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新しいの!
ひまわりの約束
どーぞ!
夏の終わり、大介はいつもより少し早めに練習を終えてスタジオを後にした。外の空気はまだ暑さを感じるものの、どこか秋の匂いが混じっていた。普段なら仲間たちと一緒に食事に行ったり、冗談を言い合ったりする時間が楽しみだったが、今日はなんとなく心が重い。
歩きながら、大介は心の中で思う。「最近、亮平との距離が少し遠く感じる…」
阿部亮平は、グループの中でも特に頼りがいがあり、優しさに溢れている存在だった。笑顔で周りを和ませ、いつも冗談を言ってみんなを笑わせる。しかし、大介は最近、彼の態度に違和感を覚えていた。仲良く笑っている時も、どこか物理的にも心の中でも、少し距離を感じることが増えてきた。
「もしかして、俺、勘違いしてるだけなのかな。」大介はそう思いながら、夕焼けに染まる空を見上げた。
帰宅後、部屋で何気なく散らかった机の上を整理していると、ひまわりの種が目に留まった。それは数週間前、グループで公園に行った際に大介が拾って、阿部に渡したものだった。
その日、大介は何気なく言った。「これ、俺たちの約束の証だよ。」あの日のことを思い出すと、心が少し温かくなるのを感じた。しかし、その種を大切にしながらも、どうしてもその後の関係が不安で、ひとりでいる時にその感情がこみ上げてくるのだ。
「大丈夫、きっと何も変わってない。俺の気持ちが強すぎるだけだろうな…」大介は自分に言い聞かせて寝室に向かった。