？

綿志野ちゃん経由でプロジェクトの話が広がって、一つのゼミ内で話が済まなくなったからだよ！！！

近隣の大学のみならず、他県の大学まで燎原の炎の如く広まった実験農場の話は、数多くの奇人変人・才人・死人を呼び寄せ、当初３エリア程度の規模の開拓予定が、瞬く間に50エリアの規模に膨れ上がり、葡萄・林檎以外に、各種様々な作物の育成が行われ、お気楽極楽な農場生活を暮らせるはずだったジャンヌちゃんは１年の育成期間を１週間程度に短縮できる便利な育成促進剤的な農力を持っていた事もあり、この１ヶ月で２年分の農業RTAを達成してしまい、これから３年目に突入する所である。

エリア毎の気候関連はエインセルのサポートでクイーンキラービーに調整してもらい、農業系の教授達のアイドルを超えた信仰対象になりつつある。というかなっている。

現状を振り返っていると、綿志野ちゃんから無線連絡が。

「本部！？こちらαチーム・綿志野ですぅ！A-3エリア上空に到着、これより現場に現着しま…キャアアアアアア！！！」

「此方本部、何があった！！？？」

「本部！？至急増援をお願いしますぅ！！！新種が出ましたぁ！ヤツラ、蜘蛛を引き連れていますぅ！！！ハッチちゃんが糸に絡め捕られましたぁ！！？？」

「此方本部、増援の派遣を緊急検討する。αチームは現地にて持久戦を命ずる」

「は、はいいいぃぃぃ、頑張りますぅ……」

カーッ！！新種キチャッタカー！？蜘蛛……どうする？増援の派遣はする、するが。アンチ航空戦力ユニットの投入で、即時追加派兵は……よし、行くか。

「αチーム、此方本部。FDF：HQチームを投入する。繰り返す。HQチームの投入を決定。これよりFDFは総力戦に突入する！！！畑の興廃・作物の存亡はこの一戦に在り！各員、総力戦用意！！！！！」

HQチーム、参陣一名、総勢、俺！　糸の拘束力を鑑みるに、戦線への突入には突破力が必要！！！

レメゲトン用意！　出でよ！魔猪（マッチョ）君！！！

かつてジルドレを背に載せた魔猪（マッチョ）君に跨り、出撃する。