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『笑っている君が、一番心配だった。』
「ちょっとだけ」
翌日
昼休み
6人はいつものように集まっていた。
ぷりっつ「今日の体育、何やるんやろ?」
まぜ太「知らん。」
けちゃ「僕、体育好きー!」
あっと「けちゃ、昨日も体育の話してなかった?」
けちゃ「だって楽しいもん!」
ちぐさ「俺も好き!」
あっきぃ「じゃあ今日も頑張らないとね。」
6人で笑う。
――そのとき。
ちぐさが自分の机の横に置いていた鞄を持ち上げる。
ちぐさ「……あ。」
鞄の持ち手が外れかけていた。
ちぐさ「うそ……。」
けちゃ「どうしたの?」
ちぐさ「鞄、壊れそう。」
ぷりっつ「ほんまや。」
ちぐさは持ち手を確認する。
どうやら昨日から少し緩んでいたらしい。
ちぐさ「……まあ、これくらいなら大丈夫。」
そう言って持ち上げようとする。
――ブチッ。
ちぐさ「わっ!」
鞄が床に落ちる。
中から教科書や筆箱が飛び出した。
けちゃ「ちぐ!」
5人が一斉に駆け寄る。
あっと「大丈夫?」
ちぐさ「うん!大丈夫!」
まぜ太「……。」
まぜ太が落ちた教科書を拾う。
ぷりっつ「筆箱こっち。」
けちゃ「ノートも!」
みんなが拾ってくれる。
ちぐさ「ご、ごめん……。」
あっきぃ「謝らなくていいよ。」
ちぐさ「……。」
ちぐさは受け取った荷物を見る。
そして。
少しだけ迷ってから――
ちぐさ「……あの。」
5人が振り返る。
ちぐさ「今日、一緒に帰ってくれる?」
一瞬。
ちぐさ自身が驚いたような顔をする。
でも。
けちゃ「もちろん!」
ぷりっつ「当たり前やん!」
まぜ太「最初からそのつもり。」
あっと「うん。」
あっきぃ「一緒に帰ろ。」
ちぐさは小さく笑った。
ちぐさ「……ありがと。」
放課後
6人は教室で帰る準備をしていた。
ぷりっつ「ちぐ、鞄どうするん?」
ちぐさ「家帰ったら直す!」
まぜ太「本当に直せるのか?」
ちぐさ「……たぶん。」
まぜ太「信用できねぇ。」
ぷりっつ「じゃあ俺が直したる!」
まぜ太「お前はもっと信用できねぇ。」
ぷりっつ「なんでや!」
みんなが笑う。
そのとき。
ちぐさ「……ねぇ。」
あっきぃ「ん?」
ちぐさ「さっきのことなんだけど。」
あっきぃ「うん。」
ちぐさ「俺、自分からお願いできたよね?」
けちゃ「できた!」
ちぐさ「……そっか。」
少し嬉しそうに笑う。
ちぐさ「前だったら、絶対言わなかったと思う。」
5人が静かに聞く。
ちぐさ「『大丈夫』って言って、そのまま一人で帰ってた。」
あっと「でも今日は違ったね。」
ちぐさ「うん。」
ちぐさは鞄を見る。
ちぐさ「……みんなに頼ってもいいんだって。」
けちゃ「うん!」
ちぐさ「少しだけ分かった気がする。」
教室を出る。
6人で廊下を歩く。
ぷりっつ「なぁ!帰り何食べる?」
けちゃ「クレープ!」
まぜ太「またか。」
ちぐさ「俺もクレープ!」
あっと「決まりだね。」
あっきぃ「じゃあ行こう。」
ちぐさはみんなの隣を歩く。
そして――
ほんの少しだけ。
自分から5人の近くへ歩幅を合わせた
ちぐさ(……まだ全部は言えない。)
ちぐさ(でも。)
ちぐさ(ちょっとずつなら。)
ちぐさ(言えるかもしれない。)
夕方の廊下に、6人の笑い声が響く。
――第21話・終わり。
コメント
3件
読んだよ〜!!第21話「ちょっとだけ」、めっちゃエモかった…😭💕 ちぐさが自分から「一緒に帰ってくれる?」って言えたの、本当に尊い…!「大丈夫」って強がらずに頼れる場所があるって気づけたの、めちゃくちゃ大きな一歩だよね。最後に自分から5人の近くに歩幅を合わせた描写がもう…心臓ぎゅってなった…🍀✨ みんなでクレープ食べに行く日常もほっこりするし、この6人の距離感がじわじわ染みるよ。次もちぐさがちょっとずつ何を話せるようになるのか、楽しみにしてる!!🌸