テラーノベル
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「酔っても酔い足りねぇ…。」
悟は熱燗を何杯も飲んでいた。
着物が汚く乱れていた。
頭を掻きむしりベッドに潜り込んだ。
酔いが回ったのか眠りにつくとピューーと風が窓から吹いてくる。ずっして重い感じがして目を覚ますと牙が生えた生白い痩せ型の男が居た。
「お前は誰だ…!」
「私は貴方の血をいただきに来ましたの。」男は妖艶な声で囁く。愛した女に振られ途方にくれた彼にとっては良い事だった。
「丁度良かった…自暴自棄になって乾いてたんだ…。」
「旦那私も死んでも何も満足が得られなかった。」
二人の不満や欲情が絡みつく。
「俺の血を吸う前に満たして欲しい。」悟は息を荒くして乱れた着物を脱いだ。
「わかりました…交換条件承ります。」男も着物をゆっくり脱いだ。
「良い体つきだ…。」
「誰かと触れ合うのは久方ぶり。」互いの吐息部屋に響き渡る。
「吸血鬼の中は冷たくて気持ちが良いなぁ…酔い覚めに効く。」
「ん…。旦那」ギシギシと生々しくベッドが軋む。
「チュッチュッ」
「フフッ旦那牙痛くありませんの?」男が不気味に笑うと悟の口から血が滴る。
「良い…これぐらいの刺激が良いのだ。」とニタリと笑う。
「ねぇ…旦那の技凄く感銘しましたの貴方の中も柔らかくて。」生者と死者が交じり合う感覚が二人にとってどれだけ快楽か。
「夜は長い此の身尽きるまで 。」
「まぁ体力がおありで旦那と交じり合えて私はとっても楽しい…。」二人は夜が明けるまで
交じり合った。
朝になり悟は男と灰になり消えて行った。
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