テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
【注意事項】
こちらの作品は、実在する方々のお名前と、一部容姿をお借りした二次創作作品です。
公式様方と一切の関係はございません。
また、こちらの作品には
・軍パロ
が含まれています。
そして何から何まで捏造です。
誤字脱字などありましても、暖かい目で見守っていただけますと幸いです。
______________
「初めまして。私、エーミール・アルベルトと申します」
窓からギラギラと差し込む月光が、新人を照らしていた。
夜の詰所に月明かりなんて似合わないはずなのに、ソイツだけはやけに絵になって見えた。
亜麻色のさらさらとした髪。
よく見ないと気づかないほど白い瞳孔。
茶色のベストに、緑色のネクタイ。
軍服としては、どこか浮いている。
「エーミールとでも、お気軽にお呼びください」
そう言って、穏やかに微笑む。
知らない。
俺は、こいつを知らない。
なのに、なぜか、なぜか…
なぜか…?
◆
「報告書持ってきたで」
「あぁ。ご苦労だった」
「てか、あの人何なん、?」
「あの人というのはエーミールであってるか?」
「おん…」
「なんだ自己紹介してないのか?アイツ」
「いや、帰ってきたときに会って…そんときにしてもらった…」
「ならなんだ?何かあったか?」
「ぃや、その、なんやろ…」
その時、後ろから扉を叩く音が聞こえた。
「エーミールです。失礼致します。
書類を提出しに参りました」
「そうか」
「……?」
エーミールが手に持っていた書類の束。
昨日、幹部として入隊したのではないか?
そう思うほどの量の書類を持っていた。
分厚い紙束。端は擦り切れ、何度も確認されたような折り目。
新品特有の硬さが見えない。
「…随分と多いな」
「持ってき忘れていたもので」
なんなんだこの違和感は。
なんだか頭が気持ち悪い。
なんだか胸辺りがモヤモヤする。
「すまん…俺戻るな」
「あぁ。休暇をとっているからしっかりと休めよ」
「ありがと、じゃ」
先程エーミールが入ってきた扉から廊下へと出、気分転換をしようと外へ出る。
「あれ、ゾムやん!」
「シャオロン。あれ、鬱先生達もおるやん」
庭へ向かうとそこにはシャオロン、鬱、オスマン、ひとらんらんがいた。
「おかえり。任務お疲れ様」
「ゾムおかえりぃ〜」
お茶会をしていたのか、白いガーデンテーブルには5つのティーカップが乗せられていた。
「…5個?」
「ん?あー、さっきまでエミたんがおったんよ」
鬱がそう言った。
あだ名までつけているのか、入って2日目の奴に。
「エミさん書類出し忘れとったらしくてさっき行ってもうたねん」
「そ、そーなんや」
「ゾム顔色悪いけど大丈夫?」
「疲れとるちゃうか?」
「そうかもしれんわ、俺部屋戻るな。また」
「おー、お大事な。しっかりと休むんやぞ」
4人を後にして、自室へと向かった。
◆
「…?」
自室へ戻ると、机の上には紙切れが置かれていた。
______________
某月某日
どーもちっすちっす。ゾムです。
最近気付いた事やねんけどな、俺記憶が無くなってるらしいねん。
0時0分に、記憶が3年前にリセットされるらしいで。
あと、新人幹部にエーミールって奴おるやろ?
アイツええやつやからさ、優しく接してあげてほしいねんな。
ずっと俺と思い出作りたいって言ってたらしいから。
______________
「ぃ゙っ…」
文を読み終わった瞬間、頭が割れるように痛くなる。
痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
「ゾムさん」
「っ、!?」
横には知らぬ間にエーミールがいた。
「あぁ…なるほど…」
机の上の紙切れ見て、どうやら納得したらしい。
「思い出して、くれました?」
いつものように微笑んでいるのに、どこか悲しそうに見える。
…”いつものように”?
一体どういうことなのだろう。
理解しようとすればするほど、頭の痛みは増していくばかり。
「ゾムさん、落ち着いて。大丈夫」
「ひゅっ、…」
「深呼吸ですよ。私に合わせて」
「ひっ..」
「吸って」
「ひゅぅっ…」
「吐いて」
「はぁっ…」
「そうそう、上手です」
数回繰り返し、息が落ち着いてきたところでエーミールに問いかけた。
「なぁっ、アンタは、いつからここにおるん…?」
「私、ですか。」
エーミールはわずかに、小さく目を見開いた。
「そうですね、私は”3年前”からここにいます」
3年前…紙に記されていた年と同じ。
「エミ、さん…」
自然と声に出ていた。
意図もせず、自然とだ。
「ふふっ、なんですか?」
先程とは少し違い、柔らかい笑みを浮かべて、こちらを見る。
優しいかお、優しいこえ、優しい、あなた
「ごめんっ、ごめんなぁ゙っ…」
目から透明な液体が溢れ出た。
止めようとしても止まらない。
「ゾムさん、思い出してくれてありがとう」
あぁ、嫌だ。忘れたくない。
嫌だ、嫌だ、なんで
「忘れたない”っ、」
「…このまま時が止まればいいのに」
エーミールは小さな声でそう呟いた。
本当に、このまま時が止まってしまえば、どんなに幸せなのだろうか。
カチ、カチ
秒針が進む音が部屋に響く。
これ以上、進まないで、止まって、
「また、思い出してくれたら、嬉しいわ」
「絶対に、ぜった”い”にッおも”いだすからっ”…」
「うん」
カチ、カチ
「やから”ぁ、それまでま”って”てほし”い”ぃ゙ッ…」
「うん、待つよ。ゾムさんが思い出してくれるまでずっと待っとる」
カチ、カチ
「ゾムさんを、ずーっと待っとるから。何年、何十年、何百年、いくらでも待つから、思い出してな」
カチッ___
「おやすみ、ゾムさん」
最後に聞こえたのは、見えたのは、
貴方の優しい声と、優しい顔。
思い出してやる。絶対に
数年なんて待たずとも、一日で、一時間で、一分で、一秒も経たないうちに思い出してやるからな。
待っとけよ、エーミール。
◆
任務が終わり、基地へと帰る。
報告書を出しに廊下を歩いていると、書庫の方に光が見えた。
扉を開けると、そこには亜麻色の髪の毛に、真っ白な瞳をして、
茶色のベストに、緑色のネクタイをつけている。
軍服としてはどこか浮いている気がするが。
「初めまして。私、エーミール・アルベルトと申します」
彼は、窓からギラギラと入ってくる月光に照らされている。
「エーミールとでも、お気軽にお呼びください」
こちらを見て、優しく、微笑む。
どこか、懐かしい気がする。
「…俺は、ゾム。よろしくな、”エミさん”!」
彼の瞳が大きく見開かれた。
「っ、はいっ!よろしくお願いします、ゾムさん!」
______________
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!