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「アキラ、これプレゼント。」
そう言って渡したのは抱えるほどの大きさの緑のリボンの着いた段ボール。アキラのためのプレゼント。
「え、今日って何かありましたっけ?」
「いや、ないよ。僕のエデンの友人が新しく店を開いてさ。開店祝いを兼ねて頼んだの。」
「へぇ〜、そうだったんですね。これ、開けても?」
「勿論。」
アキラは破かないようにゆっくり丁寧に開いていく。
その中から出てきたのは僕がアキラのために選んだセットバックヒール。爪先から踵にかけて青から赤へのグラデーション。踵にはアキラのブローチのホログラムが入り、ヒールは黒、ソールは深緑。踵部分からは金の薔薇のチャームが着いている赤のサテンが伸びている。
アキラをイメージしながらデザインしたけど、うん。似合ってる。
「うわ、綺麗ですね。モチーフやカラーがすごく綺麗に纏まってる。」
「気に入ってくれたみたいでよかったよ。」
キラキラした目で回しながら見てくれるならプレゼントした甲斐があったというもの。
「これ、特注ですよね?オリバーさんがデザインしたんですか?」
「僕っていうか、その友人と2人でかな。そいつが開いたのが特注の靴のブランドでさ。モデルロールとして半額で作ってもらったから心配するほど高くないよ。」
「あら、バレましたか。」
この靴が割高になったのは僕が色々カスタムしたから。僕のエゴだから値段は気にしなくていい。
「アキラは分かりやすいからね。」
「でも、嬉しいです。ありがとうございます。」
「それでさ、アキラ。これ新品で綺麗だから、最初くらいは家で履いても大丈夫だと思うんだよね。」
「!!確かに、ふふ。折角だから着替えてきますね。」
これが本題で。この靴を履いたアキラを堪能したかっただけで、ただ履いてくれるだけでも良かったのだが。寝室に向かうアキラを見送りながら恋人がどんな服を選ぶのか楽しみに待つことにしよう。
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「オリバー、さん。」
アキラが着替えに行って少しして上がったわずかに上擦った声に急いで寝室へ向かう。
「アキラ、どうした、の、……。」
ドアを開ければ、そこにいたのは黒のプリーツパンツに、ブカブカな僕の白Tと濃紺のジャケットを羽織りハイヒールを履いたアキラ。
あまりにも扇情的なその光景にゴクリと唾を飲み込む。
「オリバーさん。このピンヒール、何センチですか!?私、歩けない……。」
困惑したような声に、より欲が煽られる感覚がする。
「……15cmだね。」
「15!?私が持ってるの高くて7cmですよ。こんな高いの歩けないですって…………って、何笑ってるんですか!?」
「いや、アキラ可愛いなぁって。」
「かわっ///え、わ!?」
照れた瞬間にバランスを崩したアキラの腰を咄嗟に支えて立て直す。
「大丈夫?」
「えぇ。すみません、有難うございます。」
「ん?どうしたの?」
「あぁ、いえ。15cm上がってもオリバーさんのこと、抜かせないんだなぁと思いまして。」
倒れなくてホッとしたのも束の間、アキラは今気づいたのか少し拗ねたように身長のことに触れる。
その拗ね方があまりにもいじらしい。
「でも、横になってなくても普通に目線が合うのは嬉しいよ。僕は。」
「は、はぁ!?/////」
「ね、この靴でお出かけするのはまた今度にして、さ、」
「ちょ、」
アキラの肩を優しく押せば、バランスを崩して後ろのベッドに倒れ込む。
そのまま彼の左足を持ち上げて口付けを送れば離れていてもはっきり分かるほど顔どころか首まで赤く染め上げた愛しの恋人が見える。
「アキラ。今日は、ゆっくり楽しもっか。ね?」
「っ、…………は、い/////」