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悠磨の真似をしているだけ、といった柊磨さんは少し照れているように見えた。
「つまり柊磨さんは童貞…?」
「おい、そんな言葉どこで覚えた」
「漫画です」
「まじか…」
柊磨さんはため息をつきながら、縁側の向こう側を見つめる。私はこの柊磨さんをよく見かける。思いにふけっているのか、悩み事があるのか、私にはよく分からない。
「なぁ、なんで外出しようとしないんだ?」
柊磨さんが急にそんなことを言った。私は戸惑う。意外とこの人鋭い。
「別に…そんなこと」
「無いって?なら、なんで悠磨と一緒に買い物行かなかったんだよ」
「そんなの気分ですよ」
「嘘だろ」
「嘘じゃないです」
「嘘だ」
「嘘じゃない!」
あまりにしつこく言ってくるため、柊磨さんにキツく言ってしまった。急な大声に喉がびっくりしているのを感じる。
「すみません…」
「いや、ガチで言いたくないなら俺の方が悪い。すまん」
柊磨さんは優しい。心が真っ直ぐなのがこういう時しっかり伝わる。
だから、柊磨さんにはこういう事を話せる。この人になら言える。
「私…外の音とか光が苦手なんです。うるさいし眩しいし」
「眩しいのもうるさいのも苦手なんだ?」
「本当に無理っすね。脳がどっと疲れるっていうか…情報処理しすぎるというか」
昔からそうだった。遊びに行くと疲れ果てて、死んだように眠ってしまう。そんな事が多いため、私は外に出ることを嫌っていた。
「それってHSPじゃね?」
「えいちえすぴー…とは」
「五感とか感情が敏感で相手の機嫌をすんげぇ気ぃ使っちゃうみたいな」
「へぇー?」
初めて聞いた単語に首を傾げる。意外と柊磨さんは物知りだ。いや、もしかしたら神社の人だから悩み相談みたいなものに乗っているのかもしれない。その時に知ったとか。
「柊磨って物知りですごいなぁ…」
「……お前!呼び捨てできたじゃねーか!しかもタメ口も!」
「やったーっ!」