テラーノベル
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渡辺は息を整え、かすれた声で話し始めた。
「……デビューする前から。」
「メンバーと過ごす時間が、本当に好きだった。」
「ジュニアの頃なんて、毎日が必死で。」
「何年もデビュー出来なくて不安な日もあったし、本当にデビューできるかなんて分からなかった。」
「でも、このメンバーだったから頑張れた。」
渡辺は遠くを見るような目をしていた。
「デビューしてからも。」
「俺は、このグループを守ることだけ考えてきた。」
「大げさじゃなく。」
「命に代えてでも、この居場所を守りたいって思ってた。」
その言葉には迷いがなかった。
何年も胸に抱えてきた本音なのだと、二人にも伝わる。
「……涼太。」
「口数少ないし。」
「誤解されることも多いけど。」
「たぶん、考えてることは俺と同じなんだ。」
「二人で、守っていく。」
「ずっと、そう思ってた。」
宮舘の名前を口にした途端、渡辺の目が潤む。
「あべちゃんが女の子になった時も。」
「俺、毎日考えてた。」
「どうしたらあべちゃんもメンバーも傷つかずこの居場所を支えられるのか。」
「答えなんて出なかったけど。」
「それでも考え続けてた。」
渡辺は拳を強く握り締める。
「なのに……。」
「俺まで女になったら。」
「もう何もできないじゃん……。」
「俺が一番、倒れちゃダメだったのに。」
「俺が支えなきゃいけなかったのに。」
「何もできない……。」
阿部は胸が締めつけられた。
渡辺はずっと、自分のことより周りを優先してきた。
だからこそ、自分が「守られる側」になることを受け入れられないのだ。
渡辺は両手で顔を覆う。
「涼太に……。」
「合わせる顔がない……。」
嗚咽混じりの声が病室に響く。
「俺。」
「守るって思ってたのに。」
「結局、守れなかった……。」
阿部はゆっくりと首を振った。
「翔太。」
渡辺は濡れた目を向ける。
「俺ね。」
「女の子になった時。」
「みんなに迷惑をかけたって思った。」
「グループを壊すのは自分なんじゃないかって、本気で思ってた。」
渡辺は黙って聞いている。
「でも。」
「みんなは違った。」
「誰一人、『お前のせいだ』なんて言わなかった。」
「全員、支えてくれた。」
阿部は優しく微笑んだ。
「翔太も同じだよ。」
「翔太が女の子になることで、翔太の価値はなくならない。」
「翔太が今まで大切にしてきた時間も、思いも、全部なくならない。」
深澤も静かに頷いた。
「お前さ。」
「一人で抱え込みすぎなんだよ。」
「え……。」
「あべちゃんが一人で泣いてた時も。」
「俺らが支えた。」
「今はお前が泣いてる。」
「だから今度は俺らが支える。」
深澤は少し笑う。
「九人で守ってきた場所なんだから。」
「一人で守ろうとするな。」
その言葉に、渡辺はまた目を潤ませた。
張り詰めていたものが、少しだけほどけていく。
病室の窓から夕日が差し込む。
三人とも、まだ未来は見えない。
それでも今だけは、お互いの弱さを隠さずにいられる仲間が隣にいた。
#BL
kaede🍁
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篝火

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コメント
2件

😭😭😭泣けるよー 9人それぞれが自分がこのグループを守る そんな思いなんだろうな。 多少でも少し早めに女性になった💚が 話す言葉は説得力が有るよね。 ふっかの可愛くなったらには少し笑えた
ああもう、ここで来たか…って感じ😭💔 翔太が「俺まで女になったら何もできない」って自分責めるシーン、胸がギュッてなったよ…ずっと守る側でいた人が、守られることに慣れてなくて、一人で抱え込んじゃうの、わかるようで切なすぎる。 でも「九人で守ってきた」って深澤くんが言ってくれて、あべちゃんも「なくならない」って優しくて…仲間ってこういうことだよね。夕日が差し込むラスト、涙腺崩壊した😭✨