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「天馬……好きなの」
どうしようもないくらいに彼への気もちが高ぶってくる。
「そう…」
だけど、天馬はグラスを手にカクテルを飲んでいて、気のない一言を返すだけで……。
「好きなのに……」
またもてあそばれてるんだと思うと、目尻にじわりと涙が浮かんだ。
「もう…なんで泣いてるの?」
不機嫌そうに言いながら、滲んだ私の涙をそっと優しく指で拭う。
「さっき、愛してるって言ったばっかりなのに…。まだ、言い足りないの…?」
どうしてこんなにも、彼に翻弄されちゃってるんだろうと……。それでも愛おしさはつのるだけで、ただ切なくて、溜まっていた涙が頬をつたい落ちる。
と──、
「しょうがないな…」
甘ったるい囁きとともに、つたった涙の跡に唇がふっ…と寄せられた。
びっくりして、キスされた頬に手をあてがうと、
「……すねてみたり、泣いてみたり、どれだけ僕を振り回すの?」
天馬からそう伝えられた。
「私が…振り回してる…?」
彼の言葉に唖然として聞き返す。
「そうだよ…。僕を振り回して、楽しい…?」
上目遣いに私を見て、下唇をきゅっと噛んでいる天馬に、思わず笑みがこぼれる。
「ほら、泣いてたと思えば、今度は笑ってるし。僕を、君が振り回してるとしか思えないから」
ますます面白くなさそうに言う天馬だったけれど、一方の私は込み上げる嬉しさに、こぼれる笑みが隠せなくなってしまう。そんな私を、天馬が怪訝そうな顔つきでじっと見つめた。