コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
妹「さて、酒を買い足す訳だが、どこで買おうか。」
輝「人里じゃダメなの?それ以外でお酒ってのも聞かない気がするんだけど、まあ妖怪とかも飲むけど。」
妹「風の噂だが、今回はかなり大規模なものらしくてな。量が足りるか分からないんだ。金を持ってきてるわけじゃないしな。」
輝「確かに。私もお金は永琳が管理してるし、それを差し引いても永遠亭はお金不足だしね。」
妹「へぇ?永遠亭の薬は万病に効くと度々聞くが、やっぱり迷いの竹林は厳しいか?」
輝「そうねぇ。辿り着いたら結構買ってもらえるんだけど、如何せん来れないからねぇ。優曇華に売りに出てもらってるけど限りあるし。」
妹「そこら辺は難しいよな。」
輝「そうなのよねぇ。」
そんな会話をしていると、妙な気配を感じる。
妹「輝夜、あれ。見えるか。」
輝「うん?」
異変に気付いたのか、輝夜も警戒心を持った。
輝「『鬼』よね、完全に。」
妹「あぁ、温泉に関係あるだけ…ならいいが、随分と人里の近くに居るな。」
そう、そいつは温泉関係の鬼と言うには、かなり人里の近くに居た。ただの接客や買い出し程度の案件ならいいが、万が一の事があれば人里に『鬼狩り』できる存在はもう居ない。
輝「話はつけておくべきね。念の為、元来鬼は嘘が付けないもの。争う必要は無いわ。『人間に手を出さない』こう言わせたら勝ちね。」
妹「それじゃあ行くか。」
そうして向かって行った。鬼の元へ。
妹「ちょいとそこの。 」
?「おや、私にかな。」
振り返った鬼は大きな背丈をしていて、自慢に生えた1本のツノは針のような鋭さをしていた。
勇「鬼に話しかけるとは、どんな頑固者かな…って、なんだい人間か。私は星熊勇儀。まあ見ての通り鬼をやらせてもらってるよ。」
敵意はなさそうだな、ひとまず安心。
輝「私は蓬莱輝夜。地上に住まわせてもらってる追放された月の民でね。済ませてもらってる以上感謝があるの。」
輝「何か危険分子があるなら出来るだけ守ってやるつもりでもあるのよ。それで、貴方はどうなのかしら?」
輝夜が単刀直入に聞く。
勇「なるほどね。つまり鬼である私は人間に危害を加えないか。を確かめたいわけだ。」
さて、ここは私も便乗しておこう。
妹「そういう事だ。普段は居ないんだ。温泉に関わる要件なだけなんだろう?『人間に何もしない』と約束するなら私達からは何もしない。どうする?」
睨みを効かせながら、尋ねる。
勇「なるほど。人が鬼を脅すわけだ。こいつは面白い。が、今回、はいそうですかと下がれる案件じゃなくてね。こいつで決めよう。」
勇儀は目の前にあった木を引っこ抜き、手刀で綺麗な断面に一刀両断して見せた。
そして、一刀両断した木に肘を乗せる。その体制はまるで…
輝「腕相撲って訳?」
既視感の答えは輝夜が先に口にした。
勇「あぁ、アンタらのどっちかが私に勝ったら大人しく温泉に戻ろう。だが、私が勝ったら私のやりたいようにさせてもらうぞ。」
妹「面白い。」
そうして私も木の断面に肘を乗せ、勇儀の手をとる。
妹「二言は無いな。」
勇「私は鬼だぞ?破ったら死んでやってもいい。」
そうして始まる腕相撲。
最初に攻めに入ったのは勇儀だ。
勇「さぁ!人間の実力見せてみろ!」
妹「ぐっ!?」
その一撃は重く、体ごと引っ張られそうになる。
妹「ぐぅ!!!」
まるで大岩に手を潰されたような感覚。だが、この程度…
妹「まだまだぁ!!!!」
勇「何っ!?」
身体が炎を纏う。今までの経験で培った炎は力となり、ピンチをチャンスに変える。
妹「終わりだァ!!」
そのまま勝負を決めにかかる…が、相手もそう甘くはなかった。
勇「良い気合いだ!だが…」
瞬間、腕が爆発したかのような感覚…
やばい!?
勇「力で私に勝てるかぁ!!!」
まるで…いや、例えがない。
今まで出会った奴らとは別次元のよう力。これまでの数千年。コイツ以上の力は…
見た事がない。
妹「まずっ…!?」
身体が宙に浮く。身体ごと腕が倒される!?
勇「怪力乱神!!!!」
思っいっきり、腕が気に叩きつけられる。当たった瞬間原木が砕け、地面にぶつかる。
よく見たら勇儀の足元の地面にはヒビが入っていた。
妹「これは…無理だな…」
最後に出たのは諦めの笑みだった。
妹「ぐはぁ!!」
腕は…折れた…な…
私は2人の勝負を見ていた。
勇「気絶したか。腕も折れたし…やり過ぎたな…どうしようか。」
輝「そいつの事なら必要ないわよ。蓬莱人は傷を負っても蘇る不老不死なの。」
勇「不老不死!?そりゃ大したもんだ。しまったな…それなら殴り合いの方が得意分野だったろうに…」
そこで疑問が浮かぶ。こいつ、危害を加える気は一切無い。
輝「アンタ…何が目標なの?」
その質問に勇儀はニカッと答えた。
勇「温泉をもっと栄える為にな、『稗田阿求』という人間にアポを取ってたのさ。」
輝「じゃあなんで勝負を…?」
勇「実力を見て見たくなった。」
なるほど、脳筋タイプね。
勇「まっ、アンタ達が考えてた様なことはしないさ。それと、少し聞いていたが、酒に関しては心配するな。文字通り無限に手に入る。」
輝「聞こえてたのね。」
勇「文字通り、『地獄耳』だからな。」
そうして勇儀は歩いていった。
全く、荒々しい奴ね。
まあ、それはそうとして…
妹「………」
これ、どうすればいいのかしら。