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ただのあまとう
189
#stgr
ポテサラ
4,530
まるまろ
3
39,263
街の中心へ近づくにつれて、景色はどんどん壊れていった。
空中に廃れた建物。
途中で途切れた階段。
空の亀裂が広がっていく。
おまけに重力も不安定。
突然身体が軽くなったかと思えば、次の瞬間には地面へ引っ張られる。
「うわっ!?」
まだ慣れない。
ぐらついた身体を慌てて立て直す。
「気をつけてね〜。この辺、崩壊進んでるから」
「先に言えよ!」
らっだぁは笑う。
その横顔は妙に落ち着いていた。
まるで。
こういう光景を見慣れているみたいに。
街の奥。
逆さまに浮かぶ巨大な塔が、少しずつ近づいてくる。
そして。
――ドクン
心臓みたいな音が響いた。
空気が震える。
街全体が脈打っているみたいだった。
「……今のは」
らっだぁは塔を見上げる。
「核が動いてるね」
軽い口調。
けれど、その目は笑っていない。
塔の周囲には、黒い影が絡みついていた。
巨大な“何か”。
輪郭は曖昧なのに、存在感だけが異常だった。
見ているだけで頭が痛くなる。
ゲームで嫌な敵とエンカウントしたような気持ちだ。
「っ……」
視界が揺れる。
影が蠢くたびに、街が軋んだ。
――ギギギギギッ
嫌な音が響く。
塔の上。
黒い塊が、
ゆっくりとこちらを向いた、気がした。
「……見られた?」
声が掠れる。
らっだぁは小さく息を吐いた。
「見られちゃったねぇ」
直後。
黒い影が、空を裂きながら落ちてきた。
「わあ゙っ!?」
轟音。
地面が砕ける。
衝撃で周囲の建物が浮き上がり、ガラスが一斉に割れた。
砂煙。
風圧。
その中心に、“それ”は居た。
人型。
けれど、人間ではない。
全身が黒く滲んでいる。
腕が異様に長い。
顔の部分だけ、ぽっかりと穴が空いたように暗かった。
空気そのものが歪む。
それに逆らえず、反射的に後退した。
「っ、これ絶対ヤバいやつだろ……!」
エンティティが、ゆっくり首を傾ける。
その動きだけで、空間が軋む。
らっだぁは静かに前へ出た。
青い羽織が揺れる。
「ぐちつぼ」
「な、何」
「とりあえず攻撃避けといて〜」
「無茶言うなよ!?」
らっだぁは笑う。
楽しそうに。
「大丈夫大丈夫」
変わらない、軽い口調で言葉を次ぐ。
「死ななきゃ何とかなるって」
次の瞬間。
エンティティの口元が歪んだ。
まるで、
こっちを見て嗤っているかのように。
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