テラーノベル
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「はい、じぃさん。」
「おぉ・・・ありがとうな・・・いやぁ・・・この歳になると、もう足腰も弱くなってのう・・・」
「よくこの荷物をひとりで運ぼうとしたな・・・」
ローブを深く被った、恐らく青年がそうこぼした。
「・・・なぁじぃさん。この先って何があるんだ?」
「んー?この先か?・・・そうじゃのう・・・わしにも分からん・・・だが、色んな景色が見えると思うぞ。この世界は果てまで続いているのだからな・・・」
「ふぅん」
と、青年はこぼした。
「うっし決めた!俺、向こうに行ってみるわ!」
「一人で行くのかぇ?危ないぞ?」
「へーきへーき、俺強いし」
ふと、青年が足を止めた。
「・・・“寿命だって残ってねぇしな”」
「なんか言ったかぇ?」
「うんにゃ、あ、じぃさん。もし、すまないスクール方向行くならさ、すまないスクールにこれ届けてくれよ」
と、青年はお爺さんに手紙を手渡した。
「それは構わぬが・・・お主、そのすまないスクールの関係者なのかい?」
「・・・うーん、半分そう?みたいな?・・・じぃさん知ってんのか?すまないスクール」
すると、お爺さんは懐かしむように答えた。
「あぁ・・・前に孫と一緒に助けられたんだ。あの英雄が居なかったら、わしも孫も死んでおった・・・感謝してもしきれん」
「・・・そっか」
青年は嬉しそうにこぼした。
「じゃあな、じぃさん!そろそろ行くわ!」
「・・・そういえば、お主名前は?」
そうお爺さんにきかれ、青年は少し悩み、答えた。
「・・・俺は“すま”・・・英雄・すまないになぞった名前さ!」
その際、強い風でフードが外れた。
顔の片方は大火傷を負い、瞳は白くなっていた。だが、その顔は“すまない先生”そっくりだった。
「じゃあな!じぃさん!」
そう青年は駆け出した。
✵✵✵✵✵✵
少年は地図を見る。そして、地図を丸め、真っ直ぐ前を向く
「この先は、俺も知らない世界か・・・うっし!行くか!」
自分の寿命が尽きるまで、青年は旅をする。
それが明日かもしれない明後日かもしれない。そんな爆弾を抱えながら、青年は果てを目指した。
──それから数週間、すまないスクールには宛名のない、景色の写真が送られるようになった。
END
コメント
3件
わ!これで完結か? やっぱり最後の絵のサービスは嬉しすぎる!火傷の跡が痛々しいけど…顔が爽やかやね!かっちょいい!完結おめでとう!♡600超えてるからすげぇ!