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二度目の恋はとろける甘さ。

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二度目の恋はとろける甘さ。

8 - 二度目の恋はとろける甘さ。 第八話

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2025年04月19日

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私達は、家の近くまでまた無言で戻ってきた。

これでは、一緒に帰ってきた意味が無いように感じる。

結局大した話もしてないし…


そんな空気を感じたのか、健人くんが話し始めた。


「俺、別れようかと思ってるんだよな。」

「え?! なんで!?」

「いや…… その…」

「(何?ってか なんでよ!?)」


せっかく私と別れて新しく彼女を作ったのに、また別れるだって?!

まさか そんな馬鹿な事しないよね…?

――でも、理由は…


「俺さ、やっぱ今の彼女の事、好きじゃない。」

「は…?」

「あっちから告白してきて、付き合ってみたけど… やっぱり好きになれなかった。」

「は?それじゃあ、私と一緒じゃん!!」

「…」


私から告白してきたから、どうしても断れずに “仕方なく付き合った”。

そして、それは今の彼女も同じのようだ。

フラレる側の気持ち、本当に何も考えてない。

健人くんが好きだからこそ、彼女としての立場に戻りたくなるんだよ…っ!


「無理して付き合うぐらいなら断れよ!!」

「!」


私は、怒りと悲しみの混じった感情の詰まった 大声を荒げた。

たった一文でも、全ての心情が目に見えて分かるように…

そして、健人くんの応答を待った。


それは意外に早く訪れた。


「無理してないよ……っ」

「はぁ____」

「本当なんだって… 嘘じゃないッ……!!」


「嘘ばっかついてきて、よくそんな事言えるね!?」

「……っ!!!!」


健人くんは、涙ぐみながら何とか言葉を続けていた。

もう、そんな演技には騙されないけどねっっっ!


だから私は、覚悟を決めて健人くんに追い打ちをかけることにした。

私と同じ悲しみを味わえば良いんだ!! こんな奴知らないッ!!


「もういいよ。」

「七葉____」

「もういいよ!!!!」

「な……は……っ」


『もういいよ。』

この、残酷な一言に感情を表した私。

これで悔いは無い…… よね。



その後私は家に堂々と歩いて帰り、健人くんは私の足跡を辿ろうとしなかった。


・・・




―――中学3年生の三学期に差し掛かった、桜咲く春頃。

あんなに汗を垂らした思い出の夏も、悲しさに溢れて涙が顔を覆ったあの夏も…

あっという間に過ぎていって、気付けば 春が息吹いていた。


そんな一年間、私は健人くんの事を忘れようと懸命に努力した。

言われて辛くない人は居ないであろう、あの言葉を発した私だけど、何故か健人くんとの思い出はいつも 頭の片隅に残っている。

忘れたくても忘れられないこの感情は、私が健人くんの事を好きでいた時と一緒だった。


――そう言えば今、私は健人くんの事が好きなのだろうか?

いや、あんな最低な奴、好きな訳無い。

健人くんは、私だけでは無く、頑張って告白してくれて付き合った 彼女でさえもを傷つけた。

そんな人、ずっと好きでいても意味が無い物だ。

____人として、元カノとして______



―――そして、とうとう中学校卒業の日がやって来た。

今日、私達は中学校を卒業して、それぞれの新たな道へと突き進む。

これで、健人くんとの生活も最後だ……


思い返せば、これまで沢山の“青春”を肌で感じてきた。

健人くんや春人と一緒に______

――そんな思い出が詰まったこの中学校、そして友達……


「っ……」


これで最後かと思うと、急に惨い事をしたかも、と感じてくる。

あの時こうしておけば良かった、という後悔だけが、目の前を横切っていく。


ただやる事だけが終わっていく卒業式会場に、私はずっと過去を思い返していた。

その私の隣の席で、健人くんが同じ状況に陥っているのが私の視覚にチラッと入った。


「ッ!」

「……」


―――そんな健人くんは、私に『寂しい』と言った時と同じ表情をしているように見えた。

高校、違うもんね…

健人くんがどこの高校に行くかは知らないけど、絶対お互いで違うことは確実。

もう一生、仲直りすら出来ないんだ…

また後悔して、泣いて、辛くなるだけなの……??


全部自分のせいだ。

そう、分かってる。全部、自分の発言が 自分を懲らしめてるだけなんだ。

自覚している、のに……

いざ健人くんの前に立つと、ついキツい発言ばかりしてしまう。

そんな自分が余計に嫌になる___


「(はぁ… )」


声にならないため息が、この卒業式の中で何度零れただろうか。

そんなの誰も気にする訳も無く、どんどん卒業式は進んでいく。


そして、卒業証書授与も無事に終わり、とうとう卒業式が終了した。


もう記念写真等は撮っているから、後は家に帰るだけなんだ。

皆は、誰かと思い出話をして楽しむのかも知れない。

でも、私はそんな気分では居られなかった。


それはもちろん健人くんも同じ。

終わってから教室に帰ると、健人くんを遠目に 春人がズカズカと話しかけてきた。


「なぁ、アイツとはどうなったんだ?」

「ちょ、春人… 本人いるって…!!」


健人くんも 私と春人の会話には勘づいていて、じっとその場に立って次の言葉を待っている様子だった。

私が小声で注意をしたのにも関わらず、春人はさっきよりも大きな声を出した。


「もう後悔は無いんだな? 本当にそれで良いのか?七葉。」

「っ……!!」

「ちゃんと気持ち、伝えた方が良いんじゃないのか?悔い残ってるだろ?

な、健人。」


「____!?」


春人は、その言葉と共に健人くんの方を振り返った。

健人くんは まさかの春人の行動に大きく動揺した。

でも、健人くんは そこで怯みはしなかった。


深呼吸をして、春人に言葉をかけたのだ。


「言いたいことは、七葉を『好き』っていう事だけだ。

「!?」

「は…!?嘘だろ______」


「嘘じゃねぇよ!!」

「健人くん………?!」

二度目の恋はとろける甘さ。

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コメント

5

ユーザー

おもんなかったです!!!!www

ユーザー

私のとこ荒らした罰を受けやがれwwwwww

ユーザー

仕返しに来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁwwwwww

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