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もらる「…朝かぁ〜…」
僕は戌神もらる。どこにでも…は居ない超絶不幸な人生を送っている高校生だ。幼い頃に両親は離婚。肝心のお父さんは祖父のパン屋を残して夜逃げした。ぼったくりバーでお金を払えなかったらしい。
その結果が、今現在のこの一人暮らしである。でもやっぱりちょっと寂しいかなぁ…
そんな事を思いつつ、今日も学校へ行く。
昼休み、僕はいつものグループで話をしていた。
春樹「なあなあ、わん。最近こんなとこあるんだけど知ってる?」
”わん”というのは僕のあだ名で、名字に”戌”が付いてるからそう呼ばれるようになった。もらる「”ワンにゃんパラダイス”?猫ちゃんとワンちゃんのカフェ?」
春樹「そ。わん、かわいい物好きだろ?」
そう、何を隠そう僕は大のかわいい物好きの男の子なのだ!よくハル(春樹)とかに『女子力高いな〜』と言われるけど、個人的にはそんなに高くない方だと思ってる。…でもなんかよく女の子料理とかの相談されるんだよな〜
もらる「ふ〜ん…今度行ってみよっかな」
春樹「お前ならそう言うと思って…ほれ。貰った招待状取っといてやったから感謝しろ!」
と、言いながら渡された招待状はスマホぐらいの大きさの紙の左右に、ワンちゃんと猫ちゃんのイラストが一匹ずつ描かれていて、その店のセンスが覗えるほどかわいかった。
もらる「うん。ありがとハル」
春樹「いいってことよ!」
こんな会話を休み時間にやっていたらあっという間に時間は過ぎてく学校の時間は唯一の楽しみだ。
もらる「じゃあ、また明日ね。ハル」
ハル「ん。もらるもな」
もらる「…雨、降りそうだな…」
と、心の声を出した矢先、いきなり土砂降りになった。
もらる「傘持ってきておいて正解だったな…」
と、心の底から約7時間前の自分に感謝した。それと同時に今日はお店で出すパンを早く焼かなきゃとかを考えていた時、視界の端にいきなりダンボールが飛び込んできて足を止めた。
そのダンボールの中を見てみると、びしょびしょになった子犬が入っていた。
もらる「捨て犬…」
僕はその子犬に「連れて行って」と頼まれているような気がして、子犬が入ったダンボールを抱えて雨の中走った。
もらる「うわ〜…びっしょびしょ…早く洗ってあげないと…」
僕は、臨時休業の看板を掛けた後、すぐさまお湯を張ったタライに子犬を入れてあげて洗った。まあ、そのあと更衣室で水をあちこちに飛ばされて後片付けが大変だったけど(笑)
そのあとは、安心したのかご飯も食べてくれて、膝枕をしていたら寝てくれた。