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東海道。江戸と京都を結ぶ大動脈であり、多くの旅人が行き交う場所。しかし、今、その道を駆け抜けるのは旅人ではなく、闘志を燃やした二人の戦士だった。橘と雅也。互いの信念と誇りをかけた戦いは、終わることなく続いていた。
橘は雅也の刀の異能「切断」に苦戦していた。どんな障害も、距離さえも切り裂くその力は圧倒的だった。だが、橘は拳銃を構えながら、地形を利用して反撃のチャンスを狙っていた。
「雅也、お前の力は確かにすごいが、東海道の道は俺たち江戸の者が守るべきものだ!」
橘が叫ぶと、雅也は嘲笑うように言い返した。
「江戸の奴さんがこの道を守る?ええこと言うたなぁ。ほな、その覚悟、ここで見せてもらおか!」
二人の戦いは激しさを増し、旅人たちが避けるようにその場を遠ざかる。刀と拳銃の火花が散り、周囲の木々が切り倒されていく中、東海道はもはや戦場そのものと化していた。
戦いの合間、二人はある小さな村を通りかかる。戦闘の影響で村人たちは怯え、隠れるように家の中に籠もっていた。しかし、村の中心にある茶屋だけは営業を続けており、一人の老婆が二人を迎えた。
「戦うのもええけど、腹が減ったら戦いなんぞ続けられんで。」
老婆の言葉に、二人は一瞬だけ戦いを休止する。茶屋で出された団子を口にしながら、緊張感の中にも奇妙な静けさが漂う。
「お前の異能、あれはどうやって手に入れたんだ?」
橘が唐突に尋ねると、雅也は一瞬沈黙し、そして微笑を浮かべた。
「知りたいんか。教えたるわ。わしの異能は、昔ある僧侶からもろうたもんや。ただ、それと引き換えに大事なもんを失うた。」
橘は黙って聞きながら、拳銃を握りしめる。
「力を持つことが本当に幸せなのか、それはお前自身が決めることだ。」
雅也はその言葉に表情を曇らせたが、すぐに立ち上がる。
「ほな、続きといこうか、橘!」
再び戦闘が再開され、二人は東海道を全速力で駆けながら激しく攻撃を繰り出した。橘は地形を活用し、木立を盾にしながら雅也の切断を回避する。雅也はその動きを見透かし、刀の斬撃で大木を次々と切り倒す。
「逃げ回るだけで勝てると思とるんか、橘!」
雅也が怒鳴りながら刀を振り下ろす。橘はそれをギリギリでかわしながら、拳銃を素早く放つ。しかし、雅也はその弾丸を再び「切断」の力で真っ二つにする。
「お前の異能、完璧じゃないはずだ。どこかに隙がある…」
橘は心の中で呟きながら、冷静に戦況を分析する。雅也の異能が発動する瞬間には、わずかに動きが遅れることに気づいた橘は、その隙をついて一撃を加えるチャンスを探していた。
戦いは夜まで続き、満月の下で二人はついに追いつ追われつの形から真正面の対決に至る。疲労で息を切らしながらも、橘と雅也の目には決して揺るがない決意が宿っていた。
「この道を抜けたら、次はどこでお前と戦うことになるんだろうな?」
橘が息を整えながら言うと、雅也は冷たく笑った。
「そんなん、わしも知らんわ。せやけど、次はもっと面白いとこで決着つけようや。」
二人の戦いはまだ終わらない。東海道という舞台を駆け抜けながら、彼らの物語はさらに激しさを増していく。江戸と京都、拳銃と刀、そして二人の異なる信念が交錯する中、次なる戦場の幕が上がるのはもうすぐだった。