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─── 昼 休み 。
購買 の パン を 口に 運んで も 、 矢張り 何も 味 が しなかッ た 。
皆 が 「 うまッ 」 と 笑ッて る 横で 、 俺 岳 無味 の 紙 を 嚙んで る みたい だ 。
味覚 を 失ッて 殻 、 どれ くらい 経ッた だろ う 。
世界 は 只々 灰色 で 、 食べ る 事 も 生きる 事 も 惰性 に しか 感じな い 。
「 また 味 しねー ッて 顔 してんな 、 元貴 」
隣 殻 声を 掛け て 来た の は 、 何時も 通り の 若井 。
肩 を 軽く 打つけ て 来る 仕草 迄 、 昔 殻 変わらな い 。
其の 瞬間 ── ふ 、 と 。
鼻先 を 掠め た 甘さ に 、 思わず 息 が 詰まッた 。
…… 甘い ?
一瞬 の 錯覚 かと 思ッ た 。
卦度 、 笑い 乍 近づいて 来る 度 、 其の 気配 は 確か に 濃く 成 る 。
体育 の 後の 汗 に 混じッて も 、 雨に 濡れた 髪 殻 でも 、ふわり と 漂ッて 来る 甘露 。
不思議 で 仕方 が 無かッ た 。
── 巫山戯て 肩を 押され る 。
其の 一瞬 、 至近距離 で 息 を 吸ッた 俺 は 、 心臓 を 握り 潰され た みたい に 跳ねた 。
…… 矢ッ張り、甘い。
砂 みたい な 世界 で 、 此奴 だけ が ケーキ みたい に 甘露 で 、
俺 を 狂わせ る 。
「 …… 何で 、 御前 から 、 ? 」
思わ ず 呟いた 声 は 、 誰にも 聞こえ 無い 様 に 、 唇の 奥で 溶かし た 。